【横川中央学童野球部】土日の長時間練習に込められた、本当の狙いとイマドキな理由

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2022年07月06日 18:14  ベースボールキング

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2019年に高円宮杯全日本学童軟式大会(マクドナルド杯)に、悲願の初出場を果たした横川中央学童野球部(栃木県宇都宮市)。初めての大舞台は残念ながら初戦で敗れてしまいましたが、指導者達は「全国大会にも出られたし、来年からは新入部員が増えるに違いない」と思ったといいます。しかし、翌年の新入部員はまさかの0人。なぜ、そのようなことが起こったのでしょうか? チームを全国大会へ導いた堀野誠監督にお話を聞いた、後編をお届けします。



【土日の練習時間を長くした、イマドキな理由】
——さきほど練習試合を見学させていただきましたが、凡ミスや失敗に対しても、監督さんは怒鳴ったり大声を出さずに、できるだけ子ども達に優しく、ポジティブに接している姿が印象的でした。怒声、罵声などは意識して控えるようにしているのでしょうか?

そこは意識していますね。指導者側のストレス発散のような感じで怒鳴ったり、大声を出したりするのはやっぱり控えたいですよね。ただ、普段から子ども達とコミュニケーションをしっかりとっている中で、この子に対してはこのタイミングでちょっと厳しく言った方がいいな、ちょっと怒っている感じで言った方がいいな、ということもあります。そこは意識して使い分けるようにしています。

——練習頻度はどれくらいですか?

平日は火曜、木曜。金曜は隔週になります。土日は8時から16時までやっています。

——最近は練習が週一回、半日だけというチームも増え、子ども達もかなり集まっているようです。そういったチームと比べると練習が多い、土日の練習時間も長いと保護者の目には映るのかもしれないですね。

土日の練習時間に関して言うと、もちろん上手くなりたい、強くなりたい、試合に勝てるようになりたいからという事もあります。でも朝から夕方までやっているのには他の理由もあるんです。

——どのような理由なのでしょうか?

うちのチームは他の習い事と掛け持ちOKなんです。今日もせっかくの東京遠征なのですが、水泳や習字など他の習い事で来れなかった子もいます。朝から夕方まで練習をしていれば、そういった子達も普段の土日はどこかの時間帯だけでも来れるんです。練習時間が長いのは、子ども達用にむけて、朝から夕方までお店を開けている感覚なんです。

——なるほど。

練習時間を土曜の午前、日曜は午後だけとかにしてしまうと、その時間帯に他の習い事や家族の用事が入っている子どもは練習に参加できなくなりますからね。

——例えば、土曜の午前と日曜の午後のみ練習に参加、土曜は休んで日曜の午後だけ練習に参加、というようなことでもOKなのですか?

OKですよ。監督の立場としては、本当は1日練習をやらせたい、やってもらいたいという気持ちはもちろんあります。でも親御さんも、子どもに野球だけをさせたいという時代ではないですし、習い事も掛け持ちするのが当たり前の時代になっていますからね。




【大事にしたい、子ども達との昼食タイム】


——土日の練習時間が長いのには時代に合わせた理由があったんですね。

もう一つ理由があるんです。練習が朝から夕方までだと途中で昼食を挟みますよね? その昼食の時間に子ども達とコミュニケーションをとりたいんです。

——なるほど。

リラックスした時間だからこそ、誰と誰が仲が良いのかとか、どういう話をしてるんだろう、こんなことに興味があるのかなど、分かること、見えてくることもあるんです。グラウンドの中では猫を被っている子もいますからね(笑)。

——子ども目線で一緒にお昼を食べるのはいいですね。

実際に子どもの目線に立つことはなかなかできないですけど、立つための努力はしたいですからね。だから、一緒にお昼ご飯を食べる時間を作りたいですし、大事にしたいんですよね。

——全国大会に出たチームで土日の練習時間も長いチーム。そこだけを切り取ると入部の敷居が高い気もしましたが、お話を聞いてみて腑に落ちました。聞いてみないと分からないものですね(笑)。

そうなんです(笑)。決して敷居が高いチームではありませんから、ぜひ一度見学や体験に来ていただきたいなと思います!

——最後に今後の目標を教えてください。

一人でも多く、子ども達に野球に触れてもらうこと。野球の良さを子ども達に分かってもらうこと。それが最大の目標ですね。

堀野監督、ありがとうございました!

(取材・写真:永松欣也)
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