Huaweiが「HarmonyOS 3」を発表 デバイス間連携強化でスマホ市場の劣勢を打開できるか?

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2022年08月09日 13:02  ITmedia Mobile

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写真スマートデバイス向けの最新OSであるHarmoyOS 3
スマートデバイス向けの最新OSであるHarmoyOS 3

 Huaweiが7月27日、スマートフォンやタブレット、スマートウォッチなど同社のスマートデバイス向けのOSであるHarmonyOSの最新バージョン「HarmoyOS 3」を発表した。現行の「HamronyOS 2」の単なるバージョンアップにとどまらず、デバイス連携など自社のエコシステムを大幅に強化している。HarmonyOS 3は中国国内スマートフォン市場での劣勢を打開するものになるのだろうか?



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●HamronyOS 2をさらに進化させたHarmonyOS 3



 Huaweiのスマートフォンは世界ではもちろん、日本でもメジャーな製品として人気を集めていた。OSはAndroidを採用し自社開発のUI(ユーザーインタフェース)を搭載したカスタムOSとして「EMUI」を搭載していた。



 しかし米国政府の制裁を受けてから、Googleサービス(GMS、Google Mobile Services)の搭載が困難となったため、アプリケーションストアは独自の「AppGallery」の搭載を進め、当初はIoT機器向けとして開発されていたHarmonyOSをスマートフォンにも展開を開始。2021年6月に発表したHarmonyOS 2から本採用を進めている。現在中国で販売されているHuaweiのスマートフォンやタブレットは全てがHarmonyOS 2を搭載しており、グローバルでも一部モデルに搭載が進んでいる。



 HarmonyOS 2は複数デバイスの接続やホーム画面UIに大きな特徴を持っている。例えば「スーパーデバイス」は、他のスマートフォンやタブレットとの接続をアイコンのドラッグだけで行える機能で、Huawei製のWindowsノートPCなども対応する。また、アプリそのものがウィジェットになる「サービスウィジェット」を採用し、ホーム画面から別途ウィジェットを追加することなく、アプリアイコンを上にスワイプするだけでウィジェット化できる。アプリによってはウィジェットサイズが複数用意され、ホーム画面に複数貼り付けることも可能だ。HaromyOS 2ではアプリとウィジェットが統合されているのである。



 最新OSのHarmonyOS 3では数多くの進化が見られるが、特にこれら2つの機能が大きく強化されている。サービスウィジェットはiOSのスマートスタックのように重ねることのできる「ユニバーサルカードウィジェット」となった。しかも1つのカード内に正方形のサービスウィジェットとアプリアイコン4つのように、複数のウィジェットやアプリを組み合わせることができる。「天気ウィジェットと航空券購入アプリ、ホテル予約アプリ、地図アプリ、支払いアプリ」を組み合わせ、旅行関係のカードを作るといったことも可能だ。またスマートフォンとタブレットで同じウィジェットの組み合わせを異なるサイズで表示することもでき、ホーム画面をディスプレイサイズごとに最適化しつつ、アプリやウィジェットの配置を共有できるのだ。



 そしてスーパーデバイスは対応するデバイスが大幅に増え、Wi-Fi機能しか持たないタブレットでも、接続したスマートフォンのアンテナピクトが表示されるなど、大幅な機能アップが図られた。これにより、デバイスの連携がよりシームレスに、かつインテリジェントに行うことができるのだ。HarmonyOS 3の最大の進化はこの機器間連携の強化といえる。



●HarmonyOS 3デバイスをシームレスに接続できるのが強み



 HarmonyOS 3のスーパーデバイス機能は接続可能なデバイスが12種類に拡大された。スマートフォンでスーパーデバイスを開けば接続可能な機器名がアイコンで平面上に表示され、アイコンをドラッグして自分のデバイスにタッチさせれば接続は完了する。機器一覧を表示したり、表示された機器名を長押ししたりするといった操作は不要だ。接続可能な12種類のデバイスはスマートフォン、タブレット、スマートウォッチはもちろんのこと、モニターやスピーカー、ヘッドフォン、Windows PCそしてスマートカーなどHuaweiのほぼ全てのIT製品となる。



 ヘッドフォンとスマートフォンを近づけるだけで自動接続できる製品もあるが、同じヘッドフォンを他のスマートフォンに接続する際は手作業が必要なケースが多い。また電車の中で自分のスマートフォン画面にいきなり他人のヘッドフォンが表示されて面くらってしまう、なんてこともあるだろう。スーパーデバイスでは必要とする機器だけを確実に接続させることができるのだ。



 また、スーパーデバイスの接続は1対1に限らない。例えばタブレットと外部モニターとプリンタ、スマートウォッチとスマートヘルス機器とヘッドフォン、のように対応していれば2つ以上の機器に同時に接続できる。Huaweiはプリンタなどオフィス向け製品も拡充させており、スーパーデバイスはオフィス機器のワイヤレス接続化も可能にしてくれる。



 スピーカーやヘッドフォンをスーパーデバイスで接続しておけば、音楽を聴いているときの切り替えもアプリから表示されている機器アイコンをタップするだけと簡単だ。なお、テレビで映画を見ながら外部スピーカーに接続すれば、スピーカーが追加され、より迫力あるステレオサウンドを奏でてくれる。遅い時間になったらヘッドフォンへの切り替えもワンタッチで済む。



 スーパーデバイスの便利な使い方は他にもある。Huaweiは10.3型のE Inkディスプレイを搭載した「MatePad Paper」を販売している。電子ブックリーダーに特化したユーザーインタフェースを採用しており、書籍を読んだりメモを書いたりする用途には向いているが、大量の電子ブックから目的の書籍を探すといった操作は、画面表示に遅延が生じる電子ペーパーではやや操作しにくい。これは他社の電子ペーパータブレットでも同様だろう。



 しかしスーパーデバイス機能を使えば、まずスマートフォンやタブレットで書籍を選び、次にMatePad Paperを接続してワンタッチでコンテンツを送信できる。電車の中にてスマートフォンでSNSのコミュニケーションを楽しみながら、チャットで面白い書籍が紹介されたら即座に検索してMatePad Paperに送って読む、なんてこともできるわけだ。



 Huaweiは、他のメーカーに先駆けてスマートEV(電気自動車)も既に販売している。中堅自動車メーカーの小康工業集団と共同で「AITO」シリーズを開発し、既に「問界M5」「問界M7」の2製品を販売中だ。どちらも車内にはタッチパネルを備えたスマートディスプレイを搭載しているが、Huaweiのスマートフォンと連携してAndroid Autoのようにスマートフォンの画面を専用デスクトップに表示できる。AITOは車内にカメラを搭載しているが、そのカメラを使ってスマートフォン経由でのビデオ通話も可能だ。もちろん自動車のバッテリー容量や走行距離はスマートフォンやスマートウォッチで確認できるし、ドアロックはスマートウォッチで開閉できる。



●ただし現時点では中国国内の展開にとどまる



 このように、Harmony OS3は手持ちのHuawei製品全てを相互に接続でき、コンテンツ共有も手軽に行える。自宅にあるスマートTVも簡単にスマートフォンやタブレットの外部モニターとして使えるし、スマートフォンからスマートウォッチへの音楽転送も指先操作だけで行える。さらに自動車のコントロールまでも可能にしているのだ。スマートフォンを中心にスマートな生活を提供しようと各社が試行錯誤しているが、Huaweiは実用的なエコシステムの構築で、他社を一歩以上リードしたように見える。



 ただし現時点でHarmonyOSの本格展開は中国国内にとどまっている。HarmonyOSと接続できる「HarmonyOS Connect」搭載の家電やIoT製品もほぼ全てが中国国内のみでの販売だ。現時点でスマートホームなどIoT製品のエコシステムを比較すると、HuaweiのHarmonyOSはGoogleやApple、Samsungに並ぶレベルに到達しており、スマートカーなどでは既に追い抜いた。しかしHarmonyOSはグローバルには展開が進んでおらず、このままでは中国だけというローカルなエコシステムにとどまってしまう。



 その中国では、既存のHuaweiユーザーを引き留めるため、他のメーカーなら切り捨ててしまう古い製品の延命も続けることで、シェアをつなぎ止めようとしている。2021年にHaromyOS 2を発表した際、Huaweiは旧モデルのバッテリー交換やメモリのハードウェア増設などを行い、旧モデルを使い続けているユーザーに引き続き自社製品を使ってもらい、さらに新しいHarmonyOS 2を体験してもらおうとバージョンアップも提供した。HarmonyOS 3でも同様のサービスが提供される予定だ。



 Huaweiは中国国内でも5G対応モデルを出せず、スマートフォンやタブレット市場で苦戦が続いている。とはいえ明るい材料として「Mate Xシリーズ」や「P50 Pocket」は国内の折りたたみスマートフォン市場でシェア50%以上と圧倒的な強さを見せている。特徴的な端末で消費者の関心を集めながら、HarmonyOS 3の優位性をどこまでアピールできるのか、本格的に対応製品が出てくる9月以降のHuaweiの動きに注目したい。


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