怒られても反省できない…? ADHD当事者が語る社会での悩みごと  舛覆爾修Δ覆襪痢 克服する方法は?〜

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2022年08月17日 21:10  まいどなニュース

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写真一方的に怒られるとパニックになり、今後どうしたらいいのかわからなくなることも(光藤 有佳/stock.adobe.com)
一方的に怒られるとパニックになり、今後どうしたらいいのかわからなくなることも(光藤 有佳/stock.adobe.com)

「健常の人『ここがいけなかったのか、よし、こうすればいいんだ』
ADHD私『怒られた、怒られた、怒られた、人生終わった、、、』
怒られたことに落ち込んで反省はしない」

【Twitter】仕事で怒られた時、ADHDの私の場合は…実際の投稿を見る

SNSにこのような投稿をしたのはやまみさん(@tadaima_yamami)。

近年、特に注目を集める発達障害。注意欠如・多動性障害(ADHD)は、不注意・多動性・衝動性といった症状から、職場や学校、日常生活などに支障が出てしまうという、代表的な発達障害の一つです。

やまみさんも、ADHDの症状を抱える方の一人。当事者として抱えがちな困りごとをTwitterで紹介し、たくさんの方々から注目を集めています。

今回のやまみさんのツイートには、ADHDの人が社会生活を送るなかで陥りがちな、切実な悩みが綴られています。

例えば、会社でミスをして上司に怒られた時。大抵の人は、上司の話の内容を聞いて自分のダメだったところを理解し、「次からこうすればいいんだ」と前向きに捉えられることが多いでしょう。しかし、やまみさんによると、ADHDの人の中には、怒られたという事実にただ落ち込み、反省ができなくなってしまう方もいるようです。落ち込むばかりで前向きになれないというのは、とても辛いことですね。

やまみさんの体験談も踏まえたツイート。リプ欄には多くの反響の声が寄せられています。

「諭されるのではなく、一方的に責められるような怒られ方や、激しく怒鳴られたりすると、とても追い詰められます」
「怒られたのは『自分の行為』であって、『自分の存在』が否定されてるのではない。分かってるのに、過剰に不安になってしまいますよね」
「強めの声で怒られると『怒られた……』の感情が強すぎて、考える力が極端に落ちてまともな言葉が出なくなったり、喉が締まって声が出せなくなったり、体が震えたりすることありますね……考えてる余裕なんかないんですよ……」
「正社員だった頃、怒られたインパクトが強すぎてその後のアドバイスが頭に入らず、頻繁にパニック起こしてました」

リプ欄には、ADHD当事者の方や、その他の発達障害のある方、自身にも発達障害の疑いがあるのでは…という方など、多くの方々からコメントが寄せられています。それらのコメントの一つ一つに、やまみさんが自ら丁寧にアドバイスをされているのも印象的でした。

やまみさんに詳しいお話をおうかがいしました。

「何がいけなかったのかがわからず、結局同じミスを繰り返してしまう」

――「落ち込んで反省はしない」とのことですが、どのような時にそうなるのでしょうか? 

やまみさん:ツイートでは「反省しない」と端的に書いていますが、本当は「何がいけなかったのかがわからず、結局同じミスを繰り返してしまう」という意味合いと解釈していただければと思います。「怒られた」という事実に頭の中がパニックを起こしてしまい、外部からの情報が遮断されてしまい、思考と情報が追いつかなくなっている状態です。

――ADHDの方がそのような状態に陥ってしまう理由は?やまみさん自身のご経験を踏まえて教えてください。

やまみさん:過去に周囲から「おかしい」と言われてきた経験から、いつしか物事を否定的に捉えるようになってしまったんです。今指摘されていることを反省すればいいところを、過去のトラウマがフラッシュバックして余計に落ち込んでしまう、というケースが非常に多いです。さらに、大きな声で叱責を受けた時のイメージが残り、本能的に体が防御反応を起こしてしまうのも原因ではないかと思います。

――そのような状態に陥るのは、ADHDの方特有の傾向なのでしょうか?

やまみさん:リプ欄にはADHDの方だけでなく、HSP(Highly Sensitive Person。人一倍繊細な気質をもっている人のこと)の方や、いわゆる一般の方からも、度重なるストレスで同じような状況に陥っているといった声がありました。そのような方からも、「もやもやしていた心が少しすっきりした」というお言葉をいただいたり、「生きづらさを抱えているのは自分だけじゃなかったんだ」と言っていただいたりして、大変驚きました。

――ADHDの方をはじめ、多くの方が陥りやすい状態なのでしょうか。改善するには、どうすればよいでしょう?

やまみさん:私なりの改善策なのですが、まずは相手の言った内容をまずはそのままオウム返しにすることです。これによって、言葉と意味が繋がるように頭の中で整理します。また、大切なことはメモに残していきます。後でメモを見返した時に「この言葉の意味ってなんだったっけ?」とならないよう、相手と一問一答形式でやりとりしながら確認するようにしています。

――ご自身でもいろいろな工夫をされているのですね。

やまみさん:といっても、その時にならないとどうなるか分からない、というのは現実問題としてあるので、時には失敗を恐れずに挑戦する勇気も大切だと思っています。あとは、誰も守ってくれない状況の中で自分が責任者となったらその失敗をどうやってカバーしていくか、と先の未来も見通して考えていく必要があります。

――Twitterでは、そのような当事者目線の体験談もたくさん紹介されていますね。

やまみさん:私の場合、「障害のせいにして反省しなかった過去の自分」を変えたくてSNSの発信を行なっているところもあります。実際、日頃のツイートから自身の行動を振り返ることが、自分自身を変える大きなきっかけにもなっています。

――SNSが学びになっているという具体例を教えてください。

やまみさん:今回のツイートは、発達界隈だけでなく、幅広い層に見ていただけたのですが、「反省はしない」という自分の書き方などによって、一部の方に障害に対する誤解や偏見を与えてしまい、批判の声もたくさん届きました。そのことを踏まえて、もっと当事者への理解や共感を生む発信をするために「どうすればいいのか」を考え、今後に活かしていきたいと思っています。

ADHD本人の悩みごとの要因や対策について、専門家はどう考える?

この件について、専門家はどう考え、どう対応されるのでしょうか?

大阪を中心に、精神障害や発達障害のある方々の就労支援を行っている「NPO法人 大阪精神障害者就労支援ネットワーク(JSN)」の橋本泰伸さんに、支援員の観点からお話をおうかがいしました。

――やまみさんのツイートにあったように、「他者から怒られた際に、その事実に落ち込むだけになってしまう」といったことが多いとされることについて、なぜそのような状態になってしまうのだと思われますか?

橋本さん:「怒られた」というインパクトから、頭の中が真っ白になることも考えられますし、相手の怒り方や注意の仕方が一方的だった場合、怒られた背景やプロセスがわかりにくく、怒られたという印象だけが残ることも考えられます。

――なぜそのような状態になってしまうのでしょう?発達障害の特性でそうなってしまうのでしょうか? また、過去に怒られ続けた経験など、当人の心理面の問題で起こってしまうのでしょうか?

橋本さん:どれも関係すると思います。特性や性格でいうと、抽象的な表現を理解するのが苦手な人や、話を理解するまでに時間がかかる人もいますので、他者からは一方的な物言いをされるとさまざまな思考や記憶が頭の中でグルグル回ってしまい、最終的には混乱してしまっている可能性があると思います。また、振り返るのに時間がかかったり、怒られた内容が分からないか曖昧にしか残っていない、頭の中が真っ白になり言われたことが記憶に残っていないケースもあるかなと思います。また、本人の感覚の過敏さ、繊細さなども関係すると思います。

――「過敏さや繊細さ」とは、具体的に?

橋本さん:例えば、耳からの情報が記憶に残りやすい人、目からの情報が記憶に残りやすい人、と機能的な側面で記憶の残り方が人と異なる方がいます。耳からの情報が優位な人であれば、大きい声・怒鳴られる声が苦痛に感じるでしょうし、目からの情報が優位な人であれば、怒られた場面や相手の表情がパシッとカメラで撮ったかのように記憶に残る人もいます。

――心理的な要因としてはどのようなものがありますか?

橋本さん:過去に怒られ続けた経験の積み重ねで、自分を責める、自己評価が低くなる、気分が落ち込むといったケースです。人によってさまざまな要因が入り組んでいますが、私が関わってきた経験の中で共通しているのは、何度も怒られたり失敗したりした経験から、自信を無くしたり、怒りの感情が先走ったり、自己嫌悪で落ち込んだりしている方は結構いるように感じます。

――そのような当事者の方の悩み、社会での生きにくさを解消するためには、本人のどのような心がけや行動が大切だと思われますか?

橋本さん:次のような取り組みが必要かと思います。

^貳屬老鮃。生活リズムを安定させ、上手くいっていることを続けられるような状態をつくっていくこと。
⇒ダ莉膂未鯲てる。見立てを立てる。または立てられるよう、一緒に手伝ってくれる人、協力してくれる人を見つける。
今やっていることで、その中でできていること、頑張っていることにフォーカスを当てる。
ざ般海房茲螻櫃るときに深呼吸をするなどして、頭の中を整理して目の前のことに集中できるような精神状態を作る。
サせちを許せる人、相談できる人を作る。
Ε優奪箸覆匹覇韻原遇の方からの情報を得る(自分の気持ちを上手く言語化している人がいてとても共感できる)。

  ◇  ◇

やまみさん、橋本さんに、それぞれ当事者目線、専門家目線のお話をおうかがいしましたが、共通している内容も多くあったことが印象的でした。

やまみさんは、自身の辛い経験も含めて、多くことから考え、学び、自身の生き方の糧にされてきたように思います。大切なことは、自分自身と向き合い、自分なりに生きやすくなる方法や楽しく生きられる道を模索することなのかもしれません。

自身の経験や考え方も踏まえ、TwitterやTikTokなどでADHDの理解を深める活動を行っているやまみさん。「変顔クリエイター」としても活動されています。

やまみさんにとって、「変顔」は学生時代から密かに行ってきた特技。ひょんなことからSNSでも火が付き、現在では自身の好奇心と探究心をもって取り組み続けています。

最近ではメイクやおしゃれなど、自分磨きに興味を持つようになってきたとのことで、「少しずつ綺麗になっていく姿であったり、楽しく歳を重ねていく成長過程を皆様にお見せできればいいな、と思っています」と、やまみさんは今後の変顔の楽しみについても話してくれました。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・竹中 友一(RinToris))

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  • 今はキツく叱責したら訴えられるからな。部下の失態は上司の失態。
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