【山梨市立山梨南中】平井成二先生|「勝利にふさわしい」チームは学び続けた先にある

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2022年06月07日 19:12  ベースボールキング

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大月市立猿橋中、甲州市立塩山中、山梨市立山梨南中と、山梨県の公立3校を夏の関東大会に導いた実績を持つ平井成二先生。現役時代はキャッチャーで活躍していたこともあり、バッテリーを中心とした守りをベースに、ロースコアを勝ち抜く戦いを得意とする。日頃から「意図」や「狙い」を明確にした練習に取り組み、活動時間の短さを高い質で補っている。チーム作りとキャッチャー育成を柱に、指導のポイントを紹介していく。
「育成年代の『技術と心』を育む中学野球部の教科書」(大利実/カンゼン)の中から、一部をご紹介します。



ふさわしい取り組みの先に目標の達成がある
勝利にふさわしいチーム――。
取材当日、平井先生からもらった資料にひと際目立つ文字で書かれていた。
「『ふさわしい』は私の好きな言葉です。目指すものがあるのなら、それにふさわしい行動を取らなければ目標は達成できません。ふさわしさを求めていくと、自分自身に負荷をかけ、努力ができるはずです」

宮城県白石市の出身。県立白石高、福島大を経て、山梨県の中学校の教員となった。若い頃は、土日は丸1日練習や試合をするのが当たり前だったが、部活動ガイドラインが導入された今は土日どちらかが休みで、練習の場合は半日で終わる。2021年の新チームは7名の選手で、秋の大会は近隣の学校と合同チームを組んだ。冬の放課後は16時半完全下校のため、わずか15分しか活動ができない。野球、そして部活を取り巻く環境は大きく変わった。それでも、ふさわしさを求める気持ちに変わりはない。

「ふさわしい取り組みをしていれば、ふさわしい結果が出る。子どもたちには『大会が始まる前には結果は決まっている。だから、今できることを一生懸命にやろう』と伝えています。それは活動時間が短くても長くても変わらないことです」

平井先生曰く、目標を成し遂げる方法は、日々の積み重ねが結果につながる『運命追求型』と、ゴールから逆算する『目標達成型』の2種類にわかれるという。平井先生のチーム作りは「運命追求型」だ。先のことは見ずに、「今」に集中する。

学校でもグラウンドでも取り入れているのが「PKT」の考え方で、P(Problem= 今日の問題点)、K(Keep =よくできたので明日もキープ)、T(Try =明日トライするべきこと)の三要素に絞って、1日を振り返る。
「PKTの順番も大事で、最初に反省して、最後は『明日はこれをやろう!』と未来志向で終わるようにしています」

試合も同じ考えだ。ガイドライン、そしてコロナ禍によって、練習試合の数は激減している。1試合の価値を高めるには、学びや気付きを増やすしかない。
「試合をすれば、できないことが見えてきます。何をするべきなのか、優先順位を付けて練習に落とし込んでいく。私は守備からチームを作るので、守れないと試合にならない。
それならば、守備の何がダメだったのか。そもそも投げる技術がないのか、体勢が悪い中で投げたことでエラーが出たのか……、個人に応じた課題練習が必要になってきます」

選手たちには、勉強を例に出しながらこんな話をする。
「勉強は丸付けをしてから始まるんじゃないの? 丸付けをして、『宿題終わり!』では何の意味もないからな。バツを見つけて、バツを減らしていくのが勉強。バツがあったということは、わからないことに気付けたということ。どこが、苦手かわかるから努力できる!」

丸付けだけで終わるのは、成長するチャンスを逃しているのと同じことになる。
(続きは書籍で......)
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