大谷を「トレード要員」にするのが最善の道か エンゼルスの“手詰まり感”漂う補強戦略

4

2022年07月04日 18:00  AERA dot.

  • 限定公開( 4 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真エンゼルス・大谷翔平(写真/gettyimages)
エンゼルス・大谷翔平(写真/gettyimages)
 大谷翔平が所属するエンゼルスは2014年を最後にプレーオフから遠ざかっている。今年は8年ぶりのポストシーズンへ向け、開幕当初は好調をキープしていたものの、5月後半から14連敗を喫するなど厳しい状況になってきた(現地7月3日終了時点で所属するア・リーグ西地区で首位アストロズから15.5ゲーム差の4位)。


【写真】貴重な「かわいすぎる」大谷翔平の丸坊主姿はこちら
 大谷、マイク・トラウト外野手というメジャーリーグのトッププレイヤーを抱えているが、今シーズンだけではなく、将来的な見通しも決して明るくない。大谷が入団したことでエンゼルスを応援する日本人ファンも多いが、勝つためには今後どのような補強戦略を敢行すればよいのだろうか……。


 まず、近年ワールドシリーズを制覇しているチームを見ると、昨年のブレーブスを含めほとんどのチームが有望な若手選手を多く集め、彼らが主力になったタイミングで優勝を果たしている点だ。昨シーズン世界一となったブレーブスも野手ではフレディ・フリーマン、ダンズビー・スワンソン、オジー・アルビーズ、ロナルド・アクーニャ(怪我で7月以降は出場なし)、投手ではマックス・フリード、イアン・アンダーソンなどドラフト上位で指名した選手や、トレードで獲得した期待の若手、そして中南米の有望株たちを上手く育て上げて形成したチームだった。


 ブレーブス以外を例にとっても、2015年にワールドシリーズを制したロイヤルズ、2016年のカブス、2017年のアストロズなどが、全て同様の方法でチーム強化に成功している。


 メジャーではひとたび選手がFAになると移籍するケースが多く、一方で年俸高騰が著しいFA選手を数多く獲得してチーム強化を図ることは金銭的にどうしても限りが出てくる。そんな中で現在は将来的にチームの主力となれそうな若手を一人でも多く集め、彼らがFAとなる前に世界一を狙える“勝負の年”を作るというのが、王道のチーム強化の方法と言えるだろう。


 そこで重要になってくるのが若手の充実度だが、エンゼルスはここ数年この分野で他チームと比べてずっと見劣りしている。メジャーリーグ公式ページ『MLB.com』が発表する全30球団の若手充実度ランキングを見てもエンゼルスは2020年が26位、2021年が25位。今年の開幕前も24位と低空飛行が続いている。



 そう考えると、エンゼルスが仮に今のトレンドに則りチーム強化を目指すのであれば、一人でも多くの有望株を招き入れなければいけない時期にあるのは間違いない。その場合、複数の有望株を見返りとして獲得できる価値のある選手をトレードの俎上にのせる必要性があるが、現在のチームを見る限り、そこに該当するのはトラウト、そして大谷の2人以外に見当たらない。また、大谷は2023年オフにFAになるため来季までがタイムリミットだ。また、来年の今頃は大谷が現在のように活躍しているか保証されているわけではないため、もし将来へ向けて舵を切るのならば、今が“売り時”と言えるかもしれない。


 他のチーム強化としては、オフに実績のあるFA選手を獲るという方法もあるが、これも現実的ではない。エンゼルスの選手たちの今季の年俸総額はメジャー全体で8位(1億9029万6405ドル/約259億3000万円)と高い順位だ。最も高いトラウトが3710万ドル(約50億円)、続くアンソニー・レンドン内野手が3660万ドル(約49億4000万円)と2人だけで4分の1強を占め、トラウトは2030年、レンドンは2026年まで同規模の契約が残っている。また、大谷も先述の通りFAの時期が迫っており、引き留めるために大型契約を提示しなければいけないことを考えると、さらに実績あるFA選手と契約するのは難しくなってくる。


 そして、ネガティブにならざるを得ないのが高年俸のレンドンがFAからの加入以降、怪我の影響もあるとはいえ、ほぼ戦力にはなっていないことだ。今年のオフに大物FA選手を獲得したとして、そのプレイヤーが活躍しないとなると“不良債権”を複数抱え、身動きが取れない状況になる危険性もはらむ。かつてエンゼルスではアルバート・プホルス内野手がそうなってしまったように、大型契約で獲得した選手が“足かせ”になるケースは多い。そういった意味では、実績のある選手を獲得してチームを強化するというのも、現実的ではないかもしれない。



 エンゼルスから話から逸れるが、現在メジャーリーグで最も長くポストシーズンから遠ざかっているマリナーズも、かつてケン・グリフィーJr.外野手、ランディ・ジョンソン投手とスーパースターを擁しながらも常勝チームとなることはなかった。しかし、彼らを放出して獲得した若手たちが成長し、イチローが加入した2001年には今でもメジャーのシーズン最多記録となる勝利数をマークした。残念ながらワールドシリーズを制することはできなかったが、あれだけ勝てるチームを作り上げられたのは、未来を見据え大物を放出する決断ができたからこそだ。


 球団経営については強いチームだけを作るのだけが目的ではないが、やはり選手、そしてファンにとってはワールドシリーズで勝つことが究極のゴールでもある。大谷の活躍を願っている現地のエンゼルスファンですら、今では「エンゼルスはトレードしてあげるべきだ」とう声も出ている。果たしてエンゼルスは大谷との“別れの道”を選ぶのか。将来的に勝てるチームを作るには、それが最善の方法である可能性は高い。


    ニュース設定