82歳でミシンに初挑戦した、ほぼ寝たきりのおじいさん→「がま口バッグ」に注文殺到 「あめりかんどりーむみたいや!」と生きがいに

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2022年08月07日 08:20  まいどなニュース

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写真作り始めは1個仕上げるのに3〜4日かかったが、今は、G3、B3、kikiで役割分担し1日約5〜8個制作。ただし、下準備は別。(画像提供:G3sewing)
作り始めは1個仕上げるのに3〜4日かかったが、今は、G3、B3、kikiで役割分担し1日約5〜8個制作。ただし、下準備は別。(画像提供:G3sewing)

SNSでかわいいがま口バッグのツイートを発見。G3sewing(じーさんソーイング)というネーミングもユニークな響きで、「センスの良いハンドメイド女子が作っているんだろうな〜」とHPをチェックしたところ、驚きの事実に出会いました!

【写真】約2年前のツイッターでの実際の投稿

なんと、作っているのは、84歳のおじいさん(G3、以下G3で表記)と80歳のおばあさん(B3、以下B3で表記)と50歳の娘さん(kiki、以下kikiさんで表記)のソーイングチーム。しかも、主な作業を担当するG3は、ミシンでのものづくりを始めたのは2019年10月、齢82歳の時というミシンビギナー。

いったい、何があって、がま口バッグ作りへとたどり着いたのでしょうか?「もし、がま口バッグ作りに出会わなかったら、死んでいた。病気が悪化していたかもしれないし、自殺していたかもしれない」と語るG3、そして一緒にものづくりに励むご家族を紹介します。

1日の大半をベッドで過ごしていた

三重県・四日市市で暮らすG3一家。G3は、いくつかの自営業の成功と失敗の繰り返しで、60代後半からは大動脈解離や糖尿病、うつ病と次々と病気に見舞われる人生。現在、G3sewingのサイト運営や材料の調達、広報を担う三女のkikiさんは「いつ訪れてもパジャマ姿でベッドに横たわっていて、半分死んでいたようだった」と以前のG3を振り返ります。

少しでも元気になって欲しいと思って頼んだのがミシンの修繕。かつて、電気工事士としてラジオとテレビの組み立てなどを行っていたことから、壊れたミシンを託したところ、職人魂に火がついてあっという間に修理されました。ミシンをG3のそばに放置しておいたら、「何か作りたいなぁ」と1日中ミシンで布小物を作るように。パジャマ姿で過ごすことも減り、アームカバーを両腕にはめ、「ミシン、楽しいな。次は何作ろ?」とミシンでのものづくりに夢中になっていきました。

大量在庫に頭を抱えていたけど…バズった!

G3の創作意欲は高まる一方。おじいさんが作るからG3sewing(じーさんソーイング)と命名して、財布やポーチなどあらゆるものを作りまくり。kikiさんは知人のショップにG3が作ったポーチやコースターなどの販売をお願いしましたが、【作りたい→売れない→生地や材料を買うお金がない】のループに入り込んでしまいました。

見かねたkikiさんの息子(G3の孫)が2020年7月にTwitterのアカウント(@G3Sewing)を開設。作業中のG3や出来上がったがま口バッグの写真を投稿すると、Twitterからの注文が相次ぎました。「あめりかんどりーむみたいや!」と喜ぶG3さん、83歳にして生きがいを見つけたのです。

生きる幸せが見つかった!今が楽しい!

「“できない”と言いたくないので、ただただ夢中で取り組んできました。娘に“下手くそ”と言われたり、ダメ出しされたりするたびに、悔しくて、“すごい!”と言ってもらえるまで頑張ってしまう性格なのです」とミシンにハマったいきさつを話すG3。

それまでは、生活することに一生懸命で生きる幸せを実感することはありませんでした。月々の年金もわずかで、それも病院代や薬代、食費に。葬式代くらいは、と貯めたくてもお金が一向に貯まらず、ゆとりなどない暮らしだったと言います。

「まさか80代でこんな幸せなことがあるなんて思っていませんでした。1つも売れなかったことから考えると、本当に、こんなじーさんが作ったものを“買いたい”と言ってくれる人たちがいて、嬉しいです。何年でも待ちますと言う方、メッセージを添えてくれる方などたくさんの素敵な出会いもあり、すべて保管してファイルに溜めています。病気は治ってないからつらいときもありますが、薬よりもよく効く元気の源。だから毎日毎日、心込めて、カバンを作っています」。

希望も能力もある後期高齢者の姿を発信できたら

ショルダータイプのがま口バッグやリュックタイプなど新しいバッグの構想も持つG3sewing。kikiさんの頭の中には、「かつてのG3のように、何もすることがなくて、日々を憂いている、80代以上の後期高齢者の人たちがいたら、仕事を一緒にしてそして報酬も得られるような仕組みづくりをしていけたら」という思いも。

「日本の後期高齢者には、いっぱい希望があって、能力もまだまだ使えるというようなことを発信できるG3sewingになったら最高じゃないでしょうか」とG3も言います。

みんなが幸せになる、それがG3sewing

G3sewingが順調に動き出したことは、家族にも大きな変化をもたらしました。「一言で言うと『回復』です。色々な意味で。そして『感謝』。語り切れないほど180度変わりました。娘としても、感謝、嬉しいの一言に尽きます。毎日責任をもって仕事に取り組んでくれているし、とてもイキイキとしてきて、笑顔や感謝の言葉がふたりからも増えました」とkikiさん。

TwitterやHPで見るG3B3の笑顔がキラキラまぶしく、それでいて柔らか。こんな素敵な表情の方が作るものは、一つひとつにあたたかみが詰まっているに違いありません。「私たちG3sewingには誇れることなど何もありません。すべてG3sewingを応援してくださっているファンの皆さまのおかげで、みなさまに育ててもらっているG3sewingです。ゼロどころかマイナスから始まったG3sewingがこれからも皆さまに愛され続けるよう、高慢にならず、怠惰にならず、感謝の気持ちを持ち続け、長く歩んでいきたい、ただそれだけです。どうぞこれからもよろしくお願いします」。

HPでは、がま口バッグに加え、トートバッグ、お薬手帳がま口、お茶碗型ポーチ、印鑑ケースなどを販売しています。

さらに、8月8日(がまぐちの日!)には、G3sewingのものづくりへの思いや製作工程、そしてこれまでのことを綴ったエッセイ本『あちこちガタが来てるけど 心は元気! 80代で見つけた 生きる幸せ』(KADOKAWA 1,540円)を上梓。

「今が人生の中でいちばん幸せ」と言い切る、すがすがしい笑顔に勇気づけられます。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)

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このニュースに関するつぶやき

  • すごいなあ。。私も最近務めた施設、堅物のじいさんから怒られてばかりだったがシベリアの話からロシア語を教えて
    • イイネ!25
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