写真![]() 貯蓄が1000万円以上ある人と、貯蓄が0円という人とでは、生活習慣にさまざまな違いがありますが、その一つに「生活設計を立てている」という点があることをご存じでしょうか。「2人以上の世帯」についてのデータをもとに、1000万円以上貯めている人の思考を探ります。 |
「生活設計」への考え方、あなたはどちら?
以前「生活設計を立てている」と答えた人ほど、貯蓄額が多い傾向にあるとお伝えしたことがあります。今回は、貯蓄が1000万円以上ある人と、貯蓄が少ない人のデータを比較してみました。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」(2021年)の「生活設計策定の有無」から読み解きます。ぜひ、ご自分の場合と比べながらご覧ください。
※当記事の「貯蓄」とは、「金融資産」全体のことをさします。また、例えば翌月のカード引き落とし代など、日常的に使うために一時的に貯めているお金ではなく、将来のために備えている貯蓄や運用のためのお金をここでは「貯蓄」とします。
※一部、ガイドがデータを再集計して算出しています。
「生活設計を立てている」割合に大きな差が!
「あなたは、生活設計を立てていますか」と聞かれたら、以下Aタイプ、Bタイプ、Cタイプのどの回答になるでしょうか。
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・Bタイプ……「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」
・Cタイプ……「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」
では、貯蓄0円の人、貯蓄1000万円以上の人、中間くらいの貯蓄300万〜400万円の人の回答の割合を見てみましょう。
・貯蓄0円……Aタイプ17.5%、Bタイプ42.2%、Cタイプ40.3%
・貯蓄300万〜400万円未満……Aタイプ39.8%、Bタイプ43.4%、Cタイプ16.8%
・貯蓄1000万円以上……Aタイプ55.5%、Bタイプ33.2%、Cタイプ11.3%
貯蓄0円の人のうち、「生活設計を立てている」というAタイプは2割未満で、「生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」というCタイプは4割もいます。ところが、貯蓄300万〜400万円未満の人では、Aタイプが4割近くに増え、Cタイプが逆に2割未満に減ります。
では、貯蓄1000万円以上の人はどうでしょうか。Aタイプが半数以上と、いっきに増えます。貯蓄0円の人(17.5%)に比べると、割合としては3倍ほどと大きな差です。「生活設計を立てている」ということと貯蓄額との関係性が高いことが、なんとなくわかりますね。
「今後は生活設計を立てるつもり」というBタイプにも注目!
次に、「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」というBタイプの割合を見てみましょう。貯蓄0円の人は、このBタイプが4割超ですが、貯蓄1000万円以上の人では、3割ほどと少なくなっています。とはいえ、「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」というBタイプの人は要注意! 「〜するつもり」と思っているだけというケースがよくあるからです。そう思いながらずるずる先のばしになり、結局何もしないままという経験はないでしょうか。
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貯蓄が1000万円以上あっても、生活設計を立てることは大切
貯蓄1000万円以上の人は、他の貯蓄額の人に比べるとAタイプが多めですが、一方で「Bタイプ+Cタイプ」を合わせると4割超。つまり、貯蓄1000万円以上でも、半数近くの人が「現在は生活設計を立てていない」ことがわかります。貯蓄が1000万円以上と多く、余裕があるので「生活設計については必要がない」と考えているのかもしれません。今はよいとしても、10年後、20年後になると状況が変わるかもしれませんので、貯蓄に余裕があるという人も、ぜひ一度生活設計を立ててみることをおすすめしたいです。
以上、「生活設計」についての考え方を、貯蓄1000万円以上の人、貯蓄300万〜400万円の人、貯蓄0円の人で比較してみました。Bタイプ、Cタイプの人は「生活設計を立ててみる」ことに少し関心がわいたかもしれません。
以前の記事「貯蓄アップのコツは「生活設計」にあり!」でも紹介しましたが、生活設計をざっくり立てるために、
1)人生における「お金の使い時」を考え
2)「貯め時」にガッチリ貯めて「お金の使い時」に備える
という2つのステップに、ぜひ取り組んでみてください。
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出版社に勤務し、編集・マーケティングに携わった後、フリーライターとして独立。女性誌やビジネス誌などで、貯蓄法や子育てにかかるお金の貯め方などをテーマに取材し、原稿・コラム執筆などを行っている。
(文:西山 美紀(ファイナンシャルプランナー))