辻元清美氏の「顔」頼みの立憲 敵は大阪にあり? 与野党対決より野党対決が過熱 参院選

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2022年07月01日 06:00  AERA dot.

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写真辻元清美氏の応援で演説する菅元首相=大阪・京橋駅前
辻元清美氏の応援で演説する菅元首相=大阪・京橋駅前
 自民党圧勝との情勢分析もあり、勝負はすでに決したような参院選だが、“場外乱闘”は盛り上がっている。立憲民主党と日本維新の会の「野党第1党」をかけた戦い。昨年の衆院選の勢いを駆って勢力拡大を目指す維新に対し、立憲はその衆院選で敗れた辻元清美氏を比例候補として前面に押し出し、知名度を生かして票の獲得につなげる狙いだ。


【写真】昨日の友は今日の敵?
 公示後、最初の日曜となった6月26日、大阪のターミナル・京橋駅前に来た辻元氏。集まった支持者を前に、


「物価が上がって、児童手当打ち切りや減額という岸田政権。病気なって熱出ている人に水かけているようなもんや」


 と声を上げた。


 このまま以前のように政権を「ぶった切る」ような演説が続く、と思いきや、自民への批判はそこそこに、矛先を維新に向けた。


 維新が進める大阪・関西万博やカジノを含む統合型リゾート(IR)について触れ、


「物価上昇で経済がしんどい。大阪はコロナでたくさんの方がお亡くなりになった。ウクライナ戦争の危機もある。こんな危機で維新はカジノ、カジノ、カジノ。世界でカジノ言っているのは大阪だけ」


「カジノを頼って景気浮揚、これはおかしい」


「カジノ、万博、これって昭和の政治じゃないですか」


 と大きな声で訴えた。


 その批判は、全国を参院選の支持で駆け回る、維新の松井一郎代表、吉村洋文副代表にも及んだ。


「大阪の知事、市長は、府民、市民のために仕事をすべきだ。それをほっぽり出して参院選の演説に回る、おかしいと思いませんか!」


 そして、辻元氏の横には、マイクを握った菅直人元首相の姿があった。


 菅元首相は、参院選の前に、


「維新政治を斬る! 日本維新の会の研究」


 という冊子を発行した。その冊子を手に菅元首相は、


「維新の大ウソを徹底的に調べて、書いています。このパンフレットを出して、維新からは何もクレーム、反論などはきていません。これを読んで大阪の皆さん、2人に1人が維新に投票しないようになれば、大阪選挙区で維新2人の当選はありません」



 と主張する。与党には触れず、


「大阪だけではうまくいかないからと、維新は東京にも来ている。私は何をすべきか、待ち受けるほうがいいのか。少なくとも相手の本拠地に乗り込むべきだと思って大阪に来ているのです」


 と続けた。


 菅元首相は、党から「大阪特命担当」との肩書を受け、大阪で徹底的に維新批判を展開している。


 なぜこれほどまでに「維新憎し」の選挙戦を繰り広げるのか……。


 その要因としては、参院選序盤の各社の世論調査で、比例区の予想議席が、維新より立憲が1〜2議席少なめに出ていることにある。立憲は、旧民主党時代からの「野党第1党」の座を失うかもしれない、ぎりぎりの状況にあるのだ。


 立憲の幹部が話す。


「自民党は今回も、選挙区、比例区と、知名度が高いタレントなどの候補者が複数います。維新も歌手、元スポーツ選手たちを擁立している。だけど、党勢が低調なうちは知名度のある候補者を比例区に立てることができなかった。一番の目玉が辻元氏なのです」


 辻元氏は民主党政権時代、内閣総理大臣補佐官や国土交通副大臣などの要職を歴任し、国会での舌鋒(ぜっぽう)鋭い論戦でも全国的に知られている。衆院議員を7期務めたベテランだが、昨年10月の衆院選では大阪10区から出馬して維新の新人に敗北し、比例復活もならなかった。


 それでも、立憲の中では、辻元氏の個人票の得票が最も多いと予測する世論調査もあるなどの理由で、辻元氏個人の知名度に頼らざるを得ないという党内事情がある。


「辻元氏が大量得票できるかどうかが、維新と野党第1党を争う中で重要なのです。菅元首相にお願いして大阪に張りついてもらっているのも、そういう背景があります。自民党にはとうてい追いつかないので、維新より上に行き、野党第1党をなんとか死守したい」


 前出の立憲幹部が苦しい胸の内をそう明かす。


 辻元氏も街頭で、


「2枚目の投票用紙には大阪だけでなく、全国の方に辻元清美と書いてもらえる」


 と訴える。



 27日には東京に姿を現した。JR三鷹駅前で、ミカン箱くらいの小さなお立ち台の上でマイクを握り、


「大阪弁しかしゃべれなくて、大阪の候補者だとよく間違えられるんですけど、全国比例区なので全国どこからでも個人名で書いていただけるんです。大阪でしか名前書いてもらったことがないんで、これを機会に全国行脚しようと思って、47都道府県のうちの44まで回りました」


 と東京でも、「投票用紙2枚目」をアピール。


「大阪はたくさんの人がコロナで亡くなりました。何回も何回も同じ失敗を繰り返し、たくさんの人が亡くなったんです。なぜかといえば、維新が圧倒的多数を占めてしまっているので、維新の吉村知事に対し、コロナ対策やカジノ誘致について、おかしいじゃないかと言う議員がいなくなったんです。国会もそんな状態にしたらあかんと思うんです」


 と維新批判を繰り広げた。


 一方、これまで大阪で辻元氏を「攻撃」してきた維新。


「辻元氏が全国を回って、菅氏が大阪で維新の悪口を触れて回るのは頭が痛い半面、それだけうちも注目されるポジションになったということ。辻元氏は立憲の大阪の象徴のような人だった。昨年の衆院選では、まさに『打倒辻元』でした。今回の参院選で比例区に回った辻元氏は、大阪ではうちに勝てなくなり、逃げ出したとみていますよ。世論調査の数字でもうちは立憲より好調です。今のところ、あまり大きな影響は感じていない」(維新の国会議員)



 野党同士の“足の引っ張り合い”を尻目に、岸田文雄首相は選挙期間中にもかかわらず、G7サミットに出席するなど余裕をみせる。



 ある自民幹部が話す。


「そりゃ、参院選がこういう情勢だから岸田首相もなんの心配もなく外遊できるでしょう。自民にとっては、憲法改正などを考えると昨年の衆院選に続き維新に勢いがあるのはありがたい。立憲は参院選でダメならまた党内抗争が激化するんじゃないのか。野党第1党が維新でも立憲でも、どちらでもかまわない」


 どの党も、国民のためより、党のため?


(AERA dot.編集部・今西憲之、上田耕司)


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  • 目ざわりだね 顔で選挙は勝てませんよ 全ては成果と結果 何も結果を出さないような人は消えろ 結果がすべてだよ
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