【漫画】持病でポーチが手放せない少年、なぜ体育祭でヒーローに? コンプレックスの反転を描いた創作漫画が話題

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2022年06月09日 07:01  リアルサウンド

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リアルサウンド

『ポーチが取れない少年の話』より

 多様性についての理解が進むなかでも、「人との違い」が個性と受け取られず、コンプレックスとして人を悩ませることは少なくない。5月29日にTwitter上で公開された創作漫画『ポーチが取れない少年の話』は、そんな人との違いが個性として認められる瞬間を描いた作品だ。


(参考:漫画『ポーチが取れない少年の話』を読む


 男子中学生の安井は持病のため、救急セットが入ったポーチを常に身につけている。それが周囲からは奇異の目で見られ、“ポーチ君”というニックネームでからかわれていた。そんな安井は体育祭で唯一出場できる徒競走にエントリーするが、生徒会副会長や体育祭実行委員長など、学校の人気者たちが並ぶグループで走ることに。全校生徒の注目が集まるなか、安井は“自分だけの”走りを披露して――。


 現実にあり得る問題を描きながら、読後に優しい気持ちになれる本作を手掛けたのは、別名義で絵や映像作品を制作しているクリエイターの「びっくりした」(@BTKRST)さん。本作を描いた背景、漫画を描き始めた経緯など、話を聞いた。(望月悠木)


――現在の制作状況を教えてください。


びっくりした:別名義で絵と映像の仕事をしています。フリーランスですので、スケジュールを調整しながら、原稿に割く時間を作っています。


――絵を描くようになった時期は?


びっくりした:絵を描きはじめたのは17歳です。漫画を描き始めたのは20歳からと結構遅めです。これまでは「他人に喜んでもらえる作品を」と思っていましたが、ここ最近は「そろそろ自分のために作品を作ってもいいかも」と本腰入れて漫画を描き始めました。


――『ポーチが取れない少年の話』制作の経緯をお聞かせください。


びっくりした:どうしようもないコンプレックスと存在意義の話を描きたいなと思って制作しました。「コンプレックスを何にするか」というセンシティブなところで一番迷いましたが、「シルエットで分かるものがいいな」と思いポーチをつけました。


――安井というキャラはどのように作り上げたのですか?


びっくりした:SNSで容易に人と自分を比べることができる時代ですので、僕自身も含めて、コンプレックスを抱えて生きている人間は多いです。努力したところでどうにもならないこと、みんなと同じはずなのに自分にはできないことが確かにあります。だからといって、諦められるほど大人にもなれない。「そういう葛藤を表現したい」と考えた結果、安井というキャラクターができました。


――徒競走で倒れた生徒に対して安井が応急処置するシーンが、本作のクライマックスになっていますが、リアリティがありますね。


びっくりした:このシーンを描くために、ネットでいろいろ情報収集した上で、行きつけの病院の先生に取材しました。「徒競走に出るとして目の前の子が熱中症で倒れたらどうしますか?」「その子、今にも吐きそうなんですよ。手元になんでもあるとしたら何しますか?」と。矢継ぎ早に聞いてしまい、失礼しましたと謝りました(笑)。


――応急処置だけでなく、気分の悪さをケアするために「飴玉」まで“処方”する演出が粋でした。


びっくりした:「中学生ならこっそりお菓子くらいは学校に持ってきてるのでは?」と思って付け加えました。あと、保健室の先生が僕が吐いた後に飴玉をくれた、という経験も影響したのかもしれません。


――最後に今後について教えてください。


びっくりした:たくさん漫画を世の中に出せるように頑張ります。Twitterを中心に更新していくので、読んでいただけると嬉しいです。


(望月悠木)


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