スマホの使いすぎでうつ症状が出るケースも、医師が警告「自律神経うつ」の恐怖と予防策

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2022年07月03日 13:00  週刊女性PRIME

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写真死にいたる自律神経系うつの恐怖(※画像はイメージです)
死にいたる自律神経系うつの恐怖(※画像はイメージです)

 全世界的にメンタル不調が増加している。経済協力開発機構(OECD)が昨年実施したメンタルヘルスに関する国際調査によると先進国でうつ病、うつ状態の人が増加しているとの結果が出た。日本国内でも’13年に7・9%だった有病率が’20年には17・3%と2倍以上に増加していた。

 私たちの身近でも“気分が落ち込む”“倦怠感”“意欲・気力の低下”などの症状を訴える人も目立つようになった。「うつ病ではないか」と疑い、心療内科や精神科を受診する人も少なくはないのでは。

 うつ病は大きく分けて、精神疾患の『大うつ病』『頸筋うつ』の2種類がある。

「大うつ病は遺伝性のあるうつで、数も極めて少なく、増えることはないんです。『頸筋うつ』は、スマホやパソコンの使いすぎと外傷(頭部外傷とむち打ち)が原因で起こり、精神疾患ではありません。頸筋(頸部にある筋肉)の治療で完治します。最近ではスマホ・パソコンの普及に伴い、頸筋うつが急増しています。実はうつ症状のある人の90%以上がこの頸筋うつと見られています」

 そう語るのは、脳神経外科医で東京脳神経センター理事長の松井孝嘉さん。

 松井さんが特に危険視するのが『頸筋うつ』だ。

「これは『自律神経系うつ』とも呼ばれ、首を酷使することにより、筋肉に異常が起こり副交感神経に不具合が現れます。自律神経は、心身を緊張・興奮させる交感神経と、リラックスさせる副交感神経がある。首の筋肉のこわばりやコリによって副交感神経の働きが悪くなった結果、自律神経が乱れ、全身倦怠感、慢性疲労の症状が出て、それが長く続くと意欲・気力が減退し、気分が落ち込み、不安症状、集中力がなくなる、判断力の低下、物覚えが悪くなる、イライラ・焦燥感などの症状が出てくるんです」

『頸筋うつ』と『大うつ病』の見分け方

『頸筋うつ』『大うつ病』は症状がよく似ているが、

「見分けるポイントは『理由もなく悲しくていつも涙が出ている』かどうか。この症状は大うつ病の典型的な症状で、頸筋うつの患者さんには原則見られません。うつの症状が出たからといって、頸筋うつの患者さんが精神科や心療内科を受診しても症状は改善されない」(松井さん、以下同)

 この首のコリからくる『頸筋うつ』は誰でも発症する可能性があるのだ。

 その要因は、スマホやパソコンの使用頻度が増えたことだ、と松井さんは指摘する。

 スマホやパソコンなどを長時間使用すると前かがみになったり、姿勢が崩れがちになり、首への負担が増える。

 重さ約6kgの頭を支え、脳と全身の橋渡しの役を担っている首。電車内でスマホを見ている人の中には、30〜45度、ひどい場合は60度ほど頭を前に倒している人もいるが、その危険性を訴える。

「本来はゆるやかなC字カーブを描いているはずの首の骨が、長時間、前傾姿勢を続けることでストレートネックになり、頭の重さを吸収しきれず首の筋肉への負担が増します。首には自律神経が集まっていますから、首のコリが慢性化して悪化することで自律神経の働きが阻害されてしまうのです」

 そして、前述のとおり副交感神経に不調が起こり、全身倦怠感や慢性疲労などの症状が現れる。

頸筋うつ(自律神経系うつ)の恐ろしさ

 だが、実はこの頸筋うつ(自律神経系うつ)の恐ろしさは自殺率の高さにあるという。心因性うつと比べ重症化すると自殺志向が強まる傾向にあるのだ。

 日本の自殺者数は、統計を取り始めた1978年以降の2003年には最多の3万4427人となったが、2010年以降は10年連続減少。しかし、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大以降は、増加傾向にある。

「ワシントンポストによるとアメリカでは、スマホの普及と10代の若者の自殺が並行して増えていることが報道されていますがその理由はわかっていない。ですが私たちは頸筋が原因であることを突き止め、治療法まで完成させているんです。日本でもコロナ禍のステイホームでスマホやパソコンに触れる時間が増えたことによる、頸筋うつが急増しています。東京脳神経センターを受診する患者さんの中には、自殺未遂の経験がある方も多い。ですが、頸筋うつと診断され、治療したところ完全にうつ症状が治っているケースも多いんです」

 副交感神経や心身の不調から希死念慮が高まっていく一方で強い倦怠感や無気力から命を絶つ行動にうつすこともおっくうになる。しかしその状態で抗うつ剤を処方され、服用を始めるとどのような状態になるのか……。

「この状態で、精神科や心療内科を受診、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノンアドレナリン再取り込み阻害薬)やNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)などの新抗うつ剤を投与されると危険です。実はこれらの薬が引き金となり、自殺する確率が高まるとみられています」

 この薬は頸筋うつの根本原因である首のコリや自律神経の不調の解決にはならない。そのため抑うつ状態や不安、緊張状態は変わらず、さらには希死念慮も高まったままで、薬の影響で行動力だけが出てしまい、自殺に至る可能性が高いと考えられている。

誤った診断と投薬10年以上苦しんだ人も

 実は松井さんのもとを訪れるうつ症状のある患者のうち、大うつ病は5%未満で多くが頸筋うつだという。

「精神科や心療内科の専門医の中にも首コリからくる頸筋うつを知らない医師がいます。そのため治療法もわからず、大うつ病の治療薬を投与する。でも、効果がないので2倍投与、3倍投与しますが効果が出ないのです。別の病気の治療をしているのだから治らないのは当然です。それにこの薬は副作用も強い。5年、10年以上もこの薬を飲み、苦しんだ患者さんもよく来院します。誤った投薬によって死に追い込まれてしまうという悲劇が起きています」

 さらに松井さんが懸念するのは20〜30代の若い男性の首の筋肉が弱まっていること。

「首の筋肉の状態をエックス線で見たとき、正常であれば頸椎の7番と胸椎の1番の間までが見えてそこから下は筋肉で見えなくなるのですが、最近の若い男性の患者さんは胸椎の2番から3番ぐらいまで見えている。つまり、筋肉が非常に少ないということです。そういう患者さんは慢性疲労などの首コリの症状が出て日常生活を送るのにも困り果てて来院されています」

重要なのは首を休ませること

 小さいころからゲームやパソコンなどで遊び、あまり身体を動かさなくなったことも要因のひとつだと見られる。

「お子さんやお孫さんがきちんと睡眠をとっても身体の疲れが取れない。朝、登校・出勤できない。気分が落ち込んでいる、という症状があった場合、首の症状も疑ってみてください」

 スマホやパソコンがない生活は考えられない。

「生活様式が根本から変わったのです。そこにスマホ・パソコン病という新しい病気が生まれたのです」

 頸筋うつを発症させないためにはその原因とされる首コリを予防するに限るのだ。

 松井さんによると重要なのは「首を休ませること」

 その方法も非常に簡単だ。

 仕事中やスマホを使っているときに15分に1回、30秒間首を後ろに倒すだけ。首の後ろ側の筋肉を緩めるネックリラクセーションが効果的。

「首に疲労を感じたら筋肉を休ませて緩めましょう。パソコンもスマホもいくらでも使って大丈夫ですが、必ず首を休めながら使ってください」

 私たちは、気分が落ち込んだり嫌なことがあると下を向いてしまいがちだ。そんなときは坂本九さんの『上を向いて歩こう』を思い出し、上を向いて心身の健康を維持していこう。

お話を聞いたのは、脳神経外科医 松井孝嘉さん
東京脳神経センター(東京都)理事長、松井病院(香川県)理事長。画像診断を世界で最も早く始め、CTスキャナーの日本への紹介、導入、普及に尽力。脳卒中死の激減に貢献した。

「日本いのちの電話」


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<取材・文/堤 美佳子>

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