年間10作品以上に出演、引っ張りだこ俳優の岡山天音 逃げ道なかった学生時代「普通に学校通えていたら俳優辞めてた」

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2022年07月03日 08:40  ORICON NEWS

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写真2009年のデビュー以来、数多くの作品に出演している岡山天音(C)oricon ME inc.
2009年のデビュー以来、数多くの作品に出演している岡山天音(C)oricon ME inc.
 ヘタレ役から好青年、真犯人から被害者まで見事に演じ分け、年間10~20作品に引っ張りだこの俳優・岡山天音(28)。今年もドラマ『ミステリと言う勿れ』『恋なんて、本気でやってどうするの?』、映画『キングダム2』『さかなのこ』『沈黙のパレード』ほか、出演作が相次いでいる。若手随一の実力の背景には、もがき苦しんだ下積み時代があった。しかし、“下積みは苦しまなければいけない”という固定観念から解放された途端に、今の活躍に繋がる道が開けたという。毎日が憂鬱だったという学校生活から、人気俳優に至るまでの軌跡を岡山に聞いた。

【写真】イチャイチャしすぎ!? 岡山天音&山崎賢人の仲良しコンビショット

■親友・山崎賢人との共演「彼の代表作を自分が壊してはいけないという思いで挑んだ」

 2019年に公開され、興行収入57.3億円突破の大ヒットを記録した人気コミックの実写映画『キングダム』。その続編となる『キングダム2 遥かなる大地へ』(7月15日公開)は、主人公・信の初陣となる“蛇甘平原(だかんへいげん)”の戦いを描いた壮大な物語となっている。この大作で、岡山は山崎賢人(※崎=たつさき)演じる主人公・信と同郷の尾平を演じた。

「前作の公開時に、ある種のムーブメントのようなものが起きているのを肌で感じていたので、尾平役に決まったときは“よっしゃー!”という気持ちでしたね。ただ、プレッシャーはありました。賢人とはデビューした頃からの付き合いで、プライベートでも親交があったので、ちょっと特別な緊張感があったというか。『キングダム』は彼にとって代表作とも言える大事な作品ですし、どれだけ賢人がこの作品に愛情を注いでいるかわかっていたので、それを自分が壊してはいけないという思いで挑みました」

 岡山と山崎は1994年生まれの同い年。2012年に映画『アナザー Another』で初共演を果たし、以降もドラマ『黒の女教師』や映画『氷菓』で共演している。

「同志でもあり、10年来の友達でもあります。そういう存在って他にはいないので、共演するたびに妙な照れくささを感じてしまいますね(笑)。今回、現場にいる賢人を見るのは久々だったので、どんな感じでシーンと向き合っているのか、少し離れたところから彼のことを見つめたりしていました」

 本作で山崎演じる信は、清野菜名演じる羌カイ(=やまいだれに鬼)や尾平らと共に歩兵の5人組の仲間“伍”を結成し、戦場へと向う。彼らが運命共同体となって戦場を駆け抜けるシーンも多く、岡山は「とにかく壮大で、激闘の渦中に放り込まれた尾平の如く、僕自身も奮闘しながらの撮影でした」と振り返る。

「戦のさなかに放り込まれたシーンが多く、そういう場にいる尾平の役割はなんだろうと考えたときに、“リアクション”だと思いました。原作でも尾平のリアクションが物語の重要な緩急になっていますが、気を抜くと同じようなリアクションになりかねない。身体的にも精神的にも物語が進むごとにどんどん変化していくので、この役を任せていただいたこととしっかり向き合い、僕だけのオリジナリティみたいなものをシーンごとに細かく提示していくことを意識しながら演じていました」

■憂鬱な日々を忘れられたデビュー作、オーディションに落ち続けるも「後戻りできなかった」

 本作のような大作映画からミニシアター系の作品、ドラマとジャンル問わず、幅広く出演してきた岡山。彼のデビューのきっかけは、15歳の時に出演したNHKドラマ『中学生日記』だった。もともと好きな番組で、自ら履歴書を書き、あとは送るだけというタイミングで母親と揉めてしまった。

「母子家庭で一人っ子だったんですけど、その頃は多感な時期だったから喧嘩しちゃったんですよね。それで『もう履歴書出さねーよ!』って投げやりな感じで言い放ってしまって(笑)。だけど、母親が知らぬ間に履歴書を出してくれていたんです」

 中学生の頃は“人が見ている前で何かをするのが恥ずかしい”という理由でバスケ部を退部した経験を持つ彼だが、人前で泣いたり怒ったり演技することに抵抗はなかったのだろうか。

「初めての撮影現場で、毎日が非日常の連続だから“わ〜面白い!何これ?”みたいな、日々新しいものと出会っている感じが楽しかったです。それまでの人生って基本憂鬱で、なにかしらのモヤモヤを抱えていたのですが、『中学生日記』の現場ではそういったものをちょっと忘れられることができたんですよね。それぐらい強烈な体験でした」

 こんな時間をもっと経験したい――。その一心で事務所のオーディションを受け、俳優業を本格的に開始。しかし、それ以降は演じることが苦痛になってしまったという。

「保育園の頃にやった劇すら恥ずかしいと思うような性格だったので、例えば人前で大きい声を出すとか、お調子者の役が来ると嫌で嫌で(笑)。あと、“人に失望されたらどうしよう”という恐怖心が人一倍強いので、それも“恥ずかしさ”を感じてしまう大きな要因なんじゃないかなと思います」

 いまでこそオファーの絶えない岡山だが、デビュー当初は何年もオーディションに落ち続ける日々が続いた。それでも、俳優を続けるモチベーションは後がない「危機感」だった。

「まともに学校に行ってなかったこともあって、“後がない”という危機感は常に感じていました。だから、どれだけ苦しくて過酷な状況になっても、その“後がない”という気持ちが自分を引き留めてくれていたんです。もしも普通に学校に通えていたら、間違いなく俳優を辞めていましたね」

 保育園の時から、小学校も中学校も、なぜみんなが朝ちゃんと起きて学校に行って、夕方までいられるのか、不思議に思っていたという岡山。そんな彼が、人生で初めて、居場所を見つけられたのが撮影現場だった。どんなに苦しくとも、容易く手放すことはできなかった。

「ある時、仕事で知り合った方に『楽しい?』って言われてから、考え方が大きく変わりました。それまでは“苦しい下積みの先に光がある”みたいな、日本人特有の固定観念が強かったのですが、その一言で『楽しんでいいんだ!』と気づかされたんです。『キングダム2』の現場でも、尾平のリアクションは思考を巡らせないと表情の造形も似ていってしまう。そこで如何に毎回新しい表現を捻り出すかとか、そういうのも楽しくて。メソッド的なものは常に変えていっているし、毎回変な球を投げ込むみたいなことを試しています。理想は“昨日の自分がビックリするような自分であり続けること”ですね」

■たとえ学校に行けなくても、それが世界の全てではない「1本の道に絞らない方が良い」

 子どもにとっては学校が絶対的社会、大人でも、辛い状況にある時はつい視野が狭くなり、自分が今置かれている環境が全てと思ってしまいがちだ。そんな人たちに向けて岡山は、自身の経験を持ってアドバイスを贈る。

「状況は絶対変わるので、全部わかっちゃったなって見切りをつけた気にならない方が良いと思います。急に景色が開けたりすることもありますから。たとえ学校に行けなくても、何がリスキーで何が安全かなんて、今の時代誰も言えないんじゃないですかね。学歴を積むことがリスクに働く人もいるかもしれないし、本当に好きなことを好きにやりましょうって思いますし、僕もそうやって生きていきたいですね」

 バラエティや音楽、YouTube配信など多方面で活躍する俳優も多く、いまや副業が可能な一般の会社も増えている。俳優一本を極めているように見える岡山だが、彼のモットーは、出来る限り広い視野を持ち、ユーモアを持って日々過ごすことだという。

「どんな世界でも、1本の道に絞らない方が良いんじゃないかなと思いますね。本当に人間って脆いので、それがもし何かの拍子にできなくなったときに、取り返しのつかないことをしちゃうんじゃないかなと。シリアスになり過ぎない方が良いですよね。職人として1本に絞っていくのが向いている人もいると思うので、もちろんそれも素敵ですけど、ほとんどの人がやっぱり余白となるようないろんな道を用意しといた方が、生きやすいんじゃないかなって思いますけどね」


 岡山の長年の友人である山崎賢人は、かつて「仕事が人生のすべて」と考えていた時期があったと語っている。しかし、その仕事がうまくいかなくなったとき、自分が無価値に思えてしまい、存在意義が分からなくなっていた。そんなとき救いとなったのが、岡山の言葉だったという。

「賢人、100%で考えすぎだよ。人生の数あるうちの1個が仕事だよ」

 岡山は、学校と言う“逃げ道”がなかったがために、俳優を続けざるを得なかった。その暗い長いトンネルを駆け抜けた彼だからこそ出てきた言葉であり、山崎の心に響いたのだろう。

 そんな2人の友情も、“信”と“尾平”として垣間見える『キングダム2』。今作も、日本映画史上に残る名作となること間違いない。


(取材・文=奥村百恵/撮影:田中達晃(パッシュ))

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  • 最初に知ったのは、朝ドラのひよっこで漫画家を目指してるアパート住人の役どころ。
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