ジェーン・スー「当時は面倒だったけど、家事のスキルを授けてくれた母に感謝!」

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2022年07月07日 18:00  AERA dot.

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写真家事のスキルを授けてくれた母に感謝!(イラスト/サヲリブラウン)
家事のスキルを授けてくれた母に感謝!(イラスト/サヲリブラウン)
 作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。


*  *  *


 6月とは思えぬほどの酷暑に見舞われた週末。ふと思い立ち、私は洗面所を徹底的に掃除することにしました。まずは棚から物を全部出して綺麗に拭いて元に戻し、シンクと鏡をピカピカに磨く。30分程度の作業でしたが、想像以上にスッキリ気持ちが良くなりました。


 たいていの場合、掃除や洗濯や洗い物は面倒。私は特に洗い物が嫌いです。やらずに済むならそうしたい。しかし、生きているだけでホコリもゴミも洗濯物も食べ終わったあとの食器もたまるので、重い腰を上げてやるのが常です。家事好きな人が羨ましい。


 と同時に、終わると覚醒したようにスッキリすることがあるのもこれらの作業の特徴です。毎度とはいかないけれど、水回りの大掃除以外にも、たとえば大物のシーツを洗ってパリッと乾いた時。シュモクザメの頭のような掃除機のヘッド部分に絡まったゴミを、丁寧に取り除いた時。いつもはウェットシートでサッと拭くだけの床を、しっかり雑巾がけした時。得られる爽快感や達成感は、娯楽から得られるそれらとはまた異なる味わいがあります。


 掃除のやり方は母に教わりました。私は整理整頓が上手とは言えない娘で自室はいつもごちゃごちゃしておりましたが、自室の乱れを見逃してもらう代わりに、それ以外の掃除や洗濯、洗い物は素直に言うことを聞いてやっていたっけ。毎週末に廊下の雑巾がけ、風呂とトイレの掃除、夕飯のあとの食器洗い。半年に一度の大掃除では、ベランダとカーペットが敷き詰められた階段と踊り場の雑巾がけ、などなど。母のチェックは厳しく、当時は面倒な気持ちでいっぱいでした。



 元来のズボラが祟(たた)り、小まめな掃除癖がつくことはありませんでしたが、やるぞとなったらできるスキルは母から授けてもらったと言えます。いまさらながら、感謝です。


 いまはわからないけれど、私が子どもの頃は、お手伝いは精神面ばかりが語られがちでした。しかし、家事ってスキルの問題が8割と言っても過言ではありません。職業として世の中に存在するものはだいたいがそうです。当たり前ですが、やり方を知っているか否かで結果が異なるのが世の常。


 勉強もそうなんだろうな。タイムマシンに乗って子どもの私に伝えてあげたい。勉強自体ではなくて、勉強のやり方を誰かに教えてもらって!



○じぇーん・すー/1973年、東京生まれ。日本人。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニスト。著書多数。『揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ』(朝日文庫)が発売中。


※AERA 2022年7月11日号



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