「仕事ができる人」の具体的すぎる具体例に、これはもう真似するしかない!

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2022年08月11日 11:30  AERA dot.

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写真秀島史香さん(写真:著者提供)
秀島史香さん(写真:著者提供)
 なぜラジオは3時間の生放送でも聞き続けられるのか? ラジオDJとして25年、第一線で活躍し続ける秀島史香さんですが、実は「もともと緊張しがちで人見知りで心配性」といいます。そんな秀島さんだからこそ見つけられた、誰でも再現できる「人が聞き入ってしまう会話のレシピ」を一冊に詰め込んだ『なぜか聴きたくなる人の話し方』からの連載。今回は、相手の意図や気持ちを察することより大切なことをご紹介します。


*  *  *
■その言葉に再現性はあるか


「仕事ができる方だな」と感じる番組ディレクターはたくさんいますが、その方々にはいくつか共通点があります。


 そのひとつが「指示が具体的」ということ。例えば、


「リラックスできる雰囲気にしたいから、しゃべる前に、ひと呼吸入れてみましょう」
「メールを続けて紹介するとき、今よりも『間』を多く作るように」


 など、何をどうすればいいかを的確に言葉にしてくれます。出演者としては、じっくり考える時間のない生放送中、調整の方向が瞬時にわかるのでとても助かります。


 一方で、「もっとゆったりした番組運びをしようよ」などと、漠然としたイメージで指摘してくれる人も。ただ、「ゆったり」といっても人それぞれの捉え方がありますし、「番組運び」というのも抽象的で、どこをどのように変えればいいかわからず正直困ってしまうんです。


 そこでなんとなくわかった気になって「はい!」と返事をして、自分なりの「ゆったりした番組運び」を心がけてみても、その人が思い描いた「修正」とはズレていて、不満の残る結果になってしまうことも。


 確認し合っているつもりなのに「違うよ、そうじゃない」「言われた通りにやったのに」「いや、できていない」という事態が起こるのは、それぞれに思い描いているイメージが違っているから。そして、そのズレを認め、向き合い、言葉で埋めていこうとしないからです。


 目指すゴールのイメージや指示が曖昧になってしまう理由として、「これくらいは言わなくても、相手はわかってくれるだろう」という思い込みがあります。




 加えて、「議論になったら面倒だな」「仕事の進行が滞るかも」と、互いの考えを言葉にして伝え合うことをつい避けてしまうから。


 しかし、そのまま確認せずに共同作業を進めていったらどうなるでしょう。例えば、話す理想のスピードに対する感覚がお互いに違っていたり、「おしゃれな雰囲気」の解釈がひとつのイメージに落とし込めていなかったり。すると、徐々に両者のズレが大きくなり、仕事にも人間関係にも、大小の事故が起きてしまいます。


 だからこそ、相手とズレを感じて迷った時点で、


「完成はこういうイメージですよね?」
「私たちが目指している理想はこういうことですよね?」


 と、あらためて言葉にして確かめておきたいものです。


 一刻を争う生放送中の現場では、いかに的確な言葉で次の動きを共有するかが鍵です。


 生放送中、スタジオのアナブースには私ひとり。ガラスを隔てて調整室にいるディレクターとは「トークバック」という放送には乗らない音声回線で業務連絡をします。その際に気をつけているのは、「とにかく具体的に」ということ。


「ちょっと」じゃなくて「5秒くらい」、「焦らずに」ではなく「文章と文章の間をあける」など。言葉が具体的であれば、生放送中の「違う違う そうじゃなくて!」「え、違いました?」という伝わらないストレスもぐっと減ります。


■察するより、尋ねる


 漠然とした指示で丸投げしてくる人には、具体的な言葉を引き出すため、こちらから質問するしかありません。相手が上司、しかも「このくらい自分で考えろ」「察しろ」という人だと、質問するのも正直ちょっと怖いのですが、そこで引いてしまうと、チームの結果に響きます。


 やり直しをさせられたり、「指示と違う!」と理不尽なダメ出しをされると、お互いイライラは募りますし、そこまでの仕事や時間が無駄になってしまうことも。


 だからこそ、途中のプロセスにおいて、「?」と思ったときこそ、言葉にして確認する。



 あらゆるトラブルにおいて「言った」「言わない」は永遠の問題ですが、結局お互いの思い込みが食い違いの「火種」となり、さらにはガソリンになってしまいます。1秒を争う生放送の現場ではなおさら。


 指示を受ける側も、


<つまり、こういうことですか?>
<だったら、このようにやってみましょうか?>


 と前向きに提案しながら、自分と相手の頭の中のイメージを言葉で形にしていきます。


 例えば、冒頭で話題にした「ゆったりした番組運び」を目指すのであれば、「では、紹介するメールとメールの間に2、3秒の間を作ってみますね?」と、具体的な提案をしてみます。


「そうそう!」と答えてもらえるときもあれば、「いや、しゃべり自体ちょっと早口になってるから、話すスピードを落とす感じで」と、相手も何をどう変えたいのかはっきりしてきます。


 こうしたやりとりこそ、ゴールを言葉で形にするコミュニケーションの「芯」。互いに言葉をかけやすい空気が生まれ、チームワークも高まり、イメージの「誤差」も減っていきます。


 自分が指示を出すときも同じ。自分が明確に説明せず、ふんわりしたイメージ言葉で相手に丸投げして、結果「頼んだのと違う」とガックリした経験はありませんか?


「これくらい説明しなくても理解してくれるだろう」と都合よく思い込み、言葉で説明するのをサボってしまったら、痛い目を見るのは自分です。


 今ふと思ったのは、これって、美容院で新しい髪型に挑戦するときも起きる現象ですよね。髪を切られている間も、心の中で「なんか思っているのと違うけど、最後にきっと自分がお願いしたスタイルになるはずだ」と期待しつつ、終わったあとに「いかがですか?」と鏡を渡されて見てみたら、「お願いしたイメージと全然違う(ガーン)」みたいな。


 そもそも自分の頭の中で描いたイメージは人には伝わりづらいもの。伝える努力は手抜きしちゃダメですね……涙。


【ここまで聴いてくれたあなたへ】
思い描くイメージの違いは言葉でほぐしていく。


(構成/小川由希子)



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