「HUAWEI MatePad Paper」の使い勝手はどう? 最新E Ink搭載タブレットを試す

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2022年06月29日 12:22  ITmedia PC USER

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写真HUAWEI MatePad Paperは便利に使える?
HUAWEI MatePad Paperは便利に使える?

 ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本)が6月9日、E Ink(電子ペーパー)を搭載する10.3型タブレット「HUAWEI MatePad Paper」を発売した。日本ではWi-Fiモデルのみの展開で、税込みの直販価格は6万4800円となる。



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 E Ink搭載タブレットといえば、真っ先にAmazonの「Kindleシリーズ」を思い浮かべるかもしれないが、HUAWEI MatePad Paperは専用スタイラスを使った手書きに対応していることがKindleシリーズとの大きな違いだ。ペン付きのE Inkタブレットは、ONYX Internatinalの「BOOXシリーズ」や富士通クライアントコンピューティングの「QUADERNOシリーズ」など、徐々に種類が増えているジャンルでもある。



 果たして、HUAWEI MatePad Paperは便利に使えるのだろうか。サクッとチェックしてみようと思う。



●タブレットとしては軽量 32段階の明るさ調整に対応



 HUAWEI MatePad Paperのディスプレイは、10.3型のE Inkだ。解像度は1404×1872ピクセル、色調はモノクロで、輝度は32段階から調整できる。輝度調整をすることで、屋外はもちろん暗い場所でも便利に使える。



 本体重量は約360gと軽く、付属のカバーとスタイラスペン「HUAWEI M-Pencil (第2世代) 」を装着した状態でも実測値で550g程度となる。E Ink搭載タブレットとして特別というわけでもないが、長時間手に持って使ったり持ち運んだりしても苦にはならなさらそうだ。



 縦に持った際の本体右上には電源キーがある。この電源キーには指紋センサーも統合されており、自分の指紋を登録しておけばサッと画面ロックを解除できる。



 MatePad Paperは会議の議事録の保存や仕事のメモ書きに非常に便利なデバイスでもある。画面ロックをきちんと行うことで、簡単に誰かに見られてしまうという心配がなくなる。指紋認証を併用すれば、セキュリティと利便性を両立可能だ。



●アプリの充実は課題の1つか



 MatePad PaperのOS(基本ソフト)は、ファーウェイ独自の「HarmonyOS 2」となる。このOSは、スマートフォンやタブレットからウェアラブルデバイスまでを広範にカバーするもので、「Android Open Source Project(AOSP)」がベースとなっている。



 同OSでは、独自のアプリストア「HUAWEI AppGallery」を利用してアプリをインストールする。ただ、記事を執筆した6月中旬時点において、MatePad Paperに対応するAppGallery掲載アプリは8つしかなかった。「アプリに対応している」とうたってはいるが、率直にいって、これでは「対応している」というには厳しい。



 E Inkを搭載するモデルゆえに難しい面もあるかもしれないが、対応アプリをもっと充実させてほしい所である。



 Androidスマホ/タブレットに詳しい人なら「AOSPに対応しているなら、AndroidのAPKファイル(アプリのパッケージ)をインストールできるのでは?」と考えるかもしれない。それはその通りで、MatePad PaperでもAPKファイルのインストールは可能で、Webブラウザ経由でAPKファイルをダウンロードするツールも利用できる。



 ただ、正規のストアを経由しない、いわゆる「野良アプリ」の利用は全くの無保証である上、使う側にも相応の知識が必要となる。もっといえば、悪意を持ってユーザーの個人情報などを取得しようとするトラップが仕掛けられているかもしれない。



 安全かつ快適にアプリを使う観点から、繰り返しだがAppGalleryの対応アプリが充実することを期待したい所である。



●電子ブックリーダーとして便利に使える 課題はストアアプリ



 MatePad Paperは「HUAWEIブック」というオリジナルの電子書籍ストアを利用できる。発表時の説明では「書籍の数は(グローバルで)30万冊以上、国内の書籍は10万冊以上に対応」と言っていたのだが、実際に検索してみるとメジャーなマンガでも登録されていないものが多く、説明と比べるとどうしてもラインアップは少なく感じてしまう。専用アプリには書籍の検索機能も付いているのだが、検索結果にヒット件数は出てこない。



 書籍の充実は今後に期待したい所だが、合わせて書籍の一覧性の改善や「シリーズ」「著者」ごとの表示に対応するともっと使いやすいストアになるのではないだろうか。



 サードパーティーの電子書籍サービスは、ヨドバシカメラが提供する「Doly(ドリー)」のアプリが対応している。Dolyで購入した電子書籍をアプリでダウンロードして読むという形で利用することになる。



 ただ、モノクロのE Inkを想定していないせいか、Dolyアプリの操作画面は、一部に見づらい部分がある(色使いにもよるが、電子書籍を読み進める際には支障ない)。また、MatePad Paperにジャイロセンサーを搭載していない都合で本体を横向きにしても「見開き表示」に切り替えることができない。画面の向きを手動で変更するすべもないため、縦向きで閲覧するしかない。なお、HUAWEIブックでは購入した書籍は手動で横向き(見開き)切り替えられるようになっている。



 Dolyアプリの改善が進めば、HUAWEIブックにないコンテンツをDolyでカバーすることもできるし、逆もまたしかりである。アップデートに期待したい。



●Webブラウザは動画対応 Podcast的に楽しむのが吉



 MatePad Paperには「HUAWEIブラウザ」がプリインストールされている。Wi-Fiに接続できれば問題なくWebサーフィンも行える。



 このHUAWEIブラウザは、他のファーウェイ製スマホ/タブレットに搭載されているものと機能面において違いはない。ゆえに動画の再生にも対応しており、思った以上にしっかと再生できる。



 ただ、書き換え回数(フレームレート)の少なさや前の描画内容の一部残存といったE Inkゆえの“弱点”はどうしても出てしまう。厳しいなりに再生できること自体は評価したいが、本体単体では動画の音声を楽しむといった「Podcast風」に楽しむ程度が一番良さそうである。



 なお、MatePad PaperはMiracastによるワイヤレス映像投影にも対応している。Miracast対応デバイスに映像を投影すると、動画をよりスムーズに再生できる他、普段はモノクロで表示されている部分をカラーで確認することもできる。後述する手書きメモを大人数で共有したい場合にも便利だ。



●手書きメモはとても使いやすい



 ここまで、主にアプリ面で残念な評価が続いてしまったが、MatePad Paperの主な特徴の1つであるペンを使った手書きメモは非常に使いやすい。ファーウェイ自身も発表会では手書き機能を始めとするビジネスライクな使い方を訴求していたが、アピール通りの使い方であれば使い勝手がかなり良い。



 先述の通り、製品に付属するスタイラスペンはHUAWEI M-Pencil(第2世代)だ。4096段階の筆圧検知に対応しており、ファーウェイ製の一部のタブレットでも利用できる。MatePad Paper上での書き心地もスムーズだ。本体横にペンを装着すると、ペンの内蔵バッテリーを充電できる。



 メモアプリには9つのテンプレートが用意されており、用途に応じて使い分けられる。メモを作成した後でもテンプレートは切り替えできるので、書くときだけけい線を表示しておいて、後から閲覧する際に無くす(=空白にする)といったことも可能だ。



 ただ、好きなテンプレートを自分で追加することはできない。このあたりは今後のアップデートに期待したい。



 メモアプリには、手書きした文字を認識してテキスト変換を行う機能も用意されている。認識精度はかなり高く、走り書きした文字でもほぼ正確に変換できた。会議の議事録を作成する際には役立ちそうだ。



 AppGalleryからインストールできる「WPS Office」を使えば、PDFファイルを表示したり、PDFファイルに手書きの署名を書き込んだりすることもできる。デジタルサインが必要な場面でも便利に使えるはずだ。



別アプリとメモアプリは分割表示可能



 Webブラウザや電子書籍など、他のアプリを使っているときにスタイラスで右上から斜めにスワイプすると、画面分割のメニューが出てくる。これを使うと、左側にブラウザなどを表示しつつ、右側でメモ書きが可能となる。



 一般的なAndroidスマホ/タブレットのように任意のアプリ(※2)を2つ並べるといったことはできないが、資料を見ながらの書類作成ははかどりそうである。



(※2)アプリ側の対応も必要(明示的に利用できないようにすることも可能)



●手書きタブレットとして優秀 仕事道具として使い倒したい



 今回、MatePad Paperの使用期間は短かったが、ミーティング中の手書きメモ、あるいはPDFファイルへの署名や書き込みなどの用途であれば、非常に使いやすいタブレットであると感じた。



 一方で、電子書籍やアプリを使う目的で購入するのであれば、あまりお勧めできない。電子書籍回りはアプリの改善などで大きく“化ける”可能性もあるが、現状では少し厳しい。あれこれといじることに喜びを感じる「ヘビーユーザー」であれば、自力でアプリを追加することを含めて面白い素材として使えるだろうが、一般的なユーザーで電子書籍の閲覧やアプリの利用を目的とするのであれば、素直に他のAndroidタブレットを検討した方がよい。電子書籍の閲覧に特化するなら「Kindle」デバイスという選択肢もある。



 アプリ面についてはGoogleのサービスを利用できないという制限が大きく足を引っ張っている。しかし、先述の通り、特に電子書籍アプリの改善があれば大化けする可能性がある。今後、この辺りのアップデートが行われるのかも注目しておきたい。


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