<わが子のキャリア>奪われた海外留学の夢。新型コロナウイルスに影響を受けた大学生活

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2022年08月13日 10:21  ママスタジアム

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2022年4月。晴れて娘が社会人となりました。今はまだ仕事の流れを覚えるだけで精一杯のようですが、充実した毎日を送っているようです。

新型コロナウイルスの影響をダイレクトに受けた大学生活後半。3、4年生時の授業は全面リモート、就職活動は基本オンライン。友人との旅行やお出かけはもちろん、アルバイトさえ制限された日々でした。そんな2年間を親の視点で振り返ってみることにします。

私、絶対に留学する……!大学受験時からの夢が


娘は海外留学を念頭に置いて大学を受験しました。大学生の間はひとり暮らし。3年生で留学する計画で、1〜2年生のときは語学習得に、交換留学生との交流や留学生受け入れのボランティアにも熱心に取り組んでいたようです。その後、学内選考をクリアし、2020年3月末に希望大学への海外留学が決まりました。

パスポートや飛行機のチケットなどの準備も整い、あとは出発の日を待つだけとなった頃、新型コロナウイルスの感染が拡大。海外留学にも中止の決断が下されたのです。

休学してでも留学したい



「絶対に留学したい! 大学は休学するから」留学中止の連絡を受けた娘は、泣きじゃくりながら電話をかけてきました。大学入試も大学生活も、海外留学を目標に頑張ってきたのだから、留学できないなら自分が大学に来た意味がなくなる。だから休学してでも留学できるときを待つ、というのが娘の言い分。

しかし休学して留学できるタイミングを待っても、そのときまた同じように学内選考をクリアできるとは限りません。それに休学中、ひとり暮らしのアパートを借りたままにしておくのか、引き払って自宅に戻ってくるのか。アルバイトをするのか、留学を見据えて語学学校などで学ぶのかなども課題でした。

また休学するとはいえ学生期間が長くなると、当然その間は親の経済的な支援が必要となります。4年間だと思っていた大学生活が5年間、もしくは6年間になる……。正直なところ、わが家の家計は娘の希望にこたえられる状況ではありませんでした。

大学生の今しかできない経験を奪われて


周囲の人たちは、口を揃えて「またいつでも行けるしね」となぐさめてくれました。たしかに今後、渡航の条件が緩和されれば、また自由に海外へ行き来できるでしょう。しかし娘にとって、“大学生での海外留学”は、今しかできないこと。その機会を奪われてしまった悲しみや理不尽さは、相当なものだったと思います。

娘の場合は海外留学でしたが、希望する進路を選べなかったり、志してきた分野への就職をあきらめたりした学生もいるはず。家庭の経済状況から、大学に通うことそのものが困難になった学生もいるでしょう。

ちなみに令和3年に実施された学生生活に関する調査では、将来のキャリアに関して悩みを抱える学生は70%以上にのぼったそう。「卒業後のキャリアの見通しが立てられない」「これまで考えていたキャリアプランの変更が必要になっている」など、社会状況に学生たちが大きく影響を受けた様子がうかがえます。
参考:文部科学省「新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査」

厳しい制限下でも、今できることを


2020年4月。結局、娘は休学することなく大学3年生へ進級しました。大学の授業は全面リモート授業に、学校行事はすべて中止となっていました。

周りの友だちは就職活動を始めましたが、娘はまったくやる気が起こらず……。海外留学を経験しながら、将来のキャリアプランを考えるつもりだったのだと思います。留学経験が切り札になる企業へ就職したい、という展望も持っていたかもしれません。

結局、娘が就職活動に本腰を入れ始めたのは大学4年生の夏が近づいた頃。友だちから内定の知らせがちらほら届くようになり、一気に焦りが増したようでした。海外留学への希望は捨てきれないままでしたが、感染の拡大状況や海外渡航の現状を知るにつれて、「まずは今できることを」と少しずつ気持ちが変化していったような気がします。

その後、駆け足で就職活動に取り組み、なんとか内定をもらえました。当初娘が思い描いていた仕事ではないのかもしれませんが、今は上司に恵まれ、同僚に恵まれ、楽しそうに働いています。ご縁あって入社できた場所で、まずは自分の精一杯を試してほしいと思っています。そしてまたいつか「やっぱり海外に行きたい」と思うタイミングが来たら、そのときは思い切って自分の夢に手を伸ばしてほしいです。

制限があるときこそ足元を見つめるチャンス



そういえば先日、友人とのお出かけ先を探していた娘が、こんなことを言っていました。「日本でも行きたいところがいっぱいある!」海外への関心が強く、大学前半はちょこちょこ海外旅行を楽しんでいた娘。コロナ禍でなければ、さらにいろいろな国に足を伸ばしていたことでしょう。でも行き来が制限された影響で、おのずと日本のすばらしい自然や遺跡などに目が向いたようです。

そんな娘の姿を見て思うのは、何でも自由に選べることが、決して幸せだとは言い切れないこと。制限がなければ世界は広がるかもしれませんが、同時に足元にある大切なものを見逃してしまうこともあるのではないでしょうか。私たち大人も、きっとそうですよね。

制限があるのは理不尽だけれども、私たちは自分の足元を見つめるようになる。限られたなかでも見つけられる喜びや楽しさがあることを、私は子どもたちから学んでいる気がします。

文・Natsu 編集・しらたまよ

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  • 大学生活半分も通常に送れたならマシな方だよ。
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