世界初、6ヵ月常温保存が可能な“生チョコ”、「日持ちしない」を覆した開発の背景

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2022年08月16日 07:00  ORICON NEWS

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写真世界初の6ヵ月常温保存が可能な生チョコレート明治『瑞練(みずねり)<生ショコラ>』
世界初の6ヵ月常温保存が可能な生チョコレート明治『瑞練(みずねり)<生ショコラ>』
 本来の風味を損なうことなく長期保存ができる「ロングライフ食品」が注目を集めている。そうしたなか、食品メーカーの明治が常温で6ヵ月保存できる世界初の“ロングライフ”な生チョコレート『瑞練(みずねり)<生ショコラ>』を開発した。なめらかな口溶けと濃厚な味わいが魅力の生チョコだが、その繊細な特性から賞味期限が短く、持ち運びや保管に気を遣うスウィーツでもある。これまでの常識を覆した同商品の開発の背景について聞いた。

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◆アルコールや保存料不使用の世界初となる“本物の生チョコ”

 明治が、3年の歳月をかけて開発した世界初の生チョコレート『瑞練(みずねり)<生ショコラ>』の特徴は常温で6ヵ月間保存できること。現在は業務用として製菓店やギフトメーカーなどに卸されている。

 「生チョコ」には日本独自ながら厳格な規格があり、(1)チョコレートが全重量の60%以上、(2)クリームが全重量の10%以上、(3)水分(クリームに含有されるものを含む)が全重量の10%以上という条件を満たさなければ「生チョコレート」とは表示できない。

 通常のチョコレートと比べて多く含まれる水分とクリームが生チョコの柔らかさと口溶けを実現しているが、一方でこの条件は「賞味期限が短い(短いもので数日、平均で4日〜21日程度)」、「持ち運びには保冷剤、保管には冷蔵庫が必要」といった取り扱いの難しさにも繋がっている。

 『瑞練(みずねり)<生ショコラ>』はいかにしてこのハードルを超えたのか。開発に携わった西村祐樹さんによると、決め手は「水分量」だったという。

「一般の生チョコは15〜20%の水分を含んで柔らかさを出していますが、本商品は規格ギリギリの10%まで抑えました。その分、クリーム量を増やして口溶けを維持。またチョコレート量も多いためカカオ風味も増しとても濃厚。『チョコレートは明治』にふさわしい、自信を持ってお届けできる商品ができました」(西村さん)

 スーパーやコンビニのお菓子棚には生チョコのような柔らかいチョコレート菓子が並ぶ。しかし前述の規格の通り、これらは“常温で長期保存できる生チョコ”ではない。

「生チョコが日持ちしない最大の原因は水分量です。水分量が多いと雑菌が繁殖しやすいため、常温で長期保存できる“生チョコのようなもの”はアルコールや保存料が添加されるのが一般的です。本商品はアルコールや保存料を使用することなく、かつ冷蔵不要・長期保存が可能な世界初の“本物の生チョコ”です」(西村さん)

◆“水分量を減らす”ことが最大の難関…チョコレートとは別の食品開発の知見が生きた

 一方で「水分量を減らす」ことは、開発における最大の難関ともなった。

「水分量が少ないとカカオやクリームに含まれる固形分や油分と分離しやすくなりますが、本商品は“水分・油分・固形分が一体化した立体構造”によって分離を防いでいます。この立体構造の実現には、チョコレートとは別の食品開発の知見が生きました」(西村さん)

 ヒントになった具体的な食品については企業秘密とのことだが、お菓子以外にも幅広い食品を扱う明治だからこそ開発できた商品といえるだろう。現在は業務用の製菓素材としてのみ展開しているが、「包装などを工夫することで、将来的には市販も検討したい」とのことだ。

「中食需要の高まりから、弊社では業務用食品に力を入れています。また業務用シーンでは、昨今課題となっているフードロスも起こりがちです。SDGsの貢献にも業務用ロングライフ食品への取り組みは大きな意義があると考えています」(西村さん)

 国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)では、2030年までに食品ロスを半減(2000年比)させることを掲げている。そうした中で、市場でジワジワと存在感を増しているのが「ロングライフ食品」だ。

 「ロングライフ食品」とは、保存料や防腐剤などを添加せず、風味を損なわずに長期保存を可能にした食品のこと。かつてはレトルトパウチや缶詰などがその代表だったが、最近は腐敗や変質を抑えるフード技術が飛躍的に進化し、パンや豆腐など一般に賞味期限が短いとされてきた食品の「ロングライフ」が実現している。

◆「チョコレートは明治」の企業精神から実現した長期保存可能な生チョコ

 明治でも北海道産生乳100%を使用し、かつ常温で91日の長期保存を可能にしたロングライフ商品『明治特選北海道牛乳』を、1月から一般発売している。

「『瑞練(みずねり)<生ショコラ>』ではクリームの量を増やしていますが、本来クリームは賞味期限が短く破棄が起こりやすいという問題を抱えています。『瑞練(みずねり)<生ショコラ>』では、これまで多くの菓子・食品商品を生み出してきた明治のさまざまな技術を組み合わせることで、生チョコレートの「冷蔵」「賞味期限の短さ」を乗り越えることができました。この技術の元となった商品の中には、すでに終売になったものもありますが、技術、そして技術者は残っています。

このような層の厚さ、引き出しの多さも、明治の強みのひとつだと思っています。常温で長期保存が可能であればフードロス解決はもちろん、輸送や保管の際の電気代削減にもつながります。一般のお客さまには冷蔵庫スペース確保に優しく、非常時の備蓄にも便利でしょう。個人的にもロングライフ食品には関心があり、今後も力を入れていきたい領域です」(西村さん)

 明治ではチョコレートの素材であるカカオ生産者を支援する「メイジ・カカオ・サポート」という取り組みを行っている。すでにそうしたサステナブルカカオ豆を使用した『meiji THE Chocolate』が販売されているが、目標は2026年までに支援した地域で生産されたカカオ豆の調達100%を実現すること。

 なお、2026年はロングセラー商品である『明治ミルクチョコレート』が、100周年を迎える。「チョコレートは明治」というCMの通り、明治では企業としてのアイデンティティでもあるチョコレートを通じたSDGsへの貢献を幅広く行っている。業界の常識を覆すロングライフの生チョコも、そうした企業精神から実現したものだといえるだろう。

(文/児玉澄子)

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  • 食糧難には良いですね!
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