若者の投票率の伸び悩む理由 「入れたい政党がない」「よくわからないから棄権」指摘も

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2022年07月03日 08:00  AERA dot.

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写真時折雨が激しく降ったにもかかわらず、国政与党による若者対象のイベントに集まった人たち/6月12日、さいたま市(撮影/編集部・井上有紀子)
時折雨が激しく降ったにもかかわらず、国政与党による若者対象のイベントに集まった人たち/6月12日、さいたま市(撮影/編集部・井上有紀子)
 参院選が公示され、7月10日の投開票に向けて選挙戦がスタートした。選挙結果だけでなく投票率も注目される。特に国政選挙で若者世代の投票率が伸び悩んでいる。なぜか。「参院選」を特集したAERA 2022年7月4日号の記事を紹介する。


【グラフ】参院選の年代別投票率の推移
*  *  *


 「地域の課題を改善しようとする人たちがこんなにいるんだと希望を持ちました」


 茨城大学4年の大金咲由莉さん(21)は、1年時に市議のもとで2カ月経験したインターンをそう振り返る。一方で、若者の参加を呼びかけたのにもかかわらず、市議のタウンミーティングに集まった人たちは50〜80代と中高年だったことが気になったという。



「私もインターンじゃなかったら、行かなかったかもしれない。政治好きな年上の人たちに『君はどう思う?』とガンガン詰められると困ってしまう」


 大学生の議員インターンシップを運営する「ドットジェイピー」理事長の佐藤大吾さんは言う。


「インターンを経て、さまざまな思いを抱くでしょう。ただ、報道を通してしか政治を知らなかった学生が、経験に基づいた自分の意見を持つようになることが大切だと思います」


 若者にもそれぞれ問題意識はある。だが、10〜30代の投票率は他世代と比べて低い。前回の2019年参院選ではいずれも30%台だった。その原因について、投票行動に詳しい早稲田大学の日野愛郎教授はこう指摘する。


「若者と政党の間でミスマッチが起きています」


 日野教授は昨年の衆院選で、性別、年齢の人口分布に沿う4800人超にインターネットで意識調査をした。29歳以下に「選挙の争点」を聞くと、30歳以上に比べて同性婚の合法化、コロナ問題、候補者の男女均等化、候補者の被選挙権年齢の引き下げ、高等教育の無償化などを挙げる人が多かった。だが、実際に投票に結びついた争点は、憲法改正、沖縄基地問題などだった。つまり、自分の関心とは別の判断基準で投票していたことがわかった。


 日野教授はこう分析する。


「いつも感じている課題がある一方、選挙前になると憲法や外交安全保障の問題に切り込む報道などが増えるから、『選挙はこう選ぶもんだ』と若者が思わされるのかもしれません。もしくは、自分の感じる課題が選挙前にさほど話題にならず、そういう課題解決を公約に掲げている政党があるか認識できないまま、入れたい政党がないと思って棄権してしまうのではないでしょうか」


わからないのが普通


 各党に政策提言する超党派の若者団体「日本若者協議会」のメンバーで、早稲田大学1年の芹ヶ野(せりがの)瑠奈さん(20)は言う。


「政党のウェブサイトに情報が書かれていますが、1時間調べたくらいでは、どの政党に入れたらいいのかわからないのが普通だと思います。投票をするにはニュースや国会の中継から今の日本社会の流れを把握することも大事ですが、それも難しいと思います。そう突き詰めると、よくわからないから棄権する人、とりあえず有名な自民党に入れようという若い人の気持ちもわかります」




 実は若者政策は増えてきたと指摘するのは、同協議会代表理事の室橋祐貴さん(33)だ。


「各党の若者政策や若者の話を聞く機会は増えています。6月15日にこども基本法が成立、来年4月にこども家庭庁が発足するように、政治が子どもの意見を聞こうという空気感にちょっとずつ変わっています。各政党が数年前から、不定期でオンラインカフェのような若者の話を聞く場を開いています」


 例えば、自民党は政権与党として低所得世帯対象の高等教育や3〜5歳児の幼児教育・保育の無償化、待機児童数の削減を実施し、野党第1党の立憲民主党はコロナ禍で困窮する学生への支援を議員立法した。今回の参院選で野党第1党の座を狙う日本維新の会は、重点政策の一番上に出産無償化と教育無償化を掲げている。


結局は大人が決める


 ただ、室橋さんはこうも指摘する。


「政党は若者の声を聞いているようで、そこまで重要視していないと思います。例えば、困窮学生への支援は若者の声を聞きながら進めましたが、それ以上に世論が盛り上がったから実現された面が大きいのではないかと思います。政策公約をつくるうえで、若者の声を聞くことがプロセスとして位置づけられているわけではないのです。本気で聞いているところまではいっていないと思います。学校と同じで、子どものためではあるが、結局のところ大人が考えて決めているんですね。だから、政党の青年部の担当者が代わったら、動きが止まるケースがこれまでもありました」


 そしてこうも言う。


「気候変動や教育に関する政府の審議会や政党の部会には若者協議会は呼ばれますが、社会保障や雇用の公式の会議には呼ばれたことがありません。予算規模の大きな分野はまだ大人世代が中心です」


 若者たちの声が届く政治を望みたい。(編集部・井上有紀子)

※AERA 2022年7月4日号に一部加筆


>>【前編】たかまつなな、若者の選挙への本音を分析 「自分たちの課題は政策に反映されない」


このニュースに関するつぶやき

  • 消去法でいいんだよ。モアベター。ベストを謳う方がおかしい。その傾向は野党に顕著だな。
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