「あの人が許せない!」苦しく許せない気持ちの手放し方

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2022年06月29日 11:11  ノーツマルシェ

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ノーツマルシェ

信じていた人や仲間だと思っていた人から、不意に傷つけられたり裏切られたりすると、「許せない」という気持ちになります。この「許せない」という気持ちを持ち続けると、心身の健康が損なわれると同時に、生活の質を落としてしまいます。とはいえ、なかなか手放せない「許せない」という気持ちを、どうやって手放せばいいのか? 心理カウンセラーがお伝えします。


 


1.「許せない」心理とは

「許せない」と思う前は、相手に対して信頼していたり、仲間意識を持っています。その状況に突然、傷つけられる、裏切られる、攻撃されることがあると、混乱して怒りを覚えるでしょう。しかし、すぐに謝罪されたり、それが故意によるものではなかったとわかれば、「許せない」というところまではいきません。


人が「許せない」という気持ちになるのは、相手が反省していない、自分に対して敵意を持っている、言葉だけの謝罪で誠意がない、何をしてもいいと軽く見られていると思うからです。そして自分との関係が深ければ深いほど、「許せない」気持ちが大きくなります。


 


2.なぜ許せないのか?

人は、「自分は道徳的で良識のある人間だ」という自己概念が根底にあります。言い換えれば、自分に危害がないのに、他者を傷つけたり攻撃するような悪い人間ではないと自分のことを思っています。だから、「許せない」と思う直前は、誠実な人間関係を築こうとしていました。しかし、その気持ちをいとも簡単に葬り去られた空しさと怒りが、簡単に許せるものかと思ってしまうのです。


そして、そういう体験が何度も繰り返されると、「許せない」だけではなく、「見返したい」「仕返しをしてやりたい」「同じ思いをさせてやる」という報復を考え始めます。こうなると、相手を敵と見なし、許すことは敵に負けることを意味するようになってきます。相手が間違っているのにそれを許すこと自体が間違っているという正義感も「許せない」気持ちを強くしていきます。


 


3.何のために許すのか?

「許せない」という気持ちが手放せない理由に、許すことは相手との関係を改善すること、つまり仲良くすることだと思っていることにあります。
しかし、許すことと関係を改善することは違います。許すことの第一の目的は、自分の心身の健康と生活の質を上げるためです。関係を改善することが、これからの生活でプラスになるのであれば改善する方がいいかもしれません。しかし、すでに関係が切れている場合もありますし、そこまで必要な関係でなくなったのであれば、仲良くしなくてもいいのです。


許すという最大のメリットは、「許せない」というネガティブな思考が繰り返されることによるストレスからの解放にあります。このネガティブな思考は怒りの感情を生み出し、それを常に繰り返し反すうすることで、心身に大きなダメージを与えています。つまり、「許せない」ほどの相手に、あなた自身が四六時中、関わられ傷つけられていることになります。


 


4.「許せない」気持ちの手放し方

「許せない」気持ちに翻弄されてしまうと、どうしてもいつか相手に仕返しをしてやりたいと思ってしまいます。そしてそのストレスが爆発すると衝動的に報復してしまうことになりかねません。これは、傷つけられた時に毅然とした態度で反論するのとは違い、相手と同じレベルで応酬しあうことになります。これでは、他者からの評価が落ちるだけでなく、自分も後で後悔することになるでしょう。衝動的で非建設的な反応を防ぐために「許せない」気持ちを手放すのです。


心からの許しの感情が湧いてこなければ、許すことにならないのではありません。許すということは相手に対して寛大で慈悲深い気持ちを強制するものではなく、あくまで自分がこれ以上傷つかず不利にならないための対処策です。


相手の立場に立って共感的になることで自然と心から許せるようになる「許し」もありますが、そうでない場合も現実は多くあります。そんなとき「許せない」気持ちに囚われて自分だけが負のループに巻き込まれるのは理不尽です。そういうときは、「合理的判断からの許し」という考え方があります。合理的に判断して、感情のコントロールをした方がよい場合があります。「怒り」の感情のコントロールです。


その方法は、相手に仕返しをしてやりたいという報復の考えを抑えるのではなく、相手にされたことを繰り返し考えるのを意識的に止めることで怒りをコントロールしていきます。


また、もう「許せない」気持ちを手放そうという自分の中の区切りをつけましょう。


・自分の気持ちを、相手に感情を入れすぎず建設的に伝える(相手の反応は加味しない)
・自分のありのままの気持ちを書き出す(自分の言葉で書く)
・誰かに今までの思いを聞いてもらう(話しにくければ専門家に話す)
・「許せない」気持ちを何かに託して捨ててしまう(心の断捨離のように)


このように、いろんな区切りの付け方があるので、自分に合った方法でやってみましょう。自分の幸せな人生のために「許せない」気持ちを手放しましょう。


[執筆:上土井 好子(公認心理師・心理カウンセラー)]


※画像:Sergey Nivens / PIXTA(画像はイメージです)


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  • 「繰り返し考えるのを意識的に止めることで怒りをコントロール」、経験上これは逆効果だった。考えないようにするのにエネルギーを使ってしまい、いつまで経っても気持ちが消化できなかった。
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