『こち亀』が的中させた“未来予測” お掃除ロボ、電子マネー、オンライン飲み会まで「もはや予言の書」

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2022年05月28日 11:00  週刊女性PRIME

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写真国民的人気を誇った漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
国民的人気を誇った漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』

 両津勘吉巡査長を主人公としたギャグ漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(以下、こち亀)は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で40年間続いた人気連載。単行本は2016年の201巻で最終巻となった。

未来を予言する『こち亀』の世界

 その後、'21年に『ゴルゴ13』(リイド社、現204巻)の記録に抜かれるまでは「もっとも発行部数が多い単一漫画シリーズ」としてギネスに登録されていた。そんな「こち亀」には、未来を予想し、現実になったシーンが多い。

 もともと「こち亀」は『ヤングジャンプ』(集英社)の読み切り漫画として掲載された。その後、休載することなく、『少年ジャンプ』で連載され、作者・秋本治(69)の代表作となった。

 連載当時には実現していない技術も多かった。スマートフォンが出現する前の'02年に発行された、129巻の「驚異のシルバーiT!の巻」では、携帯電話でバーコード決済をするシーンが描かれている。

 現在では多くの人がスマホを所有し、電子マネーを利用している。特に都市部では日常となった。漫画の設定ではQRコードは想定されていないが、バーコードを読み取る仕様で、現在の利用法と同じだ。

 その“携帯電話”の巻では、テレビをネットで見られる仕組みを紹介している。掲載されたのは'99年、NTTドコモがiモードのサービスを始めた時期で、ワンセグ放送を受信できるようになったタイミングだ。

 この仕組みは現在の「TVer」、「AbemaTV」と似ている。

 これらのサービスは、「こち亀」掲載から20年たった今では当たり前となり、日常の生活に欠かせないものになった。現実のサービスが「こち亀」に追いついてきたようにも思える。

 発明という視点で見ると、ロボット掃除機の『ルンバ』(アイロボット社)を想起させる回もある。19巻('81年11月)の「発明の日!の巻」。発明家が《ちゃんとコンピューター掃除機をもってきました》《このとおり ゴミをおいもとめてすすんでいくわけです》《ゴミがたまると自動的に袋に詰めて出します!》と話す。

『ルンバ』の開発自体は'90年代から行われていたが、商品化は'02年のクリスマス商戦からだ。その後'18年のモデルでは、ダストボックスへのゴミ捨てまで自動で行う機能が搭載されている。

ロボットやリモートも予知していた『こち亀』

「ロボットの警察官」も何度か登場した。そのうちの1つは、59巻(1989年8月)の「激突!!成績くらべの巻」。派出所に勤務するロボット警察官が、住民らに対し、親切に道を教えたり、横断歩道を渡るサポートをする。両津勘吉よりもロボットのほうが優秀という見え方になってしまい……。

 人間とコミュニケーション可能なロボットの存在は、『ドラえもん』をはじめ、ほかの漫画やアニメにも登場するため、「こち亀」独自の発想ではない。

 ただ、読んでいると実現の可能性を考えてしまうし、近年のAI技術を見ているとコミュニケーション可能なロボットの実現は、そう遠くはないと思えてくる。

 例えば、ソフトバンクが提供する「Pepper」。誕生したのは'14年6月で、まだロボット警察官のように二足歩行はできないが、現在では羽田空港などで案内役を務めている。

 同話に両津の《落とし物や盗難届などのデータは本署と直結している》というセリフが出てくるが、現在はインターネット接続で、落とし物検索は外部からも利用可能だ。わざわざ警察署へ出向かなくてもいいというのは、ありがたい。

 漫画内で所長は《わずかな距離でも、荷物をもってあげるあの姿勢が大切だと言っているんだ》と言い、親切心では両津らが勝っていることを表している。

 そのうち、「親切心」も、ロボットに勝てない日がやってくることの暗示かもしれない。

「自動販売機型ロボット」も実現している。監視カメラが付いているようで、空き巣に入ったことがわかる。その情報がロボット派出所に伝えられロボット警察官が捜査しにいくシーンがある。

 この仕組みは、高性能の小型防犯カメラを内蔵した「みまもり自動販売機」(キリンビバレッジ)に搭載されている。'18年夏から東京都や埼玉県、神奈川県内に設置された。実際に、映像から容疑者を検挙したケースもあった。

 同じ巻の「テレビでこんにちは!の巻」では、リモートワーク時代を先読みした、テレビ会議のストーリーがある。仕組みとしては、ひとりひとりがテレビの前にいる。相手を見る場合、自身が映るテレビを相手方に向ける必要がある。

 多人数で別の人と話す場合、向きを変える必要があるが、それは自動化されていない設定。方向を変えるバイトを両津が行うというストーリーだった。

 この仕組みを使って同窓会や結婚式を行うシーンがある。詳細は書かれていないが、テレビの前方にカメラとマイクが付いているのだろう。今で言えば、リモート同窓会、リモート結婚式ということになる。

 さらに現代のアバターを思わせる設定も。家にいてリラックスしているが、同窓会ではフォーマルでいたい。そのため、顔出しパネルのように、スーツを着ているように見せるサービスまである。

実現してほしくなかった話も!?

 これだけ多くの“予知”があると、実現してほしくない話もある。195巻('15年6月発行)の「3Dプリンター戦車の巻」では、3Dプリンターでレプリカを作り放題になったという話だ。

 同巻がジャンプで連載されていた'14年5月、3Dプリンターで殺傷能力のある拳銃が作られていた。その銃を所持したとして、川崎市の大学職員(当時27歳)が逮捕されている。

 こち亀連載当時は精度のほどがわからない時代。今は戦争に使えるほどの武器を作ることが可能になった3Dプリント。

 現状では戦車そのものを製造するまではいかないが、製造した部品を集めれば、戦車などの武器になる状況だ。

 実際におもちゃの小型戦車は実現している。また、車や住宅の製造までできるようになった。民間技術を軍事利用に転用すれば、戦車も製造できる日が来るかもしれない。

 98巻('96年5月)の「電脳ラブストーリーの巻」では、ゲーム課金を紹介している。白バイ隊員が恋愛シミュレーションゲームをするためにパソコンを購入。ゲームのキャラクターと親しくなり電話番号ゲットに成功した。

 しかし、隊員がクレジットカードのナンバーをキャラクターに教えてしまい、徐々に高額な商品をねだられる……。

 恋愛シミュレーションゲームで課金が盛んになったのは2000年以降。『こち亀』ではそれ以前にゲーム課金が描かれていたのだ。

 全201巻にわたって暮らしに役立つ発明を度々披露してきた両さん。当時は奇想天外だったものも次々に実現していくところを見ると、この先もっと予言的中率は上がるだろう。両さんの予言を発見してみませんか?

(取材・文/渋井哲也)

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