今、ハイエンドスマホの価格が高騰している理由 約20万円は許容できる?

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2022年06月29日 11:22  ITmedia Mobile

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写真一括価格が税込み19万872円で販売されているドコモの「Xperia 1 IV」
一括価格が税込み19万872円で販売されているドコモの「Xperia 1 IV」

 円安の影響もあり、さまざまな商品の値上げが続くこのご時世。スマートフォンもまた例外なく値上げの傾向にある。今回は、スマートフォンの価格がなぜ高騰しているのかを考察した。



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●5年で倍近い値上げとなったスマートフォンも



 スマートフォンの値段の変遷について、iPhoneとAndroid端末(Xperia)にて、過去5年間の価格変動を簡単にグラフで示した。今回iPhoneについては2017年のiPhone Xを除き大画面モデル(Maxシリーズ)で256GBのものを、Xperiaではその年の最もハイエンドに位置する端末で比較する。



 価格グラフを見ると、2021年からの急激な価格上昇が目立つ。2022年の新型iPhoneは未発表だが、昨今の為替相場を考慮すると値上げは避けられないと考える。



 約19万円という価格が話題となったXperia 1 IVだが、4〜5年のサイクルでスマートフォンを検討するユーザーからすると、2017年に発売されたフラグシップモデル「Xperia XZ Premium」と比較すると、2倍近い価格差となっている。



●背景には部品数の増加や高品質化 半導体不足も影響



 端末価格高騰の背景には部品数増加がある。カメラの多眼化や5G対応などもあり、数年前に比べて実装部品数は増加している。加えて、機種によっては各種独自開発の部品の採用例もあり、モノによっては複数のベンダーとの共同開発していることもあるので、コスト増の要因となっている。



 大型イメージセンサーを採用した強力な手ブレ補正機構搭載のカメラ、120Hzのリフレッシュレートに対応した色表現に優れる有機ELパネル、急速充電に大容量バッテリーの採用など、従来の実装部品に比べて高コストになっているものもある。特にイメージセンサーは複数採用されることもあって、部品コストの上昇は顕著だ。



 一部ではメーカー独自設計のプロセッサを備えるスマートフォンも出ており、このような取り組みはコモディティ化するスマートフォンにおいて、競合他社への差別化となる。



 昨今の半導体不足の影響も価格高騰に響いている。ハイエンドスマホ向けのプロセッサは「先端半導体」とも呼ばれ、非常に高度な技術にて製造されている。一方で生産可能なメーカーがサムスンやTSMCに限られること、競合製品とのラインの関係で全ての設備を割けないこと、製造方式の変更直後は歩留まりがあまり良くない点が指摘されている。



 加えて、製造設備のライン構築にも多大な投資が必要で、単価コストも上昇している。この先端半導体を求める企業は多く存在することから、各社で取り合いになっている状態だ。ソニーのXperiaやシャープのAQUOSは販売台数的にもGalaxyやXiaomiの同セグメントに比べて少ないため、部品の調達価格そのものが高いと想像される。



 デザインについても金属ボディー、背面パネルはガラス加工が一般的になり、プラスチック製の樹脂だった頃に比べると製造コストは高騰している。さらに近年ではマットガラスの加工がiPhoneを始め採用されている。このガラスは割れやすく加工が難しいため、通常のガラスよりもコストがかかる。



 比較的安価な路線を突き進んできたXiaomiでも、現在のハイエンドであるXiaomi 12は約7万円〜の価格設定だ。これは4年前のXiaomi Mi9の約5万円台から高騰しており、スマートフォンの価格高騰はメーカーを問わず世界的に見ても共通だ。



●世界的に見ても進む、ハイエンド端末のプレミアム化



 近年のスマートフォンメーカー各社は、ハイエンドよりも上の「プレミアムモデル」と呼ばれる部分に注力している。価格帯的には約15万円前後の設定で、今までのハイエンドスマートフォンよりも数万円高いものとなるが、スペックには一切妥協のない機種としてここ数年展開されている。



 草分け的存在としてAppleのiPhone Xがあり、この機種の登場以降10万円以上の価格設定のプレミアムモデルのスマートフォンが増えた印象だ。



 プレミアムモデルは現在のiPhoneではPro Maxのポジション、GalaxyではUltraと名がつくポジションが当たる。このようなスマートフォンは各シリーズの最上位に位置するポジションで、一部機能はオーバースペックなものを採用しながらも、メーカーの考える魅力的な先端機能を多く備えている。この流れは中国メーカーにも波及しており、Huawei がPro+のポジションを展開して以降、各社でプレミアムモデルが毎年展開されている。



 近年ではこのプレミアムモデルに新しいジャンルの折りたたみスマホも加わっており、Galaxy Z Foldシリーズを皮切りに中国メーカーが各社追従している状態だ。ほぼ全ての機種が20万円以上の価格設定となっており、現在のプレミアムモデルのはしりともいえるものだ。



 2021年にドコモとauから発売された「Galaxy Z Fold3 5G」の価格は20万円を超えており、Galaxy Z Flip3 5Gは約15万円だった。手軽に購入できる商品とはいえないが、一般的なスマートフォンにはない機構を採用していることもあり、この価格にもある程度の納得感はあった。



●残価型プランの登場でキャリアモデルの一括価格が高騰



 キャリアの施策についても注目したい。多くのユーザーがスマートフォンを購入する手段として、大手携帯キャリアで購入することが多い。そのため、各キャリアが展開する価格が注目されている。



 XperiaやGalaxyは海外モデルに比べ、国内キャリアモデルは常に値段が高めだという指摘がある。これは日本独自バンドへの対応、おサイフケータイへの対応、各種日本語対応化などが挙げられる。



 日本におけるスマートフォンの価格が高騰したきっかけも、やはりiPhone Xの存在といえる。一括価格で14万クラスのスマートフォンが入ってくると、大手キャリアも2年縛りを前提とした仕組みを見直さねばならなくなったのだ。



 この頃はApple StoreにてiPhoneが購入できるようになっていたため、ストア版に比べて同じ仕様のキャリア版はなぜあんなに高価なのか? と疑問を持つ方もいたはずだ。一方、キャリアは「月々サポート」といった、回線契約を前提とした割引を行っていた。当時の各社負担額はiPhone X 256GBモデルで実質8万円前後となったが、それでも月負担額は高価なので、ソフトバンクのように48分割プランを設けるキャリアも現れた。



 加えて、総務省の規制が大きく価格にも影響してくる。特に端末の値引き規制と、プラン料金の是正化、2年縛りの禁止などで、今までプラン料金から回収できた端末割引料金を満足に回収できない状態になってしまった。



  2019年頃からキャリア各社は新しいスマートフォンの利用方法を提案している。「スマホおかえしプログラム」などと呼ばれるもので、端末を一定期間利用して返却すると、端末の分割金額の一部を支払い不要とする仕組みのものとなる。この方法なら10万円超えの価格設定の端末でも、実質5万〜7万円程度で利用できる。特にソフトバンクでは、このプログラムを前提とした価格設定にしており、iPhoneをはじめとして一括購入価格がドコモやauに比べて数万円高い端末も存在した。



 特に2020年の5G初年度はインフラ投資の回収も含めてなのか、全般的に端末価格が向上し、ハイエンド端末においてはほぼ全て10万円以上の価格設定となった。このような状態でありながらも、前述のプログラムを使用すれば、従来の月サポを利用した料金とさほど変わらない形で利用できる。



 ここに世界的なスマートフォンのプレミアム化の波が重なり、本体の製造コストが高騰してしまった。加えて日本向けのローカライズ、前述にあるようなキャリアの販売事情が重なることで価格面は数万円単位で向上したというのが現状だ。現在、大手キャリアが取り扱うiPhone 13 Pro Max(256GB)、Galaxy S22 Ultra、Xperia 1 IV、AQUOS R7(価格はドコモのみ発表)は全て18万円以上の価格設定となっている。



●スマートフォンの価格高騰はどこまで続くのか



 最後に、このスマートフォンの価格高騰がどこまで続くのかを占いたい。既にGalaxy Z Foldシリーズが「折りたたみスマートフォンは2000ドル(24万円前後)の価格でも売れる」と実証してしまっている。この分野はまだまだ発展途上なだけに、新技術を惜しみなく注ぎ込んだ機種の価格下落は考えられない。



 一方で、折りたたみスマホのような高額な商品の登場、持続可能な社会の考え方もあって、Androidスマートフォンもサポートが長期化するようになってきている。Galaxyでは4年間のアップデートを保証するなど、端末が高価でもあっても長く安心して使えるように変わりつつある。



 先日発売された「OPPO Reno7 A」の操作感は、3〜4年ほど前のプレミアムモデルと同等と感じる。言い返せば、今高額なスマートフォンを購入し、4年後もある程度は使えるということになる。



 これからは「ハイエンドモデルを2年に1度」ではなく、「プレミアムモデルを4年に1度」買い替えるサイクルが主流になるかもしれない。iPhoneと同じくAndroidスマートフォンもサポートが長期化すれば、高価でも長い目で見れば満足できるはずだ。



 一方で、日本市場でもプレミアムな商品から安価な商品まで、多種多様なスマートフォンが展開されている。自分の求める使い方に合ったスマートフォンを価格や機能面から選ぶことも大切だと考える。



 高価になり続けるスマートフォン。卓越したユーザー体験を長期にわたって得たいのであれば、プレミアムなスマートフォンを検討してみてはいかがだろうか。高い投資に見合った体験を得られるはずだ。


このニュースに関するつぶやき

  • そのハイエンドは本来の電話機能では無くゲームとかカメラの性能でしょ。
    • イイネ!1
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