清水邦広が考える「バレー界のために」。大学生Vリーガーたちへの助言と闘争心、ビーチバレーとの「二刀流」にも意欲

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2022年08月11日 11:11  webスポルティーバ

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パナソニックパンサーズ・清水邦広インタビュー 後編
昨シーズンの総括と来シーズンの目標

(前編:『ハイキュー‼』で「勉強になる」部分とは? 似ていると言われる牛島若利は「彼はすごすぎます(笑)」>>)

 V.LEAGUE「DIVISION1 MEN」の2021−2022シーズンで3位に終わったパナソニックパンサーズ。来シーズンに2018年以来となる優勝を目指すチームにおいて、数々の栄光をもたらしてきた清水邦広の存在は欠かせない。

 ベテランとなった清水から見たチームの現状、昨シーズンにパンサーズでプレーした大学生たちから受けた刺激、ビーチバレーへの挑戦の意識などを聞いた。




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――昨シーズン、パナソニックパンサーズはリーグ3位。3年連続で優勝を逃す形となりましたが、その点についていかがですか?

「コロナ禍がなかなか落ち着かない中で、外国籍の選手の合流が遅れるチームも出るなど大変なシーズンでした。パンサーズとしては、本当に悔しい結果になりましたね。ただ、2022年に入ってからは大学生の選手が入ってチームが活性化されていったように思います」

――昨シーズンは、日本代表の大塚達宣選手(早稲田大4年)、エバデダン・ラリー選手(筑波大4年)や牧大晃選手(筑波大1年)といった現役の大学生が加入。パナソニックの意欲的な試みは話題になっています。

「選手にとって20歳前半までの数年はすごく"伸び盛り"ですし、そういう時期にVリーグで練習や試合ができることは大きな糧になると思います。大学のバレー部での練習に加えて、日本トップのリーグで実践されている練習のメソッドなどに触れれば、それが飛躍のきっかけになるかもしれない。

 僕らの時代は『大学を卒業してからVリーグへ』という流れが普通でしたが、西田有志選手など、大学を経ずにジェイテクトSTINGSに入団して急成長したという例もある。若いうちからVリーグを経験することは、プロ意識が芽生えるといった点も踏まえて絶対にプラスです」

――清水選手から何かアドバイスをしたことは?

「特にスパイクに関して、『助走はこう入ったほうがいいよ』とか、ブロックがついた時の打ち方といったことなど、気づいた時にすぐに声をかけるようにしていましたね。特に高校生だった牧選手は、独特のクセがあって能力や身長(210cm)を活かしきれていないように見えました。

 具体的には、長身選手によくあることなんですが、少し手打ちになってしまっていた。右利きの彼の場合は打つ前に左手をしっかり上げて、右手を振る時にグッと締めるようにすると力がよく伝わりますし、高さも出る。日本代表で活躍する選手たちはみんなフォームがきれいだと思うんですが、それは全身の力をうまく伝えられている証明でもあります。

 牧選手も高校時代は、あれだけの身長があれば難なく上から決められていたと思います。でも、大学、Vリーグ、日本代表でも戦うとなるとそうはいかない。フォームを改善しないままでいると、今後の長いキャリアで大きなネックになる可能性があると思ったので、それは重点的に話しました」

――逆に彼らから刺激をもらえることもありましたか?

「体のキレもそうですし、少しだけアップして強烈なスパイクを打つところなどを見て『若いなぁ』と思いましたよ(笑)。僕らベテランは入念にアップをして、動きを慣らしてから全力で、という感じですからうらやましい部分もありましたね。ただ、『負けてもいられない』という闘争心も生まれました。技術などで彼らのパフォーマンスを上回れるように、という意識はありましたね」

――自身の成長に関しては、以前に「ビーチバレーにも挑戦してみたい」という話もされていましたね。

「ビーチもやりたいですね。今でもオフにやることはありますが、インドアのバレーとは必要な技術、プレーもまったく違う。同じ"バレー"がつくけど遠い存在に感じます。それでも、練習していくと少しずつうまくなっていく。僕は今年で36歳ですが、この年で成長を実感できることがうれしいです。

 僕の理想としては、インドアとビーチを両方やりたいですね。Vリーグのシーズンは10月から、黒鷲旗大会を含めて5月まで。日本代表ではない選手は、そのあとの夏の時期はトレーニング重視で個々のレベルを高めていく選手が多いですが、その期間にビーチをやりたい選手はどんどんプレーしてもいいと思うんです」

――それは、大会などにも出るということですか?

「そうですね。単なる遊びではなく、ポイントも出る大会に出場するようになったら、ビーチと一緒に日本バレーのレベルや人気も上げていける可能性があるんじゃないかと思っています。今はインドアとビーチでファン層も分かれていますが、Vリーグの選手がビーチでもプレーすることで、双方のファンが興味を持ち合うようになるかもしれない。今はそれぞれをつなぐパイプがない状態なので、それを作れないかと考えています」

――マンガ『ハイキュー!!』でも、主人公の日向翔陽がビーチバレーに挑戦する様子が描かれていましたね。

「あれはものすごく意味があることだと思います。インドアとはまったく違う下半身の使い方を身につけたり、風を読むことや、プレーヤー2人でどう試合を組み立てるか、といった中で判断力も身につくはず。パンサーズのチームメイトの(ミハウ・)クビアク選手もキャリアのスタートはビーチでしたが、手先の細かい技術などはそこで培われたことも多いはずです。やわらかい砂の上でやるのでケガのリスクも少ないですし、"二刀流"に挑戦するハードルはそこまで高くないと思っています」

――プレー以外の部分で、Vリーグを盛り上げることについてはどのように考えていますか?

「試合会場のエンターテイメントの部分でも、見る方たちを満足させられるようになるといいですよね。Vリーグをひとつの"娯楽"として、純粋に楽しんでもらえることを目指したいですが、そのために他競技を参考にすることも必要だと思います。これまで、野球やサッカーなど別の競技も会場まで見に行ったことがたくさんあるんですが、勝ち負けに関係なく、その場に行ったことが楽しかった。

 演出だけでなく、会場の一体感がすごかったんです。会場の規模の違いやコロナ禍という状況もあって同じようにできないところも多いでしょうが、Vリーグも応援の方法や、試合の見せ方次第でもっと面白くなるはず。僕も思いついたアイデアは積極的にチームに伝えていって、リーグ全体を魅力的なものにしたいです」

――最後に、来シーズンに向けた目標を聞かせてください。

「先ほどの話と重なるかもしれませんが、"見る人をどれだけ惹きつけることができるか"は常に考えています。Vリーグでは世界トップレベルの外国籍の選手もプレーしていますし、リーグ自体のレベルも海外に負けていない。今はさまざまな形で試合の映像が見られる時代ですから、クオリティの高い試合やプレーを見せることができたら人気も上がっていくはずです。

 パンサーズの選手としての目標は、もちろん優勝です。魅力的な試合をしたうえで、勝ちを重ねていきたい。昨シーズンに3位になったことは、『チームが苦しい中でどうしたらいいか』ということを考えるためにもいい経験でした。それを来シーズンにつなげて、もう一度頂点を目指す。そのために僕も、自分ができることをすべてやり尽くしたいと思います」

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