au/UQ mobile/povo携帯電話の通信障害は解消 焦点は「再発防止策」と「情報周知」に

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2022年07月06日 00:12  ITmedia Mobile

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写真説明会には吉村和幸専務(右、技術統括本部長)と山本和弘執行役員(左、技術統括本部 副統括本部長 兼 エンジニアリング推進本部長)が登壇した
説明会には吉村和幸専務(右、技術統括本部長)と山本和弘執行役員(左、技術統括本部 副統括本部長 兼 エンジニアリング推進本部長)が登壇した

 既報の通り、7月2日1時15分頃に発生したau/UQ mobile/povo携帯電話における通信障害は、7月5日15時36分に復旧した。



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 KDDIは7月2日18時から、本件に関する記者説明会をオンラインで開催した。その内容を簡単にまとめる。



●「復旧」の根拠は?



 今回の通信障害の原因はVoLTE交換機と加入者データベースの負荷の高まりにある。復旧に必要な作業は7月3日17時30分までに完了したものの、VoLTE交換機と加入者データベースの負荷が想定よりも下がらず、音声通話がつながりづらい状況が続いた。



 負荷が下がらなかった原因は、全国に18台あるVoLTE交換機のうち6台から発せられた「過剰な信号」と突き止められた。そこで7月4日の昼過ぎから当該のVoLTE交換機をネットワークから切り離した所、負荷は軽減。同日14時51分から無線部分の流量規制を解除し、15時までにトラフィック(通信の流れ)における輻輳(ふくそう)は解消できたという。



 その後も「回復」したかどうか見極めるため、ネットワークとトラフィックの状況監視は継続された。そし7月5日15時36分、トラフィックと音声通話の発着信成功率が通常通り(1週間前の同時間帯と同等)に戻ったことから「回復」したと判断した。



 なお、シーケンス(ネットワークに接続する際の手順)の都合で自動で復旧できなかったり、復旧までに少し時間が掛かったりする端末も存在する。万が一、現時点でも音声通話(電話)ができなかったりデータ通信に支障が出たりしている場合は、端末の電源再投入(再起動)を試してみてほしい。



●個人からの問い合わせは累計で約9.7万件に



 今回の障害に関連して、個人ユーザーからカスタマーサポート部門への申告数は7月5日13時時点で9万6723件に上った。現在は平常時とほぼ同じ件数まで収束したという。



 既報の通り、今回の障害で法人ユーザーにもさまざまな影響が出た精査の過程で行政機関の業務にも影響が出ていることが判明したが、それも含めて解消しているという。



●今後の方針



 今回の通信障害は、電気通信事業法に定める「重大な事故」に該当する。そのため、今後KDDIと沖縄セルラー電話は総務省に「事故報告書」を提出することになる。その報告書の受領後、総務省では「電気通信事故検証会議」などを通して再発防止策を検討していく。



 この動きに並行する形で、両社は今後「詳細な原因究明」「再発防止策の策定」「お客さま周知の在り方」について鋭意検討していくという。



●質疑応答の主なやりとり



 説明の終了後、説明会に登壇した吉村和幸専務(技術統括本部長)と山本和弘執行役員(技術統括本部 副統括本部長 兼 エンジニアリング推進本部長)が質疑に応じた。その中でも、特に注目すべきやりとりについて体裁を整えてお伝えする。



補償について



―― 契約約款では(24時間以上連続して通信できなかった場合に)補償を行うことになっていると思うのですが、どのように対応するか決まっていることがあれば教えてください。



吉村専務 まず、原因究明と再発防止策の検討をしっかりと行います。その過程で、影響の範囲等を確認した上で、お客さまに対する補償も検討します。個人のお客さまはもちろん、法人のお客さまも同様です。



総務省からの技官派遣について



―― 総務省がKDDIに(連絡係として)技官を連絡したという話を伺いました。どのような活躍をされたのでしょうか。



吉村専務 総務省の技官の方々に来ていただいて、さまざまな助言をいただきました。中でも「利用者に対するきめ細かい情報開示が必要」という助言はありがたかったです。



―― あまり技術的な助言はなかったのでしょうか。



吉村専務 技術的な部分については、どれというわけではないですが、いろいろな視点でご質問などをいただきました。異なる視点を入れたという点では良かったと思っています。



ネットワーク構成について



―― 7月4日にネットワークから切り離したVoLTE交換機なのですが、これは現在も切り離された状態なのでしょうか。



山本執行役員 6台は切り離した状態のままです。今後、故障の内容や原因を調査して、正常に動作することを確認できてから(ネットワークに)組み込もうと考えています。その際は、輻輳などトラフィックに影響を与えない形で検証した上で実施します。



―― 「緊急時に他事業者へとローミング(ネットワークの借用)ができれば今回のようなことは起きなかった」という指摘もあるのですが、ローミングの有効性はどう考えていますか。



吉村専務 ローミングについては、端末やトラフィックなど、技術的に解決しなければならない課題がたくさんあります。すぐにできるものだとは考えていません。総務省でもいろいろと検証するそうなので、一緒に検討していければと思っています。



―― 今回のようなケースにおいて、緊急速報メール(ETWS:地震津波警報システム)を使ってユーザーに告知することは可能だったのでしょうか。



吉村専務 今回はデータ通信については問題なかったので(技術的な側面から)周知できたかどうかは検討してみようとは思いますが、緊急速報メールは災害での利用が前提なので、すぐに使おうということにはならないと思います。今後、周知の方法は考えていこうと考えています。



―― ローミングに関連するのですが、緊急通報(110番/118番/119番)だけでも他キャリア経由で行える仕組みがあれば「命に関わる問題」を回避できるのかなと思います。海外を見てみると、一部の国ではSIMカードのない端末でも緊急通報だけはできる仕組みを取り入れていますが、KDDIとしてこのような仕組みをどう考えていますか。(筆者注:日本では法令の都合でSIMカードのない携帯電話を携帯電話ネットワークにつなげられないため「SIMなし緊急通報」ができない)



吉村専務 海外の事例は聞いております。総務省でも会合において「災害時における他社ネットワークの利用」については検討されています。「せめて緊急呼(緊急通報)だけでもできないか?」という意見も出ていますので、引き続き弊社としても一緒に検討できればと思っています。



―― 記憶が確かなら、先ほどの質問で出た話は2011年の東日本大震災直後に検討されたものだと思います。それから11年たちましたが、それとは別に検討されているものでしょうか。



吉村専務 2021年の夏頃から、総務省で通信の強靱(きょうじん)化を図る検討の1つとして挙がっていると認識しています。まだ初期段階という認識です。


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