JTが「ウルマ」の期間限定パッケージにかけた想い ─ 売上の一部は首里城復興に

JTは、首里城をデザインした数量限定パッケージの「ウルマ」を5月16日より沖縄県で販売している。いまや唯一の旧3級品である「ウルマ」の歴史と特徴、そして2019年の火災により焼失した首里城の復興に向けたJTの想いを伺った。


○いまも沖縄で販売されている旧3級品銘柄「ウルマ」



「ウルマ」は1960年に琉球煙草より発売され、1972年に日本専売公社(現：JT)が受け継いだ歴史あるたばこ銘柄だ。"うるま"という言葉には「珊瑚の島」という意味があり、パッケージには沖縄本島を表すタツノオトシゴがデザインされている。



専売公社時代「3級品」と呼ばれた銘柄のひとつであり、納付金率が低く抑えられていたことも大きな特徴だった。だが2019年9月の特例税率廃止を受け、同じ旧3級品の「しんせい」「バイオレット」はすでに販売を終了し、「わかば」「エコー」「ゴールデンバット」はリトルシガーとしてのみ販売されている。



そんな状況の中、「ウルマ」は現在も購入できる唯一の旧3級品として、沖縄県限定で販売されている。2022年5月16日、この「ウルマ」に首里城をデザインした期間限定パッケージが発売された。JTが限定パッケージの販売を決めた理由とその思い、そしてウルマの特徴について、JT Product&Brandの阿部由寛氏に聞いてみた。


○首里城復興への願いを込めた期間限定パッケージ



──「ウルマ」期間限定パッケージを発売することになった経緯とは?



CSR(企業の社会的責任)として、JTはこれまで「JTの森」などの森林保全活動や、新型コロナウイルス感染症対策に関わる各種団体への寄付などを実施してきました。一方で、事業活動を通じた社会価値の創出、いわゆるCSV(共通価値の創造)に関しては、民営化以降(※)、特定のたばこ商品の売り上げの一部を寄付するという取り組み以外に実績がなかったのです。



(※専売公社時代には、1964年の東京オリンピック開催費用として、寄付金付きのたばこ[銘柄名：オリンピアス]販売/寄付の事例がある)



そこで社内でタスクフォースが結成され、延べ200件近い案の中から、2019年10月31日未明に火災により焼失した首里城の復興支援を目的として、沖縄県で愛されている「ウルマ」を活用した期間限定パッケージを展開し、売り上げの一部を寄付に充てる案が採用されたのです。



──パッケージに首里城というアイコンをデザインするにあたり、苦労した点はありましたか?

首里城をモチーフにすることは第一でしたが、ウルマの限定品であることを分かって頂きつつ、ウルマの愛煙家の方々にも引き続きご愛顧いただけるよう、その最適なバランスを取ったデザインにすることに苦労しました。通常、たばこの新商品は財務省から小売定価の認可をいただくのですが、今回は既存製品の限定パッケージであるためその申請は不要で、代わりに内閣府や沖縄県から許諾を得ているという、稀な存在となりました。


──パッケージデザインでこだわった点があれば教えてください。



一目で特別なパッケージであることが分かることを心がけました。詳細はお話しできませんが、甲乙つけがたい様々なデザイン案から、今回のデザインを選定いたしました。


──「ウルマ」というたばこ銘柄の特徴は?



ウルマは琉球煙草から続く歴史ある銘柄です。昔ながらの17mgという高タール、チャコールが入っていないプレーンフィルター、そして伝統的なサイズ(※)をそのまま維持しており、沖縄県内で根強い人気を誇っています。ブレンドはたばこ本来の深みと、荒々しいハーブの様でスパイシーな味わいです。



※たばこ1本自体は短いが、フィルターも短く、刻み部分が多くなっている


──沖縄県へのさらなる貢献や、他の地域での貢献などは検討されていますか?



「ウルマ」の期間限定パッケージは我々の新たな試みです。まだ具体的な次回作などはまだ決まっておりませんが、お客さまが今回の施策をポジティブに受け取っていただけるならば、同様の施策が継続されるかもしれません。今回の施策の振り返りをしっかりと行い、「お客さまを中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者の満足度を高めていく」という当社の4Sモデルに従って、今後も邁進していきたいと思います。



──最後に、消費者のみなさまにメッセージがあればお願いします。



首里城というパッケージの特別さ、琉球煙草から引き継いできた長い歴史、これらを感じながら「ウルマ」をお愉しみいただければ大変うれしいです。首里城復興の支援にもなりますので、愛煙家の方はぜひ一度お試しください。（加賀章喜）