写真![]() 40〜50代の中年期・更年期は心が不安定になりやすい時期です。イライラを身近な人に向けてしまい、後悔する人も少なくないようです。 |
更年期のイライラ……中年期〜更年期の女性が抱えやすいストレス
中年期・更年期は心が不安定になりやすい時期です。加齢からくる疲労感、夫婦の関係性の変化、成長する子どもとのかかわり方の難しさ、老親への心配と介護の問題、家計の不安とお金の心配、仕事の役割変化による戸惑いなど、たくさんのストレスと向き合い、そのたびにため息をつくことも増えていきます。また、20代や30代のころに価値を置いていたことに意味を見出せなくなり、人生の目標を見失いがちになることも少なくありません。
こうしてストレスが増えていくと、イライラも募りやすくなります。家庭をもつ妻の場合、そのイライラを身近にいる夫にぶつけ、「もっと穏やかでありたいのに……」と後悔することも増えているかもしれません。
妻のイライラを増幅させる夫のNGワード・行動・態度
とはいえ、妻は理由もなく夫にイライラをぶつけているわけではないでしょう。イライラによる八つ当たりではなく、その感情の背景には、怒りに火をつけてしまう夫の言動も見られます。筆者がカウンセリングで聞くなかでは、夫の次のような言動にイライラしてしまうと悩む妻が多いと感じます。
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・妻が家事をやるのは当然だという態度をとられる
・夫が家事を手伝っているつもりでも、ほとんど役に立っていない
・容姿や体形が変わったことについてとやかく言われる
・疲れて休んでいると、不愉快な顔をされる
こうした夫の言動は、元気なときには受け流せることが多いのかもしれません。でも、ストレスがたまってくると、小さなことにもカチンときて、イライラをぶつけてしまうこともあるのではないでしょうか。
八つ当たりではないのに関係悪化も……夫婦関係を維持するための3つのヒント
では、どうすれば中年期・更年期のイライラを増幅させず、夫に対しても穏やかに接することができるのでしょうか。少しでも前向きな気持ちでこの時期を乗り切るために、次の3つの考え方のヒントをお伝えしたいと思います。1)自分にとっての「あたりまえ」は、夫の「あたりまえ」ではないことを前提に
家事一つでも、自分にとっての「あたりまえ」が、夫には通用しないこともあるかもしれません。たとえば、ごみの捨て方、洗濯物のたたみ方、掃除の仕方。細かな部分にこだわる人もいれば、大雑把でも一通りできていればよしとする人もいて、本当に人それぞれです。自分には「あたりまえ」だと思っていることが、夫も同じように思っているとは考えないようにしましょう。「こうすること、こう考えることが『あたりまえ』なのに、なぜそうしないのだろう?」と思ったときには、「あたりまえの基準は人それぞれ異なる」と思い直しましょう。
2)「してくれないこと」ではなく、「できるようになったこと」を数える
夫婦は互いに対して「こうしてほしい」という期待をかけてしまうものです。そのため「期待してたのにしてくれなかった」と失望することも多いのです。「してくれないこと」を数えているときりがありません。期待どおりに行動してくれることのほうが少ないのだと、あらかじめ思っていれば楽になれます。
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このように、数年前と比べてみて日常生活のなかで「できるようになったこと」が増えていないか、確認してみましょう。
3)「してほしいこと」と「してほしくないこと」を具体的に伝える
「夫はいつか自分の思いに気づいてくれるはず」と期待しているだけでは、その機会は永久に訪れないかもしれません。たとえ毎日一緒に暮らしている夫婦であっても、それぞれに感じること、考えることは異なるのです。希望は言葉で伝えないと、相手は理解できません。「何をいつまでに、どのようにしてほしい」「このような言い方をしないでほしい」というように、夫に「してほしいこと」「してほしくないこと」を具体的に伝えましょう。1回ではなかなか伝わりません。何度でも繰り返し、言葉にして伝えましょう。
イライラは心身の状態に気づくバロメーター。自分を労わるタイミングです
人は誰でも、快調なときには、他人に対して大らかな気持ちでいられるものだと思います。一方、ストレスがたまって心身の状態が不安定になると、身近にいる人(多くの場合は夫)の不愉快な行動が目につきやすくなるものです。
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大美賀 直子プロフィール
公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つメンタルケア・コンサルタント。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。カウンセラー、コラムニスト、セミナー講師として活動しながら、現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法について幅広く情報発信を行っている。(文:大美賀 直子(公認心理師))