メジャー戦力外の筒香嘉智 現地メディアが「ファンの諸君、朗報だ!」と辛辣報道の理由

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2022年08月12日 08:00  AERA dot.

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写真筒香嘉智(AP/アフロ)
筒香嘉智(AP/アフロ)
「パイレーツファン諸君、朗報だ!」


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 8月3日(現地時間:以下同)、ピッツバーグ・パイレーツの筒香嘉智がDFA(事実上の戦力外通告)になった。この報を聞いたパイレーツ専門メディア『バックス・ダグアウト』は、このように喜びを表現した。DFAを受けたのはトレード期間を終えた翌日。パイレーツのデレク・シェルトン監督は「適切なタイミングだったと思う」と、地元紙『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』にコメントしている。


 筒香は、今季50試合出場も29安打、19打点、打率.171と低迷。期待された長打はまったく出ず、ホームランはわずか2本だった。打撃や投球、守備などを総合して選手の貢献度を表す指標のfWARは−1.3。同指標を提供するファングラフス社の中でも、これは1355人中1353人目の数字。球団に所属する選手では最下位だ。大谷のfWARは5.8で総合2位なので、逆に筒香が今までMLBにいたことが奇跡だったとも言える。


 筒香は今年、パイレーツと400万ドル(約5億3970万円)の単年契約を結んでいた。昨年8月にロサンゼルス・ドジャース傘下から自由契約を経てパイレーツに加入した筒香は、マイナーで磨き直した打撃で、43試合出場で8本塁打、25打点、長打率.535と覚醒。その打力は高く評価され、ロックアウト前の11月29日にパイレーツと再契約。『CBSスポーツ』からは「ヨシを連れ戻したのは賢い考えだ」と称賛され、今季は開幕から4番打者となり、一塁手のレギュラーにも抜擢された。


 しかし、筒香は現地からの期待を全て裏切った。シーズンが始まると、筒香の打撃は試合を重ねるに低迷。シーズン序盤から全く打てず、スポーツメディア『DK・ピッツバーグ・スポーツ』(4月28日)からは「ひどいとしか言いようがない」と言われ、パイレーツ専門メディア『ラム・バンター』からは、「若手の出場機会を奪う障害だ」(5月30日)と痛烈な批判を浴びた。



 当時、不振の原因として指摘されていたのは、「打球速度と打球角度の低下」と「引っ張る確率の低下」であった。地元紙『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』は、4月19日の記事で次のように述べている。「(筒香は)昨季から平均打球速度が時速4.9マイル(約7.8キロ)遅くなり、打球角度は1.9度も低下している。ボールを引っ張る確率は昨季の35.6%から今季は14.3%にまで減少している」。さらに、「打球方向が変わったのも、スイングの遅れに原因がある」とも指摘された。


 しかし、急激な打撃低下は、ケガの影響が原因でもあった。筒香は5月27日、「腰部の筋肉損傷」で負傷者リスト(IL)に入っている。本人によれば、腰の痛みは開幕3試合目からあり、ILに入るまで治療薬を飲みながらプレーしていたとも話している。戦列復帰まで42日も要するほど重傷だったこともあり、序盤の低迷理由を知った現地メディアの中には同情を寄せるものもいた。


 しかし、いくらケガの影響があったとしても、復帰後の1カ月で何も改善しなかった筒香を誰も擁護できなくなった。7月の月間成績は、15試合で9安打4打点、0本塁打に19三振。打率/出塁率/長打率は、それぞれ.158/.172/.175。全ての数字で最悪の選手となり、現地での信用は完全に地に落ちた。


 そんな筒香だが、DFA後は後どうなるのか。シーズンは終了まで2カ月近くあるが、残念ながらMLBに残るのは難しいだろう。DFAを受けた選手は次の4つの選択肢が与えられる。1つ目はトレード、2つ目はウェーバー公示、3つ目は解雇、あるいは、マイナー降格。しかし、パイレーツは5日、筒香を自由契約にすると発表している。3日のDFA後、パイレーツは筒香をウェーバー公示にかけたが、獲得の意思を示したMLB球団はいなかったようだ。また、筒香はマイナー降格を受け入れなかったようで、退団の道を選んでいる。


 ただ、この結果はすでに予見されていた。米移籍情報サイト『MLBトレード・ルーマーズ』の3日掲載の記事には、次のよう書かれている。


「トレード期間が終わった今、パイレーツに残る唯一の選択肢は、アウトライト・ウェーバー(40人枠から外すが、当該選手を支配下としてマイナーに残すこと)か、ウェーバー公示だ。今季年俸400万ドルのうちまだ140万ドル(約1億9000万円)の負担が残っていることを考えると、どちらにしてもウェーバーで引き取り手がいないことは確実だ」



 昨年、筒香がドジャースやパイレーツに移籍できたのは、最初に所属していたタンパベイ・レイズが2年1200万ドル(約16億円)の年俸を全て負担したから。あとの2球団は当時の最低保証年俸57万500ドル(約7700万円)のうちシーズンの残り日数で割った分の支払いだけで済んでいた。つまり、去年は格安かつ試す価値もまだあったので、引き取り手も見つかった。


 しかし、今回はそうならなかった。パイレーツは資金力がなく、もし移籍先が見つかっても球団に年俸の残り分の負担を求めただろう。『MLBトレード・ルーマーズ』はその問題を指摘し、獲得する球団はいない、と予想していた。


 そうでなくても、筒香はこの3年の通算成績は、18本塁打、打率.191、長打率.339で、MLBで通用しないのが明らかになっている。それにケガのリスクも抱えていることも知られてしまった。


 しかも、今MLBはトレード期限を終えたばかり。どこも戦力整理はもう済んでいる状態だ。これが秋山翔吾(広島カープ)がシンシナティ・レッズを退団した時(4月5日)のようにシーズンの早い段階であれば、筒香も他球団とマイナー契約を結ぶチャンスがあったかもしれなかったが、今だと望みは薄いだろう。ただ、こうなってしまったのも、筒香がこれまで与えられたチャンスを生かせなかったからだ。


 筒香に残された選択肢は現時点ではほとんど残っていない。引き続きアメリカでマイナー契約ができる球団を探すか、あるいは日本球界に復帰か。(なお日本プロ野球の補強期限は7月31日までのため、今季復帰は不可)筒香は8日、アメリカに残って自主トレを続けながらMLB(マイナー)からのオファーを待つと表明しているようだ。しかし、地元紙『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』によれば、筒香がアメリカに残ることはもうないと予想している。同紙は、5日の記事で筒香の今後を次のように予想している。


「ピッツバーグでのヨシ・ツツゴウ時代はどうやら終焉を迎えたようだ。筒香の退団はかなり予想できた。彼は海外(日本)でプレーすることを望んでいるのかもしれない。パイレーツ傘下インディアナポリスには、すでに一塁手で使いたい選手がいる」


 同紙によれば、パイレーツ傘下はすでに将来に向けてマイナー選手の育成に舵を切っているため、筒香には居場所がないことを指摘。また、野球専門メディア『コール・トゥー・ザ・ペン』も8月8日の記事で、「ここまでは、日本プロ野球に復帰して現役を続行するだろう。故郷に帰る可能性は高いようだ」と伝えている。現地メディアの見解では、アメリカに残れる可能性がほぼなくなっている筒香。はたして今後どんな決断をするのか。その動向が注目される。(澤良憲/YOSHINORI SAWA)


このニュースに関するつぶやき

  • やはり野手は厳しいね 日本のトップクラスでも1,2年そこそこ頑張れれば上出来で イチロー、大谷がいかに化け物かが判る
    • イイネ!4
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