松島幸太朗、3度目のワールドカップへの覚悟。「思うようにプレーができなくなったら、すぐに代表を離れてもいい」

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2022年08月10日 17:01  webスポルティーバ

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松島幸太朗インタビュー(後編)

 来年9月にフランスで開幕するラグビーワールドカップに向けて、ジェイミー・ジョセフHC率いる日本代表は強化に余念がない。今年6月〜7月には4週間にわたって全国各地でウルグアイ代表、フランス代表と親善試合を行なった。

 各チームから多くの選手が代表合宿に参加し、試合に出場して初キャップを得た選手もいた一方、松島幸太朗はメンバーに招集されなかった。日本代表をグラウンド外からどのように見ていたのか、そして自身3度目となる2023年ワールドカップについてどう考えているのか、心境を語ってくれた。

◆松島幸太朗@前編はこちら>>「なぜフランスから戻ってきたのか。決め手となったのは...」

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---- ケガの影響もあったと思いますが、6月から7月の今夏の期間、松島選手は日本代表活動をお休みしました。

「フランスの1年目は日本代表も含めて年間27試合に出ましたし、2年間でけっこうな試合数に出ていました。なので、僕から『この夏は(代表活動を)休みたい』とジェイミー(ジョセフHC)に伝え、彼からも『しっかりと休んでほしい』と言われました。

(7月に国内で対戦した)フランス代表にはウィングのダミアン・プノーなどクレルモンのチームメイトが何人かいたので、もちろん出たい気持ちもありました。でも、11月に(敵地で)またフランス代表とやるチャンスもあります。夏と秋ではまったく違うメンバーになると思うので、それはそれで楽しみです」

---- 今夏に休めたことは、いいリラックスになりましたか?

「3月にケガして3カ月くらいリハビリしていたので、シーズンが終わってからほとんど何もしていませんでしたね。ラグビーから完全に離れた期間が長かったので、メンタル的にも身体的にもよかったんじゃないかな。ケガの具合はよくなっているので、そろそろオン状態にして徐々にコンディションを上げていき、試合感覚を取り戻していきたいですね」

---- 7月に行なわれた日本代表対フランス代表の2試合を観て、どんな印象を受けましたか?

「1試合目は豊田スタジアムで見ていましたが、暑さでかなりやられているなという感じがありました。けど、2試合目はしっかり自分たちがやりたいことをやれていた。それを再び秋の対戦でもできるか、というところが一番大事です。

 フランス代表は夏と同じメンバーではないと思いますし、気持ち的にも身体的にもみんなシーズン中なので、いい感じで臨んでくる。一方、日本代表は(リーグワンが開幕前で)逆にあまり試合をしてない状態なので、身体と気持ちの切り替えがすごく大事だと思います」

---- 7月のフランス代表戦ではベテランのフルバック山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)が活躍し、ウィングでは2019年ワールドカップに出てなかったシオサイア・フィフィタ(花園ライナーズ)やゲラード・ファンデンヒーファー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が出場していました。

「ポジション争いはあまり意識していないですし、(バックスリーの選手たちは)普通にいいプレーをしているなと思います。刺激は受けますが、結局は自分次第だと思います。自分にフォーカスをしていれば問題ないかな。日本代表では山中さんが15番に入ることが多いですが、どこでもやれるようにしておきたいです」

---- 15−20で惜敗したフランス代表との2試合目は勝ってほしかったという気持ちでした?

「もうちょっとで勝てた試合だったので、惜しかったなというところもあります。勝ちきって流れを変えたいところでした。シンプルに(日本代表は)インテンシティの高い試合が少ないですが、テストマッチを増やしてほしいといっても簡単に増やせるものじゃない。選手としてはどの試合も気持ち入れてやっていると思いますが、やはりインテンシティが高い試合や緊迫した試合をもっとやりたいですね」

---- 今後行なわれる予定のテストマッチは、今年の秋、そして来年のワールドカップ前しか残されていません。強度の高い試合が少ないことは、やはり不安ですか?

「日本代表として(試合数が少ないことに)不安もありますが、個人的にも周りと同じことをやっていたら成長できないので、リーグワンでしっかりパフォーマンスを高めて、違いの生み出せる選手になっていかないといけないという思いはあります」

---- コロナ禍で2020年は日本代表のテストマッチがありませんでした。強化に遅れが出ていることは否めないと感じるのですが。

「そこはもう、完全に選手次第ですね。2015年のワールドカップ前もあまり(強度の高い試合)経験がなくて、合宿でそれをカバーしました。

 しかし、今回はリーグワンの試合数がけっこうあるので、あまり合宿ができないという側面もあると思います。リーグワンのシーズン中に(どう代表の強化を)やっていくのかわからないですが、戦術を理解しないといけないので、その時間をどうやってコーチ陣と作っていくのか楽しみにしています」

---- コーチ陣はジョセフHC、トニー・ブラウンコーチのふたりが前回大会から継続しています。

「コーチ陣もワールドカップを戦ったという経験値が次に発揮されると思います。選手たちの癖もわかってきているでしょうし。前回大会よりも高いレベルを求められているので、お互いを信じてやっていきたいです」

---- 松島選手は来年のワールドカップを30歳で迎えます。日本代表でもベテランになってきました。

「あまり年齢を意識せず、まずはパフォーマンスを求められると思うので、しっかり出していきたい。ワールドカップでは誰がキャプテンになるかわかりませんが、身体を張っているキャプテンがいれば、チームはその人についていくと思います」

---- 最近までプレーしていたフランスでワールドカップとなると、やはり楽しみが多いのでは?

「嫌という気持ちは一切ないですね。ワクワクする気持ちのほうが大きいです。(勝ち進んで準決勝以上で)フランス代表と対戦できれば、僕的には一番面白いです。ただ、ワールドカップは特別な舞台なので、どことやっても特別な試合になりますし、どのチームでも楽しみたい気持ちはあります。

 なかでも、元チームメイトとやるのが一番面白いですね。イングランド代表にはヘッドコーチがエディー(ジョーンズ)ですし、アルゼンチン代表には(クレルモンで一緒だった)ロックのトマス・ラバニーニがいます」

---- フランスでの2年間の経験を、日本代表のチームメイトに伝えていければいいですね。

「そうですね! まぁ、普通にやれば大丈夫だと思いますが。(注意しないといけないのは)グラウンドが少し緩くてネチョネチョしているかもしれない、くらいですかね。あと、日本と何が違うかといえば、フランス人の応援とかブーイングはすごくて面白いですけど、それに慣れていることはでかいと思います」

---- 松島選手にとって3度目となるワールドカップは、どんな大会にしたいですか?

「チームの目標に関しては、やはり前回大会よりかはいい結果を出したいです。個人的には、もしかしたら最後のワールドカップになるかもしれないので、持っているものを出しきりたい気持ちはあります」

---- 「最後のワールドカップになるかもしれない」というあたりを、もう少し具体的に教えてください。

「シンプルに『次の日本代表の指揮官が誰になるのか』という問題もあると思いますし、年齢というのもあるし、(日本代表に)もっと活きのいい選手が出てくるかもしれない。逆に出てこなかったらやばい、とも思いますが(笑)。

 でも、選手としては(その次の2027年ワールドカップも)出る気持ちでいますし、パフォーマンスがよければ狙っていきたいです。どんな選手が出てくるのか、というのも楽しみですね。ただ、ちょっとパフォーマンスが落ちてきて思うようにプレーができなくなったら、すぐに代表を離れてもいいんじゃないかなとも思っています」

---- 2015年大会と2019年大会で、9試合連続して先発しています。2023年大会も全試合に出たいという気持ちですか?

「ワールドカップでは当然、全試合に出たいですが、前回大会でベスト8に進出した時は身体がやりきった状態に近かった。気持ちは「全部に出たい!」というふうになると思うので、あとはコーチ陣がどうコントロールしてくれるか、ですね。

 前回の成績を超えるには、やはり(選手)層の厚さが必要です。誰が試合に出ても同じぐらいのレベルにしないといけないですし、選手もハングリー精神を切らさず出していかないといけない」

---- 来年9月に開幕するワールドカップまで、あと1年あまり。何が一番大事でしょうか。

「今のチームには、前回大会の経験が間違いなくあります。だが、やはり選手一人ひとりの努力は欠かせない。それがチームとして合わさった時、大きな力になる。団結力が試されると思います」

---- 2014年から積み重ねてきた代表キャップも40を超えました。松島選手にとって、あらためて桜のジャージーを着てプレーする意味とは?

「桜のジャージーを着て試合に出ることは簡単ではないです。もちろん、責任も大きい。段々とジャージーの重みが増してきています。ただ、そのジャージーに袖を通すことに自信は持っていいと思うので、これからも日本代表でしっかり自分のパフォーマンスを出していきたいですね!」


【profile】
松島幸太朗(まつしま・こうたろう)
1993年2月26日生まれ、南アフリカ共和国プレトリア出身。ジンバブエ人の父と日本人の母のもとに生まれ、6歳から日本に生活の拠点を移す。桐蔭学園高時代から快速ランナーとして注目を集めるも、高校卒業後は強豪大学に進学せず、南アフリカのシャークス・アカデミーに2年間のラグビー留学。帰国後の20214年にサントリーに加入し、同年5月に代表初キャップを獲得する。その後も2015年にワラターズ、2016年にレベルズ、2020年にクレルモンと海外に渡ってプレーし、今年7月に東京サントリーサンゴリアスに復帰。ポジション=センター、ウィング、フルバック。身長178cm、体重88kg。

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