小島慶子「婚姻制度は人口を増やすため? 大阪地裁判決を考える」

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2022年06月30日 07:00  AERA dot.

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写真エッセイスト 小島慶子
エッセイスト 小島慶子
 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。


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 同性婚を認めていない現行法は違憲ではない──このほど大阪地裁が下した判決です。婚姻の平等を求める「結婚の自由をすべての人に」訴訟では、昨年3月の札幌地裁で違憲判決が下されました。異性カップルに認められている婚姻制度が同性カップルには認められていないのは、憲法14条の法の下の平等に反するとする画期的な判決でした。しかし、今回大阪地裁は違憲ではないとし、それを覆(くつがえ)す判決となりました。


 札幌地裁では、同性婚をめぐる日本の社会状況について、かつて同性愛が精神疾患とされていた時代があったことから高齢世代には否定的な意見が多いものの、近年では国民の多数が同性婚に対して肯定的な意見を持つようになっていること、また現在では同性愛は精神疾患ではなく、自身の意思に基づいて選択・変更できるものでもないという確立した知見があることをあげ、異性愛者と同性愛者が享受しうる法的利益に差異があってはならないとしています。



 一方、大阪地裁では、パートナーシップ制などの広がりで異性間と同性間の差異は緩和されているとして、違憲には当たらないとしました。同性間で婚姻ができないという差別があるからこそ、同性カップルの不利益に配慮した制度としてパートナーシップ制が広がっているのに、現状追認でそもそもの差別を放置するような見解です。


 また、異性間の婚姻の目的についても、札幌地裁では男女が共同生活を送ることにあり、必ずしも子を残すことのみが目的ではないとしましたが、大阪地裁では男女が子を産み育てるための制度としています。子どもを持たない夫婦や、熟年で結婚する夫婦もいます。婚姻を個人が大切な人と安心して生きるための制度と見るのか、国家の人口を増やすための制度と見るのか、根本的な眼差しの違いが露見したと言えるでしょう。


◎小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。寄付サイト「ひとりじゃないよPJ」呼びかけ人。

※AERA 2022年7月4日号


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  • 平安時代以前から婚姻という風習があってそれを制度化したものという認識。戸籍も江戸ぐらいからあったはず。人口を増やす制度というように捉えること自体ナンセンス。
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