ルーキーとのクラッシュに琢磨も激怒「考えられない。彼はイン側のエイペックスにも着いていない」

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2022年08月08日 17:10  AUTOSPORT web

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結果が出ないレースが続き、厳しい表情を浮かべる佐藤琢磨
4週間で5レースというNTTインディカー・シリーズ「地獄のロード」もこの第14戦ナッシュビルで終わりとなる。

 まるで日本のような三日間の蒸し暑さはドライバーたちを容赦なく苦しめた。そしてそこで生き残れるかどうかというサバイバルの度合いも、「地獄」と形容するに十分なレース展開だった。

 昨年初開催となったナッシュビルだが、80周中33周がイエローコーションという超サバイバルレースだった。当然今年も大荒れの展開は予想されていた。

 主催者も昨年の反省を活かしターン9やターン11など複数のコーナーの形状を変更、さらにブリッジを過ぎたブレーキングポイントを再舗装するなどの対策は講じていた。

 佐藤琢磨は昨年レース序盤でターン11でアクシデントに巻き込まれ、行き場を失いリタイアしていた。果たして今年はその雪辱を晴らすことができるのか。

 デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシングの佐藤琢磨は、ここ数戦チームメイトのデイビット・マルーカスに先行を許している。ナッシュビルの予選でもマルーカスはルーキーながら7番手に着け、琢磨は20番手であった。

「デイビットのクルマと僕のクルマで同じようにセッティングをしたり、同じように変更をしても、同じように反応しなくて修正をしなくちゃいけない。ここ数戦続いていて、そこはちょっと不可解で時間を要する結果になっている……」と語る琢磨。


 同じ予選グループではチップ・ガナッシのスコット・ディクソンやマーカス・エリクソンもQ1敗退をしており、Q1通過まで0.3秒の僅差だったが、そのわずかな差がインディカーでは大きな別れ目となってしまう。

 そのような状況の中でも、大荒れが予想できるナッシュビルであれば、レースに生き残りさえすれば、琢磨が上位フィニッシュの可能性は十二分にあった。

 昨年優勝したエリクソンは18番手からスタートし、序盤にフロントウイングを飛ばして宙に舞うアクシデントを起こしながらも、最後にはトップでチェッカーを受けているのだ。

 荒れたのはレースだけでなく、天候もそうであった。サポートレースのインディライツが終了直後から空がにわかにかき曇り、雷の予報も出て観客も避難させて進行は一時中断。間もなく大雨と雷がナッシュビルの街を飲み込んで、レースはおよそ1時間半のディレイで始まった。

 気温のせいで路面の雨は早く乾き、全車スリックタイヤでコースイン。ブリッジの上でグリーンフラッグが振られると80周のレースが開始。


 琢磨は20番手の位置から無理をせず、鬼門のターン9を無事に通過。ブラックタイヤの性格上、グリーンタイヤを履いたマシンより最初の瞬発力が劣るため21番手まで落ちたが、序盤の接触などで前方のマシンが後方に落ち、琢磨のポジションは上がっていった。

 この時にはすでに無線でピットと話しながら燃料をセーブし始めて、来るべきタイミングに備えていた。


 2度目のイエローコーションのタイミングでピットに入りポジションも上げて15番手に。ブラックタイヤでスタートした後、またもやブラックタイヤを装着し、フロントウイングも調整してレース中盤戦に備えた。

 32周目のイエローコーション明けでペンスキーの地元のヒーロー、ジョゼフ・ニューガーデンに迫りながらターン9を通過した琢磨だが、その後ターン10でアンドレッティ・オートスポートのデブリン・デフランチェスコに接触され、壁に激しくヒット! マシンをその場に止めた。

 琢磨は珍しく興奮しながらマシンを降り、デフランチェスコに詰め寄ろうとすると、セーフティカーチームに制しされるひと場面も。

「考えられないですよね。僕がアウト側になったんですが曲がろうとしても、彼はイン側のエイペックスにも着いていないし、しかも聞いたら誰かに追突されたみたいなことを言っているんですが、リプレイを見ても後ろにいたコルトン・ハータは当たってもいない……。これから上がっていこうという時に本当に残念です」

 まだレースが半分も消化していない時点で起きた不運なアクシデント。琢磨は今年もナッシュビルを完走することはできなかった。

 レースは一時最後尾近くまでディクソンが不死鳥のように甦り優勝、53勝目を飾った。イエローコーションは実に8回を数え、80周中36周45%がイエローコーションという大波乱のレースだった。

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