板倉滉がボルシアMGで求められる役割とは? ファルケ新監督は「CBとボランチ、一番いいポジションで起用する」

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2022年07月07日 11:21  webスポルティーバ

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 現地時間7月2日、日本代表DF板倉滉のボルシアMG加入がクラブ公式サイトや同SNSで発表された。1970年代に5度のブンデスリーガ優勝を果たした古豪でプレーする日本人選手としては、2011−12シーズンの大津祐樹(現ジュビロ磐田)以来となる。




 昨季終了時点での板倉にとっては、主力選手のひとりとしてプレーし、2部リーグを制したシャルケに残留することが一番の望みだったのかもしれない。期限付き移籍先のシャルケと、板倉の保有元マンチェスター・シティの間に結ばれたレンタル契約には、580万ユーロ(約8億円)の買取オプションも付帯していたという。

 しかし、ロシアのウクライナ侵攻に反対を表明するため、シャルケは胸スポンサーだった露エネルギー企業ガスプロム社からの資金に見切りをつけた。これにより、もともと苦しかった彼らの懐事情はさらに冷え込みを見せ、相思相愛だったはずの板倉とシャルケは別離を余儀なくされた。

 そこで新たに獲得レースに名乗りを上げたのが、今回契約を勝ち取ったボルシアMGだった。

 一時はマンチェスター・Cの移籍金釣り上げによる交渉の停滞も噂された。だが、今夏就任したダニエル・ファルケ監督とマンチェスター・Cのペップ・グアルディオラ監督は定期的に連絡を取り、戦術について議論を交わす仲だ。

 大衆紙『ビルト』でファルケ監督は「クラブというものは、監督やスポーツディレクターや選手よりも重要な存在。だからクラブにとっていい決断をしなければならないが、自分のネットワークを使うことも当然ある」とコメント。今回の移籍劇に指揮官自らが一役買ったことをほのめかしている。

 また移籍金も、シャルケとの間に設けられた買取オプションよりも幾分安価な500万ユーロ(約6億9000万円)で決着した模様だ。

 マルコ・ローゼとアディ・ヒュッターが指揮を執った直近2シーズンでは、リーグ戦だけで計117の失点を記録するなど、ボルシアMGの守備は不安定だった。

 加えて最終ラインの主軸だったドイツ代表マティアス・ギンターがこの夏チームを去り、古巣フライブルクへ。スイス代表ニコ・エルヴェディ、マーヴィン・フリードリヒ、ジョーダン・バイヤーなどはいるものの、中央の守備的ポジションを任せられる優秀な人材の確保はクラブの最優先事項だった。

 それゆえ、板倉に対するクラブ幹部の期待も大きく、ファルケ監督はビルト紙に対してこのように話している。

「すばらしい個性を持ち、そしていい年齢(25歳)にある。シャルケではリーダー的役目を担っていたし、多くのポジションを務めるポリバレントな選手。CBとボランチのどちらで起用するかについてはまだ決めていないが、チームにとって一番いいポジションで彼を起用するつもりだ。慣れるまでの時間を彼に与えるつもりだし、彼ならやってくれるに違いない」

 また、自身の標榜するサッカーについては、「勇気を持ち、アグレッシブなチームをファンは見たがっている。勇気を持ってプレーするのならば、ミスは仕方がないこと」とも言及している。

 よって、昨季は横や後ろへの弱気なパスが多かったボランチのクリストフ・クラマーやフロリアン・ノイハウスらはプレースタイルを改める必要があるだろう。対して、鋭い縦パスを入れるチャンスを常にうかがい、時に自らボールを持ち運んではゴールまで決めてしまう板倉の存在は、ファルケ監督が描くボランチ像にマッチする。

 なお、板倉同様、ファルケ新監督にとってもブンデスリーガ1部は初めての舞台だ。

 その指導者キャリアをさかのぼると、ドルトムントのセカンドチームから2017年にイングランドに渡り、ノリッジ・シティで4年以上指揮を揮った。その後、今年初めにクラスノダールで指揮官に就任したが、2カ月未満でロシアでの生活は終焉を迎えている。

 これだけを見ると、今季のボルシアMGの行方にやや不安を感じるファンもいるかもしれない。しかしファルケ監督の下、ノリッジ・シティで公式戦119試合に出場したドイツ人MFマルコ・シュティーペルマンはボルシアMGの選択について太鼓判を押す。

「ニュースを見た時にまず思ったのは、『絶対に合う!』ということ。ボルシアMGにとってグッドチョイスであることは間違いないね。ボールを失ったらすぐに奪いに行き、奪うことができたら即座に前へボールを運ぶ。ゲームを支配することこそ、ファルケの目指すサッカーだ。

 そしてボルシアMGには、その哲学に合致する選手がいる。彼のスタイルと選手のクオリティを考えれば、彼らは再びチャンピオンズリーグに出場できるはずだ」

 ヒュッター前監督が率いていた昨季に悪化したと言われるロッカールームの雰囲気も、ファルケ監督の登場で改善が見込まれる。ファルケ監督は就任時に「ロッカールームでの会話はドイツ語のみにする。チームスピリットのためにはそれがいいだろう」と語っており、協調性にも重きを置く。

 そして板倉の語学力に関しても「問題にはならないだろう。滉がドイツサッカーとドイツ語をすでに知っているのは、我々にとって重要なポイントだった。もちろん滉が英語をパーフェクトに話せることも、さらなる助けになるだろう」と信頼を寄せた。

 昨季から改善すべき点は少なくないが、つまり裏を返せば、それだけチームのポテンシャルは大きいとも言えるし、選手の顔ぶれを見れば欧州カップ戦出場権を狙えるほど質は高い。板倉の加入でチームにどのような化学反応が起きるのか、今季のボルシアMGに注目だ。

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