ジェーン・スー「キャリアプランと出産 働き始める前に知っておきたいいくつかのこと」

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2022年06月30日 18:00  AERA dot.

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写真働き始める前に知っておきたいいくつかのこと(イラスト/サヲリブラウン)
働き始める前に知っておきたいいくつかのこと(イラスト/サヲリブラウン)
 作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。


*  *  *


 今年の頭から少しずつ単発のお仕事をセーブして、半期かかってようやく少し楽になりました。どうしてもやりたい案件もいくつかあったので、それらは昼夜を問わず頑張りましたが。


 来年で50歳になります。長期的なプランなど皆無のまま、目の前のことを片づけていたら、あっという間でした。しかし、気力体力は圧倒的に低下している! 年月!


 就職活動中の若者から、「キャリアプランが思いつかない」という相談を受けることがあります。「そんなの当然だから気にするな」と私は答えます。そりゃあ大学や高校在学中から先を見据えて人生設計をする賢人もいるでしょうが、計画なんてものは思い通りにならないもの。とにかく目の前のことを頑張っていれば、道は拓ける。40歳まではそれでいいのでは? と、私は思ってしまうのです。



 と言いつつ、私は出産する気がなかったからそんなことが言えるのだとも思う。なので、先のアドバイスを女性にするときには「出産についてどう考えるかは念頭に置いておいて」と伝えます。我ながら漠然としており申し訳ない。


 まだ起きてもいないことを心配するなとよく言われますが、出産に関しては、ある程度リミットに目星をつけておいたほうが良いという人も少なからずいる。自分の体を使って妊娠出産をするのであれば、生物学的に限界があるのは間違いありません。


 たとえば私が30代前半で妊娠したら、そこから2年くらいはある程度仕事をセーブしなければならなかったと思います。体力的にも無理が利く、働き盛り第1期とも言える時期に。しかも、のんびりはできない。様々な武器を過積載した働き盛り第2期に仕事をセーブし「楽になった」と一息つくのとはわけが違います。



 理論上、育児は複数の手で行うことができますが、出産は違います。回復にも個人差がある。この時期をどう乗り越えるかの知見を、就活中の女子と行政と経済界に授ける経験者が数多く必要なのではなかろうか。特に女子学生は、働き始める前に知っておきたいことだと思います。


 自分の可能性には未確定要素が多く、ギチギチにプランを立てる必要はないこと。出産を念頭に置く場合、仕事のペースが崩れる時期があること。女性がこのふたつのバランスをうまくとる方法が「ひたすら頑張る」なんですよね、まだ。さすがにヤバいと思う。


○じぇーん・すー/1973年、東京生まれ。日本人。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニスト。著書多数。『揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ』(朝日文庫)が発売中。


※AERA 2022年7月4日号



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