AKB48、米津玄師、BE:FIRST……時代性と独自性が象徴的な3作 個々のスタイルで存在感示したシングルチャート

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2022年05月28日 10:01  リアルサウンド

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写真AKB48『元カレです』
AKB48『元カレです』

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2022-05-30/


 5月30日付のオリコンチャートによると、AKB48の『元カレです』が328,521枚を売り上げ1位を記録。さらに米津玄師の『M八七』が228,881枚で2位、BE:FIRSTの『Bye-Good-Bye』が138,555枚で3位と続き、トップ3が軒並み10万枚超えという活気あふれるチャート結果となった。


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 1位の『元カレです』はAKB48の通算59枚目のシングル。表題曲はラテンの香りが仄かに漂うギターのバッキングに加え、要所で響き渡るドラマチックなストリングスが印象的な一曲だ。前作「根も葉もRumor」にも勝るとも劣らない強力なダンスナンバーである。作曲・編曲は同グループの「ハイテンション」や乃木坂46「シンクロニシティ」などで知られるシライシ紗トリ。歌詞には偶然鉢合わせした男女の心情が男側の目線で綴られている。そのヒリヒリとしたシチュエーションにおける緊張感が、アグレッシブな音作りによって表現された作品だと言えるだろう。


 一方で2位の『M八七』は米津玄師の通算12枚目となるシングル。表題曲は映画『シン・ウルトラマン』の主題歌として書き下ろされた一曲で、歌詞にはウルトラマンらしく〈遥か空の星〉〈輝く星〉といった宇宙を連想させるワードが用いられている。サウンド面においてはバックトラックがシンプルで、とりわけイントロは歌声が際立つ挑戦的な作りをしている。編曲には坂東祐大が参加。2番以降で鳴るどこか懐かしいアナログシンセや、さりげない四つ打ちのビート、ところどころで飛び出すスペイシーなサウンドなど、歌以外のサウンド面は控えめなものが多く、言葉とメロディを主軸とした歌としての魅力が強い作品だ。


 3位の『Bye-Good-Bye』はBE:FIRSTの2枚目のシングル。表題曲はリズミカルなシンセをベースとしたアップテンポなサウンドに、スピード感あふれる切れ味鋭いラップが取り入れられた現代的なダンスチューンである。終盤では高音を華麗に歌いこなす姿も披露され、彼らの高いボーカルスキルが存分に味わえる。前作表題曲「Gifted.」と比べると全体的に明るさが増し、ポップな路線にシフトしているのもポイント。2作目にしてグループイメージの振り幅の広さを示した形と言える。


 AKB48のダンスボーカルグループとしての側面が強く押し出された一曲と、新興のボーイズグループとして注目されるBE:FIRSTのハイレベルな実力が確認できる一曲。どちらもグループアイドル全盛の今にフィットした作品として象徴的だが、こうしてランキング形式で見るとその間に分け入る米津作品の異色さが目を引く。


 坂東祐大がアレンジ面をバックアップするようになって以降の米津作品(2019年リリース「海の幽霊」以降の全作品)は、現代のポップソングのスタイルの幅を押し広げ、普遍的な歌としての魅力を追求する姿勢が印象深い。壮大なオーケストレーションを施し、言葉を立て、実直に歌と向き合っている。それでいてしっかりとセールスも伴っている。


 激変する音楽環境のなかで自分のスタイルを貫くのは容易ではない。安易に時代に寄りかからず、ブレずにいる彼の佇まいを評価したい。(荻原梓)


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