私が10歳のときに両親が離婚しました。父とはそれ以来、会うことはありませんでした。大人になってから、父の不倫が原因で離婚したこと、離婚したときには既に相手の女性が父の子どもを妊娠していたことを聞きました。そうして大人になった私は結婚をし、子ども授かり、幸せな毎日を送っていました。そんなとき母から父が亡くなったという連絡が入ります。
少なくとも私の記憶の中では「大好きなお父さん」でした。離婚してから会わなくなって、私も母に悪くて「会いたい」って言えなくて。10歳までの私にとってはいいお父さんだった……。そう思うと、涙が溢れて止まりませんでした。
母の手前、なんとなく自分から言い出すことはできず、結局父と会わないまま18年が過ぎていました。しかしその間も、父は金銭的援助はしてくれていた……。「お金」でしか父親としての役割を果たさなかった父のことを、許すべきか否か、私には分かりませんでした。ただ最後に顔だけは見に行こう……そう決めたのです。
【第3話】へ続く。
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