頭がいい人ほど陥りがちな「社会的洗脳」 思い込みを解除して人生の選択肢を増やす

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2022年07月02日 08:00  AERA dot.

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写真経済評論家勝間和代さん(53)かつま・かずよ/アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。スキルアップや起業等をサポートする“学び”のコミュニティーサロン「勝間塾」を運営(photo 片山菜緒子)
経済評論家勝間和代さん(53)かつま・かずよ/アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。スキルアップや起業等をサポートする“学び”のコミュニティーサロン「勝間塾」を運営(photo 片山菜緒子)
 私たちの思考や行動は、無意識のうちに親、企業、メディアから縛られている。何げない「思い込み」を解除するだけで、視界の外に追いやっていた情報や選択肢に気づき、人生は前に進む。AERA 2022年7月4日号より紹介する。


【ランキング】飲酒関係が筆頭?代表的なブレインロックの18例はこちら
*  *  *


「給料が安くても、やっぱり好きな仕事を選ぶほうが人生、幸せだと思う」


 こう言われてNOと答える人は何人いるだろうか。本誌読者のアンケート回答を紹介する。


「稼げないけど、好きな仕事をしているので文句はない」(個人情報の記入なし)


「好きでないと仕事を続けられないと思います。給料とモチベーションの落としどころを見つけないと生活が破綻しますよね。だいたい給料なんて“がまん料”みたいなものでは?」(東京都・会社員・60代以上)


 好きな仕事で十分な収入を得られるなら理想的だが、そうでない場合は、いわゆる“やりがい搾取”に陥ることもある。それでも「私は好きな仕事をがんばっている」という思いを拠り所に薄給かつ長時間労働を続ける人は少なくない。アンケートに答えてくれた人がそうとは言えないが、「好きだからOK」という思考が生まれるのはなぜか。勝間和代さんに聞いた。


「それは脳にプログラミングされた『ブレインロック』の影響です。日本語でいうと“社会的洗脳”でしょうか。幼少期には親や学校からのブレインロック。社会に出てからは企業またはメディア発のブレインロック。人間が無意識のうちに埋め込まれる価値観や、思想の刷り込みのことを指します。ブレインロックにかかると思考や行動に余計な制限が生まれがちです」


思い込みの自覚なし


 怖いのは、本人は“偏った思い込みを持っている”という自覚がない点だという。


「無意識に合理性のない選択をすることで、お金や時間を失っているケースが多い。でも本人は脳にプログラミングされた通りに行動しているだけなので、なんの疑問も抱きません」


 好きな仕事をしているが給与が低い人はどうすればいい?


「『自分が息を吸って吐くようにできてしまうことに対して、ほめてくれる職場へ転職すること』、これに尽きます。好きだが自分の得意分野が生かせない仕事では努力をしても評価されず、収入も上がらないでしょう。自分にとっても雇用者にとってもメリットがありません」


 現代社会では、長時間労働をしても成果に結びつきにくい。


「今は資本とテクノロジーが企業の付加価値を生む時代。つまり労働者個人が毎日数時間余計に働いたところで、企業の利益にはほぼ影響がないのです」



 代表的なブレインロックの18例を勝間さんが挙げてくれた。冒頭のアンケートは本誌読者の“ブレインロック度”を測るため、あえて勝間さんの名前は出さず「今の日本人の一般的なモノの考え方を探るため、かっこつけない正直な意見」を聞くとしてYESとNOだけで回答してもらった。YESが多い=ブレインロック率が高い項目の順に並べてある。



 その結果、飲酒に関するブレインロックが筆頭にきた。


「飲み会で盛り上がった相手とは、やはり関係性は深くなると思う」(個人情報の記入なし)


「お酒は趣味なので『多少』ではなく『けっこう』楽しむ。周りに迷惑がかからないのであればよいのでは」(同)


 確かに多少の飲酒を楽しんでもいいかと問われたら、YESと答えたくなる。勝間さんも飲酒厳禁と言ってはいない。


「お酒で問題なのは人生の優先順位が狂ってしまうケースです」


 酔いゆえの失言で人間関係にヒビが入る。失言こそ無いにしても、二日酔いで仕事のパフォーマンスを落とすことはありそうだ。翌日に酒が残るほど飲んでしまうことが増えてきたら危険水域。仕事や人間関係以上に酒が大事という人は少ないだろうが、酒にはその大前提をひっくり返すだけの力がある。


「安いが正義」の是非


 ブレインロックはお金に関するものも多い。日々の買い物に関する埼玉県の女性(47)の意見を紹介しよう。


「食料・日用品の値上げが家計に響き、週末のまとめ買いを始めました。肉は『肉のハナマサ』で1キロの豚こま肉、ひき肉、鶏むね肉。お米やペットボトル、調味料は夫に車を出してもらい『業務スーパー』へ。それぞれ1時間強かかりますが、これまでとほぼ同じものを買い、月5千円は節約できています」


 首都圏在住でもネットスーパーを使わない理由は?


「昼間は働いているので受け取りづらいという物理的な理由です。生鮮食品は、手にとって確かめたものを買いたいですし」


 買い物をするなら安いもののほうがいいという考え方に関して、勝間さんはこう言う。


「節約を楽しむのはよいことですが、時間に余裕がない方は一考の余地があります。5千円の節約のため、せっかくの休日に二つのスーパーで各1時間、月にして8時間かけているのはもったいないのでは」


“自分の目で見て選びたい”という意見には、こう答えた。


「スーパーの生鮮食品は生産者とバイヤーを通じて選び抜かれています。もし不良品にあたっても、すぐ返金または交換してもらえます。そもそも不良品にあたる確率は低いのです」



大銀行安全説は崩壊


「素人の投資は危険」というブレインロックも根強い。今回のアンケートでも3位に入った。


「個別株の値動きを予想することはプロでも難しい。リスクは実際、高いです。私はインデックス型の投資信託を毎月、定額で積み立てる方法を勧めています。投資は危険というブレインロックにかかると、初心者にもできる方法があるという情報を脳が受け付けなくなります」


 なお、「大銀行のおすすめなら安全」についてはほぼ崩壊、否定的な意見が多かった。


「大銀行なら安心なんて、勉強不足の情報弱者。こんな人、いるのか? 信じがたい」(埼玉県・会社員・40代)と辛口の意見も。「努力すれば成功できる」「真面目に働けば出世する」「がんばらないと稼げない」も軒並み下位に来ている。


「ずる賢さがないと出世にはつながらないと思う。昔の会社員のように年功序列の世の中ではないので」(個人情報の記入なし)という現実派が目立った。その脇で「真面目さで損をすることも多いが、損得では考えない生き方の人間がいてもいい」(愛媛県・職業記載なし・60代)など、成功は二の次という考え方も。そもそも出世に対する欲や人より多く働く姿勢が薄れているように見受けられた。


 ブレインロックは、いわば日本人を何十年もやってきた末に陥った「罠」だ。親や学校からしっかり教育され、企業の理想通り真面目に働き、メディアや書籍から最新情報を吸収──そういった、よりよく生きようと努力する賢い人ほどブレインロックにハマりやすい。


 ではロックを解除するにはどうすればいいのだろう。


「新しい情報に触れること。家族や職場とは違う世界にいる人と話すこと。情報のポイントは『質より量』です。たとえば親から刷り込まれた一つの考え方とは違う情報が二、四、六……と増えていくたびに刷り込みが薄れます。そして一定の量を超えた時に思考がひっくり返ります。その繰り返しです」


(エディトリアルライター・木村直子、編集部・中島晶子)

※AERA 2022年7月4日号


このニュースに関するつぶやき

  • プライドが高く、高学歴の人は、左翼脳になりやすい。���ä���自分が間違ってると思いたくないので、意見を変えない。���ä���
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