小池徹平と黒羽麻璃央が火花を散らす! 『るろうに剣心 京都編』の“スピード感”

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2022年06月18日 10:11  リアルサウンド

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『るろうに剣心 京都編』(写真:引地信彦)

 小池徹平が座長を務めるミュージカル『るろうに剣心 京都編』が、IHIステージアラウンド東京にて上演中だ。主人公の緋村剣心を小池が演じ、ヒロイン・神谷薫に井頭愛海、神速で移動する“縮地法”の使い手である瀬田宗次郎に加藤清史郎、剣心の師匠であり育ての親でもある比古清十郎に加藤和樹、そして宿敵・志々雄真実に黒羽麻璃央が扮し、小池修一郎が脚本と演出を担当。彼らがいま、熱い火花を散らしている。


【写真】小池徹平と黒羽麻璃央


 アニメ、実写映画、ゲーム、舞台など、さまざまなメディアミックス展開がなされてきた『るろ剣』こと、大人気コミック『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(集英社)。今回のミュージカルは当初、2020年の11月より上演される予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により全公演が中止に。それから1年半の時を経て、ついに幕が上がった。『京都編』は、明治政府転覆を目論む志々雄真実一派と剣心らの京都での激闘を描くもの。佐藤健が主演を務めた映画は、『るろうに剣心 京都大火編』と『るろうに剣心 伝説の最期編』の前後編2部作として2014年に公開された。前編が139分、後編が136分の超大作だったが、このミュージカルは一幕90分の二幕仕立て。壮大なスケールの物語が180分のうちに見事に展開する。


 ここで最大の役割を果たしているのが、IHIステージアラウンド東京の劇場の構造だ。この劇場には、1300人以上もの観客を乗せた客席が360°回転するという大きな仕掛けがある。ステージとスクリーンが観客を囲む仕様となっており、場面転換は非常にスピーディー。各シーンはシームレスに目まぐるしく展開し、生身の俳優だけではどうしても表現しきれない“スピード感”を作品全体が体現している。そして何より、シーンが大きく変わるごとに客席が回転するため、このアトラクション要素から得られる興奮と新しいシーンに出会う期待感とを観客は同時に味わうことができるのだ。


 そんな本作にて座長を務めている小池徹平。俳優業のみならず音楽活動も早くから展開してきた彼は、近年は自身の代表作である『キンキーブーツ』をはじめ、数々のミュージカル作品に出演し愛されている存在だ。とはいえ『るろ剣』の緋村剣心役となると、かなりのプレッシャーがあったことは想像に難くない。すでにさまざまなメディアごとに剣心の顔が刻まれており、とりわけ実写版5作に主演した佐藤健の存在は大きいはず。しかし、こちらの心配など杞憂に終わる“剣心像”を、小池は小池らしく立ち上げている。それがやはり彼の歌声だ。柔らかさや強さ、鋭さなど、発するセリフはもちろんのこと、彼の歌声には剣心の心情が的確に反映されている。現在は“不殺の誓い”を立てて穏やかに過ごしているものの、かつては血も涙もない「人斬り抜刀斎」と呼ばれていた男の二面性を感じさせるパフォーマンスだ。


 この小池扮する剣心の宿敵・志々雄真実を演じている黒羽麻璃央は、大きな驚きを与える存在だ。実写版で藤原竜也が演じた志々雄といえば、全身の包帯がトレードマーク。物語の冒頭こそ黒羽は素顔で演じているが、作品の大半は包帯に包まれている。俳優の一つの武器である表情での表現は完全に封じられ、小池と闘うことができるのは声と肉体のみ。特殊な衣装は少なからず身体表現に影響を与えるはずだが、それを微塵も感じさせないパフォーマンスで彼は魅せる。そして、邪悪さを帯びた野太い声は小池の発するものとは対照的であり、非常に際立つもの。志々雄が持つカリスマ性の象徴として、多くの観客を魅了しているだろう。


 もちろん本作は、彼ら二人の闘いだけが見どころというものではない。井頭愛海が演じる薫と剣心のささやかなロマンス、松下優也演じる四乃森蒼紫の「打倒剣心」という執着心、加藤和樹演じる比古清十郎と剣心の師弟愛、加藤清史郎演じる瀬田宗次郎の成長までもが180分の中で展開する。舞台でしか、ミュージカルでしか、そしてIHIステージアラウンド東京でしか生まれることのなかった『京都編』である。


(折田侑駿)


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