宮澤ミシェルが考える、久保建英の現在地と来季に向けて必要なこと

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2022年06月28日 11:32  週プレNEWS

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写真久保建英について語った宮澤ミシェル
久保建英について語った宮澤ミシェル


サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第258回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、久保建英について。昨シーズンはマジョルカで思うような結果を残すことが出来なかった久保。そんな彼が新シーズンを迎えるにあたって必要なこととは?

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久保は、来シーズンに向けてどういう選択をするんだろうね。

FC東京からレアル・マドリードに移籍したのが2019年。世界のトップ・トップのチームには居場所がなくて、この3シーズンはレンタル移籍でプレーしてきた。1年目はマジョルカ、翌シーズンはビジャレアルとヘタフェ、そして、昨シーズンはふたたびマジョルカ。

久保がうまい選手だってことは、この3シーズンで世界中の誰もがわかったと思うよ。でも、個の力で打開してインパクトを残す活躍が期待できたかといったら、それは現状では厳しいと言わざるを得ないよな。

まわりにうまい選手がいて、そこで初めて久保の良さが出るんだと思うね。そういう選手がいれば、視野の広さをベースにして、パスワークだったり、連動性だったりという久保らしさをチームにもたらせるとは思うよ。

でもさ、まわりにうまい選手がいたら、久保に限らず、どんな選手だって持ち味は出しやすいよな。フィジカルの強さを発揮する選手だろうと、ドリブル突破が持ち味の選手だろうと、どういったタイプの選手であれ、チームに違いをもたらすことができるからね。

結局のところ、チームが何を欲するかになってきちゃうんだよな。いま、レアル・マドリードはカルロ・アンチェロッティ監督がチームを率いている。ベテランと若手を上手に融合させて、昨シーズンはリーグ優勝やチャンピオンズリーグ制覇を達成した。あのチームに久保が入ったときに、いまよりチーム力が向上すると思わせることを久保ができるかどうかだよな。

実際問題としては、レアル・マドリードには外国人枠の兼ね合いで久保の居場所はつくれなさそうなんだけど、仮にそこがクリアになったとしたら、果たして久保がチームに何で違いをもたらすことができるのか。

ドリブル? ゲームメイク? 得点力? まぁ、守備力ってことはないけど、この3シーズンで残した結果を振り返ると、どれもこれもインパクトに欠けるんだよな。2021−2022シーズンのマジョルカで韓国代表のイ・ガンインもプレーしていたけど、彼のほうがインパクトを期待できるプレーを見せていたよ。ゴールに向かってガツガツしているというかさ、まわりを使うよりも自分で勝負するっていうのが全面に出ていた。

イ・ガンインも21歳で、もっと強いクラブでプレーしたい気持ちがあるから、自分をアピールしていたんだよな。もちろん、まわりを上手に使えばチームが勝つ確率はもっと高まったかもしれないけど、やっぱり下位争いのチームにいる若手は、そこまでは考えないもんだからね。自分が生き残るためにがむしゃらにやる。そのほうが健全な気はするよ。

このあたりが久保に欠けている部分なんだよな。久保もがむしゃらにやっているのかもしれないけど、プレースタイルもあって、どうしても洗練されているように見えちゃう。洗練されているように見えるから、誰もがその将来性を買っているわけだけど、それだけだと時間の流れの速いサッカー界ではあっというまに過去の人になっちゃうんだよな。

来季はレアル・ソシエダに行くかもしれないという話が出ているけど、これはいいチャンスだと思うよ。ソシエダは久保のようなまわりを使える選手が生きるサッカーをやるからね。若手を臆せず登用する監督もいるし、ヨーロッパリーグでも戦えるからね。

ただ、やっぱり大切なのは、出場機会を自分の力で確保することだよな。レアル・ソシエダに行ったとしても、やっぱりチームに何をもたらせるかが問われるからね。得意なポジションでプレーできないとしたら、やっぱりそこまでの選手だし、そこを奪い取ってこそ、みんなの期待する久保建英ってことになるわけだからさ。

久保は今月4日で21歳になった。21歳ってのは日本の感覚だと若手だけれど、世界のサッカーで見れば、もう若くはないんだよな。18歳、19歳でトップクラブでレギュラーを奪う選手はざらにいるわけだからさ。

11月にはワールドカップもある。久保が日本代表としても生き残っていくためには、2022−2023シーズンをどこのクラブでプレーするかは重要になってくる。現状だとボーダーラインにいるように映るけど、新シーズンが始まったら久保はやっぱり「スタメン起用したいよ」なって日本中の人が思うくらいの活躍を見せてもらいたいね。久保建英という選手はそれができるだけの力はあると信じているよ。

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太

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