医ケア児の母が突然入院したら 娘の預け先の調整に奮闘

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2022年06月28日 16:00  AERA dot.

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写真写真説明:入院中に毎日飲んでいるコンビニのコーヒー。普段はなかなかコーヒーをゆっくり飲む時間がないので、おいしくいただいています/江利川さん提供
写真説明:入院中に毎日飲んでいるコンビニのコーヒー。普段はなかなかコーヒーをゆっくり飲む時間がないので、おいしくいただいています/江利川さん提供
 この原稿を書いている6月初旬。実は帯状疱疹(ほうしん)で体調を崩して入院しています。


 腫れも治まり、身体はすっかり元気になりましたが、あと数日点滴を続けなければならないらしく、もうしばらく入院が必要なようです。


 なかなか無い機会なので、今回は「障害のある子どもを育てる母親が突然入院したら」というテーマで書いてみようと思います。


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■まず長女の預け先の調整


 頭痛や皮膚が痛むなどの症状が出始めてから3日目。受診した皮膚科クリニックで「総合病院へ行った方が良い」と言われ、紹介状が出ました。皮膚科では恐らく入院になると言われたので、私がいなくても家の中が何とかまわるようにといろいろ考えました。何よりもまずは、医療的ケアが必要な長女の預け先の調整から始めました。


 たまたま長女は、その2日後から大学病院で4泊の予定でレスパイトケア(※病院などが、家族が行っている介護を一時的に代替するための入院のこと)が入っていました。現在はコロナ禍により、前日にPCR検査のために受診しなければなりません。私の帯状疱疹は顔に出たため、片目がうまく開かず運転できる状態ではありませんでした。夫もその朝だけはどうしても仕事の調整がつかず、長女を病院に連れていける人がいません。小児科医の友人あーちゃんに相談したところ、長女のかかりつけ医としてクリニックでPCR検査ができるように大学病院に交渉してくれました。


 その後、私も大学病院のソーシャルワーカーさんに連絡し、入院の可能性を伝えてレスパイト期間の延長ができないかとお願いしてみました。すると急遽院内で検討して下さり、大学病院での前日のPCR検査を当日の朝10時に変更し、陰性であれば長女はそのまま入院、さらに私の入院期間が確定したら、退院する日まで入院を延長してもらえることになりました。長女は夜間に人工呼吸器を使っているため、自宅周辺の病院や施設では受け入れてもらうことができません。自宅から1時間程離れたこの大学病院が唯一預けられるところであり、ここがダメなら児童相談所に入ってもらい、一時保護という形でかなり遠い場所に入院するしかなかったので、本当に助かりました。


■日頃のワンオペの影響


 レスパイトの前日は、朝、私が長女を特別支援学校のスクールバスに乗せ、登校させてから、私の受診のために総合病院へ行きました。やはり入院となったため、すぐに大学病院に連絡し、長女のレスパイトの延長をお願いしました。そして長女が学校からデイサービスを経由して帰るまでに夫に帰宅してもらい、お風呂の介助や夜のエネーボ(※経管栄養)の注入を頼み、さらに一晩、長女の隣で一緒に寝てもらいました。


 人工呼吸器は命を守る機械のため、ほんの少しマスクがずれただけで、具合が悪くなくてもアラームが鳴ります。そのため、仕事に支障が出ないように、普段、夫は別の部屋で寝ています。アラームによる睡眠不足や、ずれた呼吸器のマスクを元に戻せるのかととても心配でしたが、まかせるしかありません。



 何とか無事に朝になり、長女を大学病院へ連れて行ってくれました。持参する荷物は、前日に私がほぼ用意していたのですが、夫はなんと、朝まで使っていた人工呼吸器のマスクを入れ忘れ、車で片道1時間の道のりを2往復して取りに帰ることになったそうです。レスパイト当日の朝、長女が起きて人工呼吸器を外した後に、呼吸器本体とともに接続されているホースやマスクを荷物に入れるのは私の中では当然で、特に何も伝えていなかったのですが、夫にとっては当然ではなかったようです。詳しく聞いてみると、荷物に予備が入っているのが見えたため、病院ではそれを使うと思ったとのこと。我が家の夫は在宅時には協力的であるものの、多忙のため、あまり育児に関わることができません。こんなところでもワンオペ育児の影響が出るんだなぁと、自分のことながらしみじみと思いました。


■15年前は双子を両実家へ


 子どもたちが生まれてから私が入院するのは2回目です。1回目は、息子の妊娠中に安静入院が必要になった時でした。当時、双子の姉妹は1歳4か月。修正月齢(※早産児の成長発達を見るために出産予定日から修正して計算した月齢)では1歳1か月でした。まだ健常の次女も歩けず、双子はひとりずつ双方の実家に預けられ、障害のある長女に手がかかるので、週に1度のリハビリの日に二人を交換することに決まりました。


 私の母は毎日預かっている方の子どもを連れて着替えを届けに来てくれました。いろいろわかり始めた次女が、私ではなく母の抱っこを求めたり、「バイバーイ」と言いながら笑顔で手を振って帰っていく姿を見て、私を追って泣かれるよりずっと良い のだと思いながらも、やはり切なくなりました。今後、自分が母親だと思ってもらえなかったらどうしようと、次女と離れるたびに悲しくなったものです。


 結局入院は出産まで4か月も続き、私が退院した時にはすでに次女は離乳食を卒業し、大人と同じものを食べていることに驚きました。私の母も義母も、時間も体力も余裕があったからこそできたのだと思います。離れているうちにしっかりと育ってくれた双子を見て、両家の両親に感謝しました。当時は夢中で過ごした期間でしたが、振り返ってみるとこれも良い思い出です。


■次女・長男は普段通りに 


 さて。現在の我が家はというと、今回私が入院した日は次女と息子の定期テスト中でした。


 親としては、大切な時に体調を崩してしまい申し訳なく思いましたが、次女は高1、息子は中3と難しい年頃のため、どうやらうるさい母(私)がいない方が自由に過ごせて良いようです(笑)。私の両親と二世帯で暮らしていることもあり、特に困ったこともなく、普段通りに生活しているようすを見ると、本当に大きくなったんだなぁと実感しています。


 息子の妊娠時の安静入院以来、15年ぶりの入院。


 あと数日。のんびり過ごそうと思います。


※AERAオンライン限定記事


○江利川ちひろ(えりかわ・ちひろ)/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ。


このニュースに関するつぶやき

  • 帯状疱疹、辛かっただろうな…。頑張り過ぎが祟ってしまうなんて。 何はともあれ回復して来て何より。
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