大きな仕事や育児・介護後にほっとしたら要注意!「無気力」から抜け出す方法【公認心理師が解説】

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2022年07月01日 21:21  All About

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写真仕事、子育て、介護などから解放され、ほっと一息つくと同時にむなしい気持ちにおそわれ、気力がわかなくなってしまう。こうした不調を「荷下ろし症候群」と呼びます。 乗り越える2つのポイントをご紹介します。
仕事、子育て、介護などから解放され、ほっと一息つくと同時にむなしい気持ちにおそわれ、気力がわかなくなってしまう。こうした不調を「荷下ろし症候群」と呼びます。 乗り越える2つのポイントをご紹介します。

仕事・子育て・介護がおわり……ほっとするとともに襲われるむなしさ

これまで仕事にがむしゃらに励んできたが、役職定年や定年退職、プロジェクトの終焉などを境に、暇をもてあます日が増えた。「あの忙しい日々はいったい何だったのだろう」とふと思ってしまう……。

子どもたちが成人、社会人となり、それぞれに自立。「手が離れてよかった」と思う一方で、無性にさびしい気持ちにとらわれてしまう……。

長年つづけてきた介護が終わり、忙しさから解放されてやっと一息。これからようやく色々なことができると思っていたのに、何もやる気が起こらない……。

中高年になると、上のような複雑な心境をおぼえ、つらく感じる人が増えていくようです。仕事や子育て、介護などの責務から解放され、ほっとすると同時に、むなしい気持ちやさびしい気持ちが押し寄せ、憂うつになってしまう。このような状態になる方は少なくありません。

重い荷物を下ろしたあとのように、無気力になる「荷下ろし症候群」

こうした状況のときに注意したいのが、「荷下ろし症候群」です。背負いつづけてきた重い荷物を下ろしたときのように、緊張感から解放されるとともに気が抜けてしまい、無気力になりやすくなる心身の状態です。

「休日も返上して全力で働いてきたのに、結局なにも残らなかったのではないか……」
「子どもはあっさりと親元を去ってしまった。何のために苦労してきたのだろう……」
「家族がいなくなった今、いったいなにを心の支えに生きていけばいいのか……」

このように、「自分は何のために生きているだろう」と考え続け、答えが見つからずに虚無感におそわれる方もいます。体を休めても疲労感がとれず、よく眠れない、食欲がわかない方も少なくありません。

なにもしたくない、人に会いたくない……家にこもり老化が進むことも

暇になったらやってみたいこと、行ってみたい場所がたくさんあったのに、時間ができた今、何を見ても心が動かされず、どこに行っても心が満たされない……。その思いのギャップに戸惑い、「どうしたらやる気が出るのだろう」とため息をつく方も多くいらっしゃいます。

人に会うのもおっくうで、友だちに誘われても行きたくない、行ったところで憂うつな表情を見せるのはつらい、繰り言ばかり聞かせてしまいそう。そう思い、人と会うことに躊躇してしまう方も多いものです。そのため、家にこもる時間が増え、ぼーっとすごしているうちに足腰も体力も衰え、老化が進んでしまう方も少なくありません。

上のような状態がつづいている場合、うつ病などの心の病の可能性もあるので、まずは心の専門医に相談することをお勧めします。同時に、このつらさを楽にするためのヒントを2つお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。

1)一度、立ち止まって自分にとっての「正しい生き方」を見出す

荷下ろし症候群に苦しむ方には、それまでやりたいこともがまんし、全力で走りつづけてきた人が多いのではないでしょうか。今は、自分なりの「正しい生き方」を見出すための模索期間だととらえてみましょう。

自分なりの「正しい生き方」を知るには、立ち止まって考えるのがいちばんです。「正しい」という字を分解してみてください。「一」と「止」で構成されていますね。この字の構成からも、今の自分にとって何が正しいのかを理解するには、「一度、止まる」ことが必要だといえるのではないでしょうか。

「何もやりたくない」「何にも興味がそそられない」という思いは、無理に何かをしようとせず、止まってゆっくり考えたいという心のサインなのかもしれません。

2)少し興味を感じたことを「歩くペース」でやってみる

1)を意識して過ごしていると、心のなかから「なぜかこれが気になる」「ここに行ってみようかな」といった思いが、ふと湧いてくるものです。そう感じたら、ぜひできることからやってみましょう。

気になる場所を訪れる、読みたい本を読む、食べたいものを食べる……。一つひとつはささいなことかもしれませんが、つなぎ合わせていくと、今の自分が求める「正しい生き方」が鮮明に浮かび上がってくるかもしれません。

ただし、心がけたいのは「歩くペース」でおこなうことです。時間がないからさっと、あるいはなにかのついでに漫然とやるのではなく、歩くペースで一つひとつのことをゆっくり、じっくりやってみることです。

ちなみに、「歩く」という字も分解すれば、「少し」と「止まる」で構成されていますね。少し進んだら立ち止まって考える、このペースを意識して進みましょう。このような歩みで進めば、これまで見落としてきた大切なことに気づく瞬間が訪れることと思います。

荷下ろし症候群はつらいものですが、そこをくぐり抜けると、これからの生き方の指針となる大切な気づきを得られることが多いものです。上記の2つをヒントにしながら、ぜひ自分の心がほんとうに求めていることを探る気持ちで、ゆっくりと進んでいきましょう。

大美賀 直子プロフィール

公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つメンタルケア・コンサルタント。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。カウンセラー、コラムニスト、セミナー講師として活動しながら、現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法について幅広く情報発信を行っている。
(文:大美賀 直子(公認心理師))

このニュースに関するつぶやき

  • ぼーっとできる時間も必要なんだけど、仕事で忙しくてよかった。少ない1人きりの時間で自分に向き合うのは充分。独りの時間が長いとドップリマイナス思考に漬け込まれてしまう。
    • イイネ!7
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