お盆のお寺で愚痴供養 「娘のスマホのかぢりつき どうにかならんのか 父」短冊に世相も

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2022年08月14日 16:15  AERA dot.

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写真東京・蔵前の厳念寺で行われた「愚痴供養祭」(昨年のようす、厳念寺提供)
東京・蔵前の厳念寺で行われた「愚痴供養祭」(昨年のようす、厳念寺提供)
 コロナ禍3年目の夏、東京・蔵前の厳念寺(ごんねんじ)で、昨年に続いて2回目の「愚痴供養祭」が開かれている(16日まで)。寺の印が押された短冊に愚痴をしたため、所定の箱に収めると、他の短冊と一緒に美しく張り出され、ライトアップされたあと、お焚き上げしてもらえる。お盆の寺に集まった、愚痴の内容は……。


【写真】厳念寺に集まった愚痴短冊
*  *  *


「愚痴のひとつも思い浮かばないという愚痴 60代本屋」
「毎日暑い!」
「早く神輿を担ぎたい 40代担ぎ手」
「らいねん、ぜったい、がくげいかいやりたい。 三年 柚花」
「ライブで声を出して応援できる日々!! いつか必ず戻ってこーい!! ヨハちゃん」
「生前今一度会いたかった 会い度い人に会えないつらさ! 八十八歳男性」
「コロナ感染で25 年続いた会社OB会もついに解散…残念無念 老人男性88才」
「コロナいい加減おさまれ もう、二度とかかりたくない!(病気ヤダ!!) ユーチューバー三九才(もうすぐ40…)」
「コロナにもモテないのかな(泣)」


 小学生から88歳までの悲喜こもごもが、じわっと伝わってくる。やはりコロナを読んだものが目立つ。聞かれてもいないのに性別や年齢を書く人が多いのは、自分が何者かを読む人に知ってほしいという願望があるからだろうか。


 ネットを駆使するユーチューバーが短冊というアナログな手段で愚痴をこぼしているのもおもしろい。SNSとは違うぬくもりを求めてのことだろうか。「もうすぐ40」「コロナにもモテない」……大丈夫! あせらないでと、声をかけたくなる。


「SAKEの入った状態で怒鳴ること勿れ(教訓)」
「娘のスマホのかぢりつき どうにかならんのか 父」
「毎日毎日ごはんつくりたくなーい  かか」
「息子よなぜ勉強をしない!! 早く本気を出してくれ!!」
「おばあさんや親のスマホを、自分のものみたいに使わないで、努力してパパに買ってもらって! 中学生なんだからテスト勉強して!」
「自分のことだけ考えず 私のことも考えてよ」




 ここにも家にこもる時間が増えたコロナの影響が見てとれる。家族にまつわる愚痴は、まるでホームドラマを見ているよう。自分に言われているようで、読みながら「あっ、ごめんなさい!」と思わず口走ってしまう。


「ママ友いじめからの、子どもも仲間はずれにするのやめて 一緒に遊んでほしい。」


 これはつらい愚痴。誰にも言えないことを吐き出せるのも、愚痴短冊のよさ。


「腰が痛いし、すぐ疲れるよー 山登り楽しんでいた10年前の体力ください 40代看護師」
「すぐ太る すぐやせない 食べてない でも太る 食べても太らない人 うらやましい うらめしい 事務 四十八才」
「会社の席のスペースが狭すぎてきゅうくつです。もっと広々としたスペースと社員食堂を作って!!  女性会社員48才」
「積極的に仕事をしない人は 職場から離れてください やりずらいです OL44才」 
「大丈夫ですか?と声をかけられて 大丈夫じゃないですと言える人は いません!! 女性会社員 48才」


 なぜか40代女性会社員の日常のリアルを映し出す愚痴が多い。48才が多いが、筆致から別な人のようだ。歯に衣着せぬ直言に、またまた「すみません!」と言ってしまいそうになる。


 物価高やお金の不安を訴える愚痴は、世相をそのまま反映している。


「値上の交渉が大変 引越しの準備が面倒 会社員 二十代」
「お金の大切さ、苦しき時 お金以外の楽(し)い事ほしい 不安でしかたない お金の不安ばかり」


 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、愚痴ではなく、平和を願う短冊もちらほら。


「理不尽な戦争 戦わない事が大きな勝利 78才  平和を願うババちゃん」
「世界平和(ハートマーク)」 


「コロナで人と会えず複雑な思いをもっている人が、ありのままの気持ちを表現できる機会になればと」と、厳念寺副住職の菅原耀(よう)さん(31歳)は愚痴供養祭を始めたきっかけを語る。


 大学の社会人向け講座でグリーフケアを学んだ仲間たちと、昨年6月、ZOOMで雑談中に思いついたという。




「グリーフケアでは、深い悲しみをもつ人の声に耳を傾ける『傾聴』を学びました。グリーフや怒りを言葉にするのはハードルが高いけれど、“愚痴”なら親近感がもてるし、七夕のような短冊なら気軽に書けるとアイデアが出て、まとまりました」


「つらい気持ちを大切に、ていねいに受け止めることが“本当の私自身”を知る気付き につながっていく。愚痴は否定的に捉えられがちですが、短冊に書いたり、他の人が書いたものを読んだりする中で、ポジティブに捉え直していただけたらいいなと思います」


 愚痴短冊を書くコツを聞くと、「気軽に、楽しみながら書いてほしいですね」と菅原さん。「言葉にすることで自分の気持ちを受け止められるかもしれないし、思わぬ気づきがあるかもしれません。また、人の愚痴を見ると、つらいのは自分だけじゃないと思えたりもします。愚痴短冊を通して心の交流をしてほしいです」


 愚痴短冊は、最終日の8月16日まで受け付けている。


(文・川名真理)


■厳念寺 東京都台東区寿1−11−2 
■愚痴供養祭 2022年8月13〜16日(7〜21時)


 


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  • 人の愚痴 聞いてたら しんどいよ うゎーって なる�Τ��Ф� 根っからの友なら 気 楽やけどね�ֲ�
    • イイネ!2
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