「山手線止めてんだぞ」トラブル、発端の「非常停止ボタン」正しい使い方は? JR東・西に聞く

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2022年07月09日 09:01  弁護士ドットコム

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JR山手線の渋谷駅で7月4日20時ごろ、財布を線路に落とした男性利用客が非常停止ボタンを押したことを契機に、駅員と口論となった様子を撮影した動画がSNSに投稿され、大きな話題となった。


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JR東日本によると、財布を落とした男性利用客に対し、駅員が落とした財布を拾う旨を説明していたものの、拾うまで待つことに納得できなかった男性利用客が駅ホーム上にある非常停止ボタンを押したという。



拡散した動画では、「なんで取ってくれないんですか」「お願いしてるじゃないですか、ずっと」などと訴える男性利用客に対し、駅員が激しい口調で「取ってもらおうっていう態度じゃねえだろ」「山手線止めてんだぞ」などと怒鳴る様子が映っていた。



今回のトラブルについて、ネットでは怒鳴る駅員に対して、「この怒り方はダメでしょ」といったコメントもあるが、「落とした財布のために押さなくてもいい非常停止ボタンを押した方が悪い」など男性利用客の対応を疑問視する声もあった。



●ボタン押すのは「人命の危機」「列車の運行に支障」

今回のケースで非常停止ボタンを押したことは適切ではなかったのか。また、非常停止ボタンの使用法はどのようになっているのか。



JR東日本は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、非常停止ボタンを押していい場合などを明確にルールとして定めているわけではないとしたうえで、躊躇なく押してほしい場合について、「人命の危機を感じられる時」「列車の運行に支障が出そうな時」の2点を挙げた。



「線路内にお客様が転落してしまった場合や大きな物体や重量のある物などが落下した場合には、躊躇うことなく非常停止ボタンを押していただいて構いません」(JR東日本担当者)



今回のトラブルで線路内に落下したのは男性利用客の財布だったが、スマホなどを線路内に落としてしまったというケースもしばしば発生する。非常停止ボタンを押していいのかどうか判断に迷うような場合には、「まずは駅係員に報告していただければ」という。



非常停止ボタンを押すかどうかの判断について、利用客と駅員との間で「特に違いはない」といい、駅員であっても「人命の危機を感じられる時」「列車の運行に支障が出そうな時」には非常停止ボタンを押すようだ。



今回のようなケースについては、「すでに駅係員に話しかけていただいてるのであれば、以降(の対応)は駅係員にお任せいただければ」と話した。



「物が落ちた場所によっても判断が異なることも考えられます。たとえば、列車の車輪が当たるレールの真上にピタッとくっついたような状況で、そこを踏んづけて列車が通過したときに普段と違う音が発生したり感じられた場合には、急ブレーキをかけることになるなどの状況になり得ます。一概に落下物が財布やスマホだから押す場合に当たらないとは言えません」(JR東日本担当者)



落下物の拾得方法・タイミングについては、主に「次の列車が来るまでの間に拾得」「終電後に拾得」という2パターンがあるという。



「駅や線区によって対応が異なります。列車が来る間隔が短い場合、拾得に時間がかかりそうな小さなものの場合、あるいはどこに落下したか正確に把握できていない場合などは、終電後に対応することもあります」(JR東日本担当者)



非常停止ボタンの使用法については、JR西日本にも尋ねてみたところ、明確な判断基準などは設けていないとしたうえで、JR東日本と同じような回答だった。



「ホームから転落されたお客様や転落しそうなお客様を見かけられたとき、到着や発車する列車に近づきすぎて危ないなと思われたとき、またホームから荷物を落とされて、列車に接触する可能性がありそうなときには押していただくよう、ポスターや動画などでもお願いしています」(JR西日本担当者)


このニュースに関するつぶやき

  • 人命に関わる場合や列車の安全が脅かされると判断すれば躊躇なく押すべきだが、自分の財布をすぐに拾ってくれないからといって非常停止を押すのは馬鹿。
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