「満州事変はプーチンのやり方と一緒だ」 保阪正康が説く「歴史を知ること」の重要性

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2022年07月06日 08:00  AERA dot.

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写真ロシア軍が攻撃し、煙が上がるウクライナ東部ルハンスク州の要衝セベロドネツク。6月25日に陥落した
ロシア軍が攻撃し、煙が上がるウクライナ東部ルハンスク州の要衝セベロドネツク。6月25日に陥落した
 ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、日本の防衛のあり方が注目を集めている。この先どこへ向かうのか。『歴史の予兆を読む』(朝日新書)の共著者・保阪正康さんに聞いた。AERA 2022年7月11日号の記事を紹介する。


【写真】保阪正康さんはこちら
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 日本は今後、どうなるのか。今回の侵攻を機に台湾有事など中国の脅威が喧伝(けんでん)され、「核共有」や「憲法9条改正」を訴える政治家もいる。


「ある集まりで『もし日本がウクライナのように侵攻されたら、政府はどう対応すると思うか』と聞かれ、私は三つの選択肢を示しました。一つはアメリカ依存。一つは憲法の、専守防衛の範囲内での抵抗。三つ目は、政府が意図的に八百長でクーデターを起こして現憲法が作る政治的空間を全部止めてしまい、そのうえで『軍』をどうするかなど緊急対応を考えていくという道です」


国民が「よく見ておく」


「三つ目の選択は非現実的と思うかもしれませんが、誰もがあり得ないと思っていたウクライナ戦争が起きた今、考えざるを得ない。そうなったら、侵略してきた相手よりも日本のほうがもっと怖い国になります」


 保阪さんは、「大切なのは国がそんな方向に行かないよう国民が『よく見ておく』こと」だと指摘する。そのために必要なのは「歴史を知ること」だ。


「なぜ歴史を学ぶのか。歴史の中に全ての答えが入っているからです。特に明治から戦前・戦中の近代史77年の中には、『他国への侵略のために、国が国民の生命と財産をいかに博打(ばくち)のように使い、いかにひどいことをやるのか』の答えが全てあります」


「日本は江戸時代の270年間、一度も対外戦争をしませんでした。それが鎖国を解いて近代国家になったら、今度は明治27(1894)年の日清戦争を皮切りに10年おきに戦争をやる国になった。しかも極めて帝国主義的な侵略戦争です。ヨーロッパ諸国が帝国主義的な戦争の段階から脱皮していく中、日本はいわば『最後の帝国主義国』として東南アジアや中国に対応した」




軍人は営業マンだった


「そんな戦争の歴史を見ていくと、『この国は戦争を営業品目に使っていた』ことに気づきます。何のために戦うのかを考えることなく、とにかく勝って賠償金と領土を取り、帝国主義国のトップに上り詰め『一等国』になるのだと。軍人はそのための営業マンだったのです」


 現状を自国の歴史と重ね合わせる視点が大事だと、保阪さんは言う。例えば、ロシアがウクライナ東部にある親ロシア派支配地域の独立を一方的に認め、「東部の住民保護」を名目に侵攻したことは、満州国を作り、中国と全面戦争に突入した日本と重なりはしないか。


「今、プーチンを批判したときに『お前たちだって同じようなことをやっていたじゃないか』と言われたら、私たちは決してそれを否定できません。歴史を学び、『満州事変は本当にプーチンのやり方と一緒だな』とまず知ること。歴史をかみしめ、咀嚼(そしゃく)してみること。21世紀の歴史の予兆をつかむためにも大事なことだと思います」


(構成/編集部・小長光哲郎)

※AERA 2022年7月11日号より抜粋


このニュースに関するつぶやき

  • 本当に歴史を知っているのかな、この人。 ぃゃ、物凄く歪めて歴史を認識している感じか。
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