「きまZ」って何?飯間浩明さんが感動した「言う方が楽」という文化 SNS発の「はにゃ?」「ぎゃる」

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2022年08月03日 07:00  ウィズニュース

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写真「ポーズ」+「新語」について語り合う飯間浩明さんとZ総研の道満綾香さんたち。飯間さんがしようとしているポーズは…。
「ポーズ」+「新語」について語り合う飯間浩明さんとZ総研の道満綾香さんたち。飯間さんがしようとしているポーズは…。

移り変わりの激しい「若者言葉」。Z世代(1990年代中盤から2010年代中盤に生まれた世代)に特化したシンクタンク「Z総研」では、若者たちを対象に、2020年から「流行(はや)った言葉」を調査しています。「ぴえん」「きまZ」――。現代の若者言葉についてZ総研の道満綾香代表とインターン中の大学生、辞書編纂者の飯間浩明さんが語り合いました。前編・後編に分けてお伝えする今回は後編の「新語と伝統」です。(withnews編集部・金澤ひかり)

【画像】いくつわかる? Z総研が調査した「流行った言葉」

インフルエンサー発の言葉「きまZ」

《プロフィール》
飯間浩明さん
辞書編纂者で『三省堂国語辞典』編集委員。1967年生まれ。10代の頃に流行った言葉で印象深いのは「ぶりっ子」「ネクラ」など。

道満綾香さん
Z世代のシンクタンク「Z総研」の代表。1992年生まれで、10代の頃に流行った言葉で印象深いのは「KY」と「〜なう」。

上田優芽奈さん
慶応義塾大学環境情報学部4年生。1999年生まれで、10代の頃に流行った言葉で印象深いのは「ンゴ」と「あざまる水産」。

     ◇

上田さん:最近はインフルエンサー発案の若者言葉が多いと思います。でも、それはそのインフルエンサーをフォローしている人が中心に使っているものなので、辞書に載るほど強い言葉ではないんじゃないかなと思っていますが、どうでしょうか。

――たしかに、Z総研の今年上半期の「流行した言葉」にも、YouTuberのとうあさん(男女三人組「ウチら3姉妹」のメンバー)が使う「きまZ」が入っていましたね。これ、「きまゼット」って読むんですか?

上田さん:そうです。


――飯間さんご存じでしたか?

飯間さん:「気まず……」(気まずい)と言いかけてやめた表現かと思っていました。「きまズィー」から「きまゼット」になったんでしょうね。


道満さん:Z総研では2020年から調査をしていますが、YouTuberの方の口癖が、ファンに広まることが多いです。その中でも、「きまZ」は、とうあさんが、よく言う言葉です。

私の周りで実際に使っている子はいなくて、中高生が使っている印象だけど、上田さんどうかな。


上田さん:大学生は使ってないと思います。でも、最近「気まずい」と言葉にする子が増えた気がします。

「気まずい」と感じていることをあえて言葉にすることで、気まずい空間をネタにすることがあります

「きまZ」は、言葉そのものというより、それを感じて「気まずい」と言葉にする感覚が、いまの人ならではだと思います。


飯間さん:「きまZ」とは書かないし言わないけど、いまの気持ちを「気まずい」と声に出して言う、ということですね。


上田さん:そうですね。いままでだったら、気まずいってときに「気まずい」って言っちゃダメだよねみたいな雰囲気だったのが、インフルエンサーが、平気で「きまZ」って言うことで、「そういうこと言った方が楽だよね」って雰囲気が広がった気がします。


飯間さん:おもしろいですね。昔だったら「なんか空気変だなー」と思いつつモヤモヤしていたところを、いまははっきり「気まずい」って言っちゃうわけですね。

「きまZ」ポーズ、「ぎゃる」ポーズ…
道満さん:「きまZ」は、両腕を顔と胸の前で並行にして、アルファベットの「Z」のポーズをとることもあります。 それこそ気まずい雰囲気のときに、気まずくないようにポーズをとる感じです。

ポーズをとるという意味では、「ぎゃる」という言葉もそうです。 これは昔にも多分はやったと思いますが、うつむき目線で、前に伸ばした手で逆さまのピースをするポーズです。


――あれ、飯間さん、大丈夫ですか…?

飯間さん:はい、ポカンとしています。えーと、こうじゃないんですか?……あ、こう?(「ぎゃる」のポーズをしようと奮闘。その後成功)

これ、昔からやってましたっけ?


道満さん:ルーズソックスとかはやっていた頃ですね。
いま、当時の服装が「Y2K」(「Year2000」の略。2000年前後に流行したファッショントレンドのこと)とよばれていて、過去のトレンドが流行っています。 その中のギャルポーズです。


飯間さん:ポーズをとりながら、「ぎゃる」って言うんですか?


道満さん:言葉にするというより、ポーズの名前ですかね。


上田さん:「ぎゃる」って、TikTokの音源ありきでのものでもあります。(※OHAYOの「GAL [Mixed]」)


飯間さん:今日の深夜にでも検索して勉強しますかね……。


――ちなみに「きまZ」や「ギャル」のように、ある言葉がポーズとセットで流行するというのは、新しい流れなんでしょうか? 「ポーズ+新語」というのは、動画や写真を投稿できるSNSとの相性がいいなと思ったりしました。


飯間さん:ポーズ込みのフレーズということなら、昔からあります。「ガチョン!」とか「コマネチ!」とか「だっちゅーの!」とか……まあ説明は省きますが、ポーズ込みの一発ギャグはいろいろありますね。

ただ、ギャグではなく、ポーズを伴って使われる流行語というと、どうでしょう。1960年代にVサインを出して「ピース」と言うようになった、というようなのはありますね。昔は少なかったかもしれません。

伝統をふまえつつ新しい要素、「頼もしい」
飯間さん:Z総研で調査されたものを拝見しましたが、実は結構古くから使われ続けているものがあるな、と思いました。

「アセアセ」(2021年上半期2位)は、1990年代初めのパソコン通信(現在のようにインターネットが一般ユーザーに開放される前のシステム)の発言に例があります。

「それな」も、10年ほど前からありますね。私がはじめて認知したのが2014年で、大学生が使っていました。

2021年上半期・下半期の1位にある「はにゃ」は、「おーい!はに丸」(NHK教育テレビの幼児向け番組・1983年〜1989年放送)じゃないですかね。

主人公のはに丸が、なにかというと「はにゃ」を使ったんです。でもいまは放送されていませんね。それなのに若い人が今使っているというのはおもしろいです。恐らくなにかで見たり聞いたりしたんでしょう。


――そうなってくると「これは新語だ!」と思って辞書を引いてみたら、実はすでに載ってるってこともあり得るのかもしれません。

飯間さん:そうですね。たとえば、「マジ」はすでに江戸時代から例があります。


一同:へええ!


飯間さん:いまと同じように、「マジになる」のような使い方をしていました。

江戸が東京に変わっても言葉は受け継がれました。そして、1980年代になって、若い世代が全国的に広めたんですね。 こんなふうに「調べてみたら、意外に古かった」という言葉は多いですよ。

「ぴえん」にしてもそうです。すごく泣くことを1980年代には「ひ」にテンテンで「びえーん」と表現しました。この「び」を「ぴ」にして「ぴえん」。もう数十年の伝統があるわけです。

「きゅんです」にしたって、1980年代までさかのぼると、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ、坂本龍一さんらが結成した3人組の音楽グループ)が「君に、胸キュン。」という曲を出しています。「キュン」が恋心を表す言葉として歌詞になったんです。
YMO以前の例を見ると、「(つらさで)胸がきゅんと締めつけられる」「なつかしさのあまり胸がきゅんとなって」のような使い方が多いんです。

ところが、いまでは「推しの動画をみてキュンとする」のように、対象をいとおしく思う気持ちを表すことが多くなりましたね。ここは新しいところです。

言葉を使う上で、伝統をふまえつつ、新しい要素を盛り込んでいて、とても頼もしいと思っています。

「伝統を大切にしてくれてありがとう」
――飯間さんからの「頼もしい」との言葉。昔からの言葉にアレンジを加えているとも捉えられると思います。道満さんから見て、若者たちはアレンジを加える上手さ、柔軟性みたいなものって感じますか?

道満さん:過去の言葉が、また流行っているとは感じたことがありませんでした。

Y2Kにしても、昔に流行ったものをリバイバルで楽しんでいるのは「もの」だけだと思っていました。

でも、ここまでのお話を聞いていて、言葉も同じようなかたちで、過去に流行ったものを自分たちなりにアレンジしてポーズを作ったり、ライトな印象にしてみたり、自分をかわいらしくみせるようにしたりしているアレンジ力は、若い世代だからこそだなと思いました。


飯間さん:最新流行の言葉でも、調べてみると、実は伝統とつながっているということは多いです。いきなり出てくる言葉ばかりではないんですよね。

いままでになかった概念を表す言葉だってもちろんありますが、多くは、昔からの言葉を踏まえています。

新語・流行語は厳しい目で見られがちです。でも、どこかで過去の言葉につながっているのはほっとするし、「伝統を大切にしてくれてありがとう」という気持ちになります。

知らないところで地球規模に広がる「言葉」
――若者たちが使う言葉は、SNSがあるからこそ広がりやすいということはあるんでしょうか?

道満さん:昔だと有名人や芸能人は遠い存在だったと思います。SNSがないときは、思いを伝えるときはファンレターを出すとかでしたよね。

でもいまは簡単に、有名人のSNS投稿にリプライでメッセージを伝えたり、タグ付けしたりできます。距離感がすごくライトになっていて、芸能人と同様、インフルエンサーも近い存在です。

インフルエンサーを含めれば昔の芸能人よりたくさんの人数がいて、そこから新たな言葉が出てきて……。さらに、それを拡散する手段としてSNSもあるので、どんどん広がっていくのかなとは思います。


飯間さん:インフルエンサーの言葉が直接的に一般の人に届き、一般の人による「加工」が行われ、それがまた拡散される流れがあります。

辞書を作る人間にとっては、やりにくい時代になっていますよ。

昔は、マスメディアに乗らない新語・流行語がどんどん全国に拡散されるということは、もっと少なかったんです。「ナウい」にしろ「マジ」にしろ、マスメディアの力を借りて広まった面があります。

「ウザい」は方言から全国に広まった若者言葉ですが、これは人の移住などを通じて徐々に広まりました。 ところが、いまはメディアが取り上げない場で、全国的というか、地球的に広まっている言葉がいくらでもあります。

インフルエンサーのリプライ欄などで広く共有されている言葉なのに、外部の人にはまったく知られていないということもある。

いかにそこに気付き、観察できるかというのが、これから辞書を作る人間の腕の見せどころだと思います。

     ◇

前編(「「ぴえん」はもう死語? 飯間浩明さんをうならせたZ世代の答え」)では、新語のうち辞書に載せるものとそうでないものの線引きについて飯間さんが解説。「『ぴえん』っていい言葉だと思うんですよ」という、印象的な発言も飛び出しました。

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  • 話が外れるが、、知らない口語だから否定するは論外。新しい口語を知らないからと否定するも論外。言葉は生き物。方言、最高w
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