レアルCL制覇の要因とは? ヴィニシウスの成長とクルトワの美技を誘発した戦いぶり

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2022年05月29日 15:11  webスポルティーバ

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 リバプールとレアル・マドリードの決勝対決は、チャンピオンズカップ時代の1980−81シーズンを含めると史上3度目になる。キーウのオリンピスキで行なわれた4年前の決勝は、レアル・マドリードが3−1で快勝。前半途中、リバプールのモハメド・サラーがケガでベンチに退く不運があったとはいえ、下馬評との関係で言うならば、順当な結果だった。

 パルク・デ・プランスで行なわれた1980−81シーズン決勝(1−0でリバプールの勝利)は、どちらが下馬評で上回っていたか、さすがに知る由もないが、レアル・マドリードがその17年後に出場した決勝戦は記憶に鮮明だ。レアル・マドリードがヨハン・クライフ・アレーナでユベントスを倒し、通算7回目の欧州一に輝いたこの一戦は、敗者が下馬評で上回っていた。

 レアル・マドリードは以降、その1997−98シーズンを含め、今シーズンまで8回決勝に進出。筆者は過去7戦の優勝シーンをすべて目撃しているが、ユベントス戦を除く6回は順当勝ちだった。決勝戦に強いとされるレアル・マドリードだが、下馬評との関係に目を凝らせば、番狂わせを食いにくい、受けて立つ横綱相撲を得意にするチームとなる。
 
 横綱相撲が得意ではないバルセロナとの違いでもあるのだが、それはともかく、今回の決勝は違った。リバプールに下馬評で上回られていた。チャレンジャーの立場で臨むことになった。

 決勝に限った話ではない。トーナメント1回戦の対パリ・サンジェルマン戦から、レアル・マドリードの立ち位置は同じだ。チェルシー戦(準々決勝)、マンチェスター・シティ戦(準決勝)とも、若干の身贔屓も手伝ったのだろう、英国のブックメーカー各社は過去3戦、予想をすべて外しているにもかかわらず、今回もレアル・マドリード不利と予想した。




 リバプールにはありがた迷惑な話だろう。この予想は選手に伝わる。自らの立ち位置を認識したうえで、選手はプレーすることになる。リバプールの選手は、試合が0−0で推移する状況に、そこから一刻も早く逃れたいと、いたたまれない気分でプレーしていたに違いない。

ストレスを溜めていったリバプール

 前半15分、17分、20分と、リバプールはたて続けにチャンスを掴んだ。絶対に負けられないプレッシャーから解放されるはずの決定的チャンスを決め損ねた。サラーが放った2本のシュートと、サディオ・マネが放ったシュートは、決まっていても不思議はないナイスシュートだったが、GKティボー・クルトワにことごとく阻止された。その回数に比例して、リバプールはストレスを溜めることになった。

 逆に前半43分、カウンターからカリム・ベンゼマにゴールを許す。オフサイドか否か、ただちにVARが介入し、3分以上を費やす長考の末、ノーゴールとなった。だが、リバプール側は思いどおりにいかない展開に、ますますストレスを溜めることになった。

 一方、レアル・マドリードには、オフサイド判定にも落胆する様子はなかった。うまく攻めれば、決定的なシーンを作り出せるという確信を抱いた様子だった。実際、ヴィニシウス・ジュニオールとベンゼマの2人は、リバプール側の脅威になっていた。番狂わせを重ねてきた過去3戦同様、2人のコンビネーションプレーだけで局面を打開することができていた。

 前半を終了した段階で予想するならば、まったくの互角。好勝負となっていた。くり返すが、この時点で下馬評と様子はだいぶ変わっていた。流れはレアル・マドリード側に傾いていた。過去3戦と同種の匂いにスタンドは包まれようとしていた。

 後半14分、ルカ・モドリッチ、ダニエル・カルバハル、カゼミーロで中盤の右サイドでボールをつなぎ、タッチラインで開いて構えるフェデリコ・バルベルデにボールが渡った。対応に出たのはCBのフィルジル・ファン・ダイクで、本来のマーカーである左SBのアンドリュー・ロバートソンは、モドリッチを深追いしすぎて、帰陣できずにいた。モドリッチのうまさを褒めるべきか、実直すぎたロバートソンのミスと言うべきか。

 バルベルデはリバプール最終ラインの乱れた並びを確認すると、そこに鋭いシュート気味のボールを蹴り込んだ。決勝点が生まれた瞬間だった。逆サイドから走り込んだヴィニシウスがこれに合わせ、ネットを揺るがした。

蘇ったベテラン選手たち

 リバプールは後半19分、24分、37分とサラーが際どい枠内シュートを放つが、クルトワが相次いでセーブ。勝因を挙げるなら、一番はこのベルギー代表GKの活躍になる。リバプールの攻撃のリズムとクルトワの反応はすっかり一体化していた。

 それを誘発したのは、レアル・マドリードのしぶとい戦いぶりだ。この決勝を含む4戦は、徳俵に足を掛けながらも、逆転する相撲を見ているかのようだった。二枚腰をここまで連続して発揮できるチームも珍しい。

 モドリッチ、トニ・クロース、カゼミーロ、ベンゼマと、中心選手の顔ぶれは、もう何年も変わっていない。新陳代謝の著しいチームではない。この顔ぶれが変わらない限り、浮上することはないと、何を隠そう、筆者はかねがね指摘していた。スペインリーグでは勝つことができても、欧州では難しいと記した記憶もある。しかし、彼らは少しも過去の選手になっていなかった。蘇った印象がある。今季、再び監督の座に就いたカルロ・アンチェロッティの指導力を、そこに見る気がする。

 決勝ゴールをマークしたヴィニシウスの成長も見逃せない。今シーズン、世界で最も伸びた選手と言われた時、文句なく一番に名前を挙げたくなる選手だ。守備者が周辺に4人くらいいても、ベンゼマとのコンビプレーで抜け出しそうな推進力に目を奪われる。同じスピード系でも、パリ・サンジェルマンのキリアン・エムバペより、サッカー選手らしさを感じさせる。ドリブル力そのものが高いのだ。

 クリスティアーノ・ロナウドがチームを去って4シーズン。今回のCL優勝も4シーズンぶりだ。大エースの退団と同時に下降線を辿ったチームがここで復活した理由は、ヴィニシウスの台頭にあり、となる。

 リバプールにはヴィニシウスがいなかった。サラーはクルトワの超美技がなければヒーローになっていただろうが、全盛期に比較すると物足りなく映ったことも事実。馬力、推進力、迫力でヴィニシウスに劣った。

 だが、レアル・マドリードの勝因を考えた時、やはり真っ先に来るのは、下馬評を4試合連続で覆したしぶとさになる。それを予算規模の小さなダークホースではなく、欧州一の名門クラブが実践したことに意義を感じる。レアル・マドリードの通算14回目の優勝は、同チームのこれまでには拝めなかった魅力が凝縮された、価値ある優勝だと言える。

このニュースに関するつぶやき

  • 勝因はたったひとつ。欧州で唯一「監督」と言ってもよい存在カルレットを保有しているか、いないか。それだけ。エル・ビアンコは保有しレッズは保有していなかった。それだけ
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