新旧「ひだ」乗り比べ! 魅惑のレア列車「大阪ひだ」に乗って再確認した昭和ディーゼルカーの魅力

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2022年08月11日 13:02  ねとらぼ

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写真新旧「ひだ」乗り比べ! もしかしてじきになくなってしまう? 魅惑のレア列車「大阪ひだ」とは……
新旧「ひだ」乗り比べ! もしかしてじきになくなってしまう? 魅惑のレア列車「大阪ひだ」とは……

 新旧「特急ひだ」乗り比べの旅、2日目は高山駅15時33分発の特急「特急ひだ36号」に乗ります。



【画像】知る人ぞ知るレア列車「大阪ひだ」車窓と車内の様子



●「HC85系に乗る飛騨高山乗り鉄旅」1日目のあらすじ



 前回1日目は、お得きっぷ「飛騨路フリーきっぷ」を使い、JR東海が2022年7月に運行を開始したハイブリッド特急車両「HC85系」に乗りました。大きな窓で車窓を眺め、クルマの“アイドリングストップ”のようなこれまでない感覚も味わえる快適な“電車”でした。



 続いて今回は2日目です。



●2日目:もう1つの目的地・新穂高ロープウェイ、そして旧型「キハ85系」で新世代/旧世代の「85系」乗り比べ



 特急ひだ36号は高山駅15時33分発。午前は「新穂高ロープウェイ」へ乗りに行きましょう。行きのバスは高山濃飛バスセンターを7時40分発、新穂高ロープウェイに9時16分着。帰りは12時55分発で、高山濃飛バスセンターに14時31分着。現地滞在時間は約3時間半。行って戻ってくるのにちょうど良い時間です。



 飛騨路フリーきっぷは、高山で「濃飛バスの白川郷線バス往復乗車券」または「高山&新穂高フリー乗車券」がもらえます。白川郷へのバスチケットは1日目で使ってしまいました。新穂高方面には自費で買うのですが……「Hallo! New HIDAキャンペーン」(2022年8月31日まで)の特典、2000円分の電子クーポン「ぎふ旅コイン」をもらえます。このぎふ旅クーポンは濃飛バスでも使えます。「奥飛騨まるごとバリューきっぷ2日券」(6300円)を差し引き4300円で買えちゃいます。



 奥飛騨まるごとバリューきっぷは、高山バスセンター〜新穂高ロープウェイ間のバス乗り放題、さらに新穂高ロープウェイの往復乗車券付きのお得きっぷです。別々に買うと、バスは往復4400円、新穂高ロープウェイは往復3000円で合計7400円。それが6300円だからお得です。



●「新穂高ロープウェイ」、実はみんな歓声を上げちゃう魅惑の絶叫マシン



 新穂高ロープウェイは標高1117メートルの「新穂高温泉駅」から標高2156メートルの「西穂高口駅」まで標高差1000メートル以上、日本一という高低差をゆくロープウェイです。第1と第2、2区間のロープウェイに分かれています。



 第1ロープウェイは新穂高温泉駅から鍋平高原駅まで距離573メートル、高低差188メートル。ゴンドラは定員45人。こちらは観光地によくあるタイプという印象です。



 しかし第2ロープウェイがすごい。日本でここだけの「2階建て」ゴンドラです。しらかば平駅から西穂高口駅まで距離は2598メートル、高低差845メートル。「もうほとんど垂直じゃないか!」ってくらいの急角度でグイグイ進みます。支柱付近でブランコのように揺れるスリルもあります。帰りも空中に放り出されるような感覚で怖い。乗客みんな歓声を上げちゃう、実は魅惑の絶叫マッシーンです。



 2階建てのロープウェイは、1階も2階もどちらも楽しいです。1階は下界と地表の草花が見えます。2階は空を仰ぎます。ぜひどちらも乗りましょう。行きは1階、帰りは2階がオススメです。乗り場の出入り口と同じ階になるので階段を使わすに済みます。ワタシはそれを知らないで逆の順番にしてしまいました。重い荷物もあって階段はキツかった。



 荷物と言えば、ロープウェイ乗車時に重量6キロ以上の荷物がある場合は別途「荷物券」が必要です。第1、第2ロープウェイの往復で600円です。大荷物の人は、カメラとお財布など以外は駅のコインロッカーに預けておくといいですね。値段の差は小さいでしょうけど、身軽になります。



 今回の旅は前日の雨を避けてロープウェイを2日目にしました。しかし第2ロープウェイの途中から霧に包まれ、駅も展望台も視界はほぼゼロでした……。標高2909メートルの西穂高岳山頂は見えず、ジャンダルムと呼ばれる岩はチラリ。ジャンダルム、実は西穂高岳より高く、頂上は標高3163メートルもあります。富士山よりちょっと低いくらい。でも山ではなく、岩稜なのだそうです。



 それでもしばらく待っていたら風が吹き上げて、ちょっとだけ青空が見えました。天気の境目。夕方まで待てば視界が開けたかもしれませんが時間切れ。新穂高ロープウェイへ行きたくなった皆さまには「雨の翌日は午後に行った方がいいかも」とお伝えしておきます。



●1日1往復、高山〜大阪を直通するレア列車「通称:大阪ひだ」でキハ85系の魅力も再確認



 高山駅15時33分発大阪行きの「ひだ36号」。この列車に狙って乗る理由は、「あらためてキハ85系に乗り、HC85系と比べてみたい」「1日1本の大阪直通に乗りたい」「前面展望車に乗りたい」からです。



 車両は、新しいハイブリッド車・HC85系ではなく、旧型のディーゼルカー「キハ85系」です。



 キハ85系には過去に何度も乗っています。しかし、直後に乗れば新しいHC85系の改良ポイントを認識できます。前回「HC85系はキハ85系に比べて揺れが少ない」などと書いた部分は、この翌日のキハ85系の体験が元になっています。



 JR東海の特急「ひだ」は、基本的に名古屋〜岐阜〜高山〜富山を結ぶ列車です。しかし「1日1往復」だけ、大阪〜岐阜〜高山を走る列車があります。



 これは昭和30年代から大阪〜高山間を結んでいた準急列車の伝統を引き継いでいます。東海道新幹線が開通しても生き残り、国鉄が分割民営化され、米原駅に境界(JR東海とJR西日本の管轄の境)ができてもなお生き残ります。そして1996年に特急「ひだ」になりました。「ひだ」は基本的に名古屋発着なので、大阪発着のひだは非公式ながら「大阪ひだ」と呼ばれます。



 JRの都市間連絡は基本的に新幹線と特急列車の乗継ぎとなります。大阪〜高山間は、新大阪〜米原、あるいは名古屋まで新幹線、そこから「ひだ」に乗り換えるところです。それでも「大阪ひだ」が生き残っている理由を推測すると、「やっぱり直通が便利」「新幹線が岐阜駅を通らないため、大阪〜岐阜間を結ぶ役割がある」からでしょう。



 2016年まで、名古屋〜長野間の特急「しなの」も1往復だけ大阪〜名古屋間を直通していました。通称「大阪しなの」。2022年現在は廃止され、全ての列車が名古屋〜長野間になりました。



 そうなると大阪ひだも「いつまで残るかな」と思います。全て新車に交替すると終わってしまうかもしれません。JR東海は今のところ廃止を想定してはいないようですけれども、なくなる前に乗っておきたい歴史を感じる列車です。



 鉄道ファン的な視点ではもう1つ、大阪ひだは「新垂井線」を走る貴重な列車でもあります。新垂井線は東海道本線の支線で、大垣〜関ヶ原間にあります。この区間は大阪方面へ向かって上り勾配が大きかったため、蒸気機関車の貨物列車、優等列車のために勾配の緩やかな迂回ルートが作られました。これが新垂井線です。



 新垂井線には、かつて普通列車も走り、新垂井駅もありました。2022年現在は貨物列車と特急列車だけが使っています。金沢〜名古屋間の特急列車「しらさぎ」8本、「大阪ひだ」1本、寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」1本だけです。このうち日中を走り、景色を楽しめる列車は「しらさぎ」6本と「大阪ひだ」1本だけ。レアな列車といえます。



●キハ85系の魅力も再確認 やっぱり今のうちに乗っておかなくちゃいけない列車だった



 大阪ひだに乗りたい3つ目の理由は「前面展望車」です。キハ85系の先頭車は、連結対応用タイプと展望タイプがあります。展望タイプは普通車とグリーン車の2種類があり、大阪ひだの大阪向き車両は普通車、しかも自由席です。つまり「運転席かぶりつきの特等席」であっても指定席争奪戦がなく、早く並べば乗れる可能性が高いわけです。



 新たに導入された新型車両「HC85系」に展望車の設定はありません。今のところ製造する予定もないそうです。これは恐らく、複数の編成を共通で使うためです。展望車があると、常に「向き」と「先頭位置」が決まってしまいます。使い回しがやりにくい。そこで新型は展望車なしで統一したいのでしょう。



 そうなると、大阪ひだは残るとしても「大阪向きの展望車」は新型車との入れ替えでなくなります。



 キハ85系は窓が大きい。座席間隔も広い。これはHC85系にも引き継がれました。



 キハ85系は誕生から34年が経過した車両です(2022年現在)。34年前に現在と遜色のない設備を持っていたとはすごい。そしてエンジン音も静かです。新しいHC85系は静粛性が改善されました。しかし、もともとキハ85系も当時としては静かだったと思います。でも、高山本線の単線区間は揺れが気になりました。ここは新しいHC85系で大きく改善されたところです。



 旧式のキハ85系の方がいいところもあります。展望へのこだわりです。キハ85系は大きな窓と「ハイデッカー座席」が特徴です。座席の床面が通路より少し高くなっています。見晴らしが良く、視点が高い分窓下の死角も少なくなる。沿線の渓流もとてもよく見えます。



 新しいHC85系は座席と通路の段差がなくなりました。これはバリアフリー仕様だからです。車いすやベビーカー、つえなどを使う利用者にとっても乗りやすい車両になりました。



 通称:大阪ひだ、高山〜大阪間の「ひだ36号」で、展望車、ハイデッカー座席など、HC85系にない34年前に誕生したキハ85系の良さも再発見。やっぱり、今のうちに乗っておかなくちゃいけない列車でした。



 この季節の大阪ひだは、京都を発車するころに日没となります。夜景を眺めつつ、19時50分に大阪駅着。東海道新幹線東京行き最終は21時24分。関東方面の人もじゅうぶん帰りの新幹線に間に合います。



 飛騨路フリーきっぷを使った特急「ひだ」新旧車両乗り比べ旅。深緑の夏にオススメです。



(杉山淳一/乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。日本の旅客鉄道全路線完乗率100%)


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  • 大阪ひだであのエンジン音とワイドビューチャイム聞くと京阪間でも旅気分。
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