J1残留争い、積極補強チームに“明暗” 夏の移籍市場での「勝ち組」はどこだ

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2022年08月16日 18:00  AERA dot.

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写真今夏に清水に加入した乾貴士
今夏に清水に加入した乾貴士
 全34節で行われる2022年のJ1リーグ戦は、8月13、14日に第25節を実施。新型コロナウイルスや台風による延期分を除いて残り9試合と、いよいよ“カウントダウン”に入った。その中で例年以上に熾烈な争いとなっているのが「J1残留争い」であり、現時点で11位の札幌から最下位の磐田までの8チームが勝点差6の中にひしめき合っている。だが、今夏の移籍市場で積極補強を敢行した下位チームが多く、大きく生まれ変わったチームが多い。


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 今夏の補強効果を最も感じさせているのが、清水だ。ゼ・リカルド監督新体制の初戦(6月18日・福岡戦)から7月末までは2勝2分3敗だったが、その間に元エースのFW北川航也、右サイドで“電光石火”のドリブルを見せるブラジル人MFヤゴ・ピカチュウ、そして元日本代表MF乾貴士という実力者たちを獲得。彼らが揃ってデビューした7月31日の鳥栖戦では2点ビハインドから3対3の同点に追い付くと、続く8月7日のFC東京戦、同14日のG大阪戦で、ともに2対0と快勝した。


 チームとして粘り強く戦う中で、特に“時間”を作れる乾の存在が大きく、彼らが自ら突破するだけでなく、巧みなボールキープとポジショニングで攻撃にリズムを生み出し、右サイドを駆け上がるピカチュウや最前線で強さと巧さを見せるエースFWチアゴ・サンタナとの連携も上々。ゼ・リカルド監督の下で選手間の共通理解も進み、勝点27(6勝9分10敗)で最下位から一気に12位まで順位アップ。元々、選手の面子は揃っていた中でチーム全体に自信と余裕が生まれており、このまま残留争いから一足先に抜け出しそうだ。


 今夏“も”補強した神戸は、ようやく本物の上昇気流を掴めるか。主力に怪我人が相次いだ中で下位低迷が続いているが、新たに韓国Kリーグで今季17試合14得点を挙げて得点ランクトップを走っていたFWムゴシャ、快足自慢の右サイドの仕事人・飯野七聖、さらにブラジル人センターバックのマテウス・トゥーレル、元日本代表で昨年から韓国でプレーしていた小林祐希を獲得した。



 ムゴシャはここまで無得点と結果を残せていないが、飯野は7月16日の鹿島戦から早速スタメンで起用され、8月13日の札幌戦では両チームトップの走行距離12.394キロ&スプリント回数39回を記録。その札幌戦では、マテウス・トゥーレルも持ち前の対人能力を発揮して2対0の完封勝利に貢献している。現時点で勝点24(6勝6分13敗)の16位とまだ降格圏から完全に抜け出せてはいないが、大迫勇也のコンディションも日に日に上昇しており、頼れる武藤嘉紀も戦列に復帰。このまま守備が安定してくれさえすれば、今後は間違いなく“右肩上がり”が期待できる。


 もう1チーム、清水、神戸と同様に今夏の移籍市場で大枚をはたいたのが、G大阪である。スピード自慢の元日本代表FW鈴木武蔵を争奪戦の末に獲得し、アグレッシブさが売りのFW食野亮太郎が3年ぶりに復帰。さらに東京Vからパリ五輪世代の司令塔MF山本理仁、鹿島から右サイドで攻守に強度の高いMFファン・アラーノも獲得した。だが、7月30日の京都戦で食野の復帰後初ゴールでリードを奪いながら終了間際にPK献上でドロー。8月6日の福岡戦が中止となった後、長い準備期間があった同14日の“大一番”清水戦では0対2の完敗を喫した。


 鈴木がコンディション不良、山本理が故障離脱、ファン・アラーノが加入直後ということもあり、新加入選手たちの働きは限定的で、確かに選手層はアップしたが、チーム力アップは実感できていない。その結果、6月29日の広島戦を最後に6試合勝利なし(2分4敗)で、現時点で勝点22(5勝7分12敗)の17位。新たに計4クラブで監督を務めた経験豊富な松田浩氏をコーチとして招聘するなど、フロントはあの手この手でチームを変えようとしているが結果が付いてこず。そんな中で、15日には片野坂知宏監督が解任されることが濃厚と報じられ、後任にはコーチとして就任した松田氏が務めると見られている。クラブ史上2度目のJ2降格の危機が、間違いなく近づいていると言えるだろう。



 その他の残留争い組の今夏の移籍市場を見ると、現在11位(勝点28)の札幌には27歳の韓国代表FWキム・ゴンヒと新たな「タイの至宝」と呼ばれるMFスパチョーク・サラチャートが加入。13位(勝点27)の福岡は「お化けフィジカル」の元カメルーン代表FWジョン・マリを復帰させ、J2クラブから平塚悠知と三國ケネディエブス(育成型期限付き移籍から復帰)が加入。14位(勝点26)の京都は、流経大時代の諜裁監督の教え子であるMF佐藤響に加え、スピードとテクニックのあるアラン・カリウスとパウリーニョ・ボイアの2人のブラジル人を獲得。15位(勝点25)の湘南には阿部浩之、中野嘉大という計算できるMFを2人が加入した。そして最下位の18位(勝点22)に沈む磐田は、左サイドバックの松原后を加えたが、8月13日の浦和戦で0対6の惨敗を喫し、翌14日に伊藤彰監督の解任を発表した。


 果たして下位に低迷するチームは、ここからどのような戦いを演じることができるのか。今季のJ1最終節は11月5日。生まれ変われる時間は、もう長くは残されていない。(文・三和直樹)


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