薄毛の悩み男女で違い、男性は「いじってもいい」世間の風潮? 「どんどん心をえぐられる」心を病む人も…

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2022年08月18日 07:30  ORICON NEWS

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写真21歳で薄毛になったという“すげじょのやまもと”さん(C)銀座フローレン
21歳で薄毛になったという“すげじょのやまもと”さん(C)銀座フローレン
 自らを薄毛女子=“すげじょ”と名乗り、薄毛との生き方を模索したエッセイ漫画『おんな薄毛道』を手がけたすげじょのやまもとさん。漫画をきっかけに、イベントやウィッグモデルなど、髪に悩む女性への偏見を払拭するための活動をしてきたやまもとさんの元には、男性からも相談が寄せられると言う。薄毛に対する女性と男性の世間の反応の違いや、生きづらさの違いについて聞いた。

“薄毛治療”やめた後も…「生活習慣を見直したおかげで少し増えたかも」4年間のビフォーアフター

■「自分の頭を使って、誰かの役に立てるのなら…」“薄毛女子”活動への想い

――薄毛の女性が生きやすい社会を目指して、漫画やイベントを通して様々な治療法を実践し、情報を発信しています。

【やまもとさん】21歳で薄毛になったのですが、もともと私は「女性だからこんなスタイルであるべき」といったジェンダー意識がなかったので、あまり気にしていませんでした。ところが、「女なのに治療も隠しもしないなんて…」という世間の冷たい視線を浴びるようになったんです。私がいることで場の雰囲気が悪くなることもあったので、この生きづらさを解消するには、薄毛を治療するか、隠すしかないと考えるようになりました。それで、薄毛にまつわるいろんな情報を漫画にして、私より深刻に悩んでいる薄毛女子のために、自分の頭を使って役立てるならと考えたのが始まりでした。

――でもその後、治療を止めることを決断します。

【やまもとさん】「薄毛を隠さないと」と思うこと自体、社会に刷り込まれた価値観であって、自発的な想いではないことに気づいたんです。それでいったん治療を止めて、自分に選択肢を与えてみました。考えは、間違っていなかったですね。

――とはいえ、「女性の薄毛は隠すべき」などの浸透した価値観のせいで、薄毛女性の大半はなかなかオープンにはなれないと思います。

【やまもとさん】私のTwitterでも、フォローしてくれている人はほんの一握りで、身バレしたくないと登録せずに遠くから私のことを見ている方も多いです。イベントなどでお会いする方は、治療せずウイッグなどでカバーされている方や、治療法や人間関係で悩んでいる方など様々。話せる人や共感できる人が周囲におらず、SNSを通じた非対面式の当事者コミュニティしかありません。まだ社会に声を上げづらい状態だと思います。

――昨年6月のNHK『あさイチ』で女性の薄毛が取り上げられ、やまもとさんも出演しました。女性の薄毛問題が、だいぶ可視化されてきたように思います。

【やまもとさん】薄毛治療クリニックでも、広告に女性の薄毛を打ち出すようになりましたからね。女性の髪にまつわる業界が、“美髪”から“薄毛”に着目しつつあるのも感じていています。もちろん薄毛の女性は多くいますが、一方で、他人から見ると薄毛ではないのに自分は薄毛だと思い込んでしまって、あらゆる治療法を試してお金を費やす方がかなり増えてきたと感じます。薄毛で悩まれている女性は情報共有のために、SNSで頭頂部の画像を公開されているのですが、フサフサの髪を「薄い」と嘆く方の画像を見て、「この人全然薄毛じゃないのに…」と頼みの綱である SNSでさらに傷つく、という負のループも生まれています。

■薄毛ハラスメントで心を病む人も…「男性の相談は“実害”ばかりでえげつない」

――やまもとさんのところには、男女問わず薄毛の相談が寄せられるそうですね。男女の悩みはどんな違いがありますか。

【やまもとさん】SNSを見る限り、女性は仲間同士で内側に寄り添っており、男性は個人が外側に発信している印象です。女性の場合、他者からの評価よりも「なりたい自分ではない」と、自己評価を低くされる方が多いです。また最近では、女性の薄毛が可視化されてきたせいか、薄くないのに自分は薄毛だと思っている方がかなり増えてきました。

一方で男性は、個性やポジティブなものとして提唱したり、クリニックや治療法の問題を啓発したり、外見を揶揄されることに反発したりと、社会を動かそうとする傾向があるように感じます。他者評価(モテ)を意識される方も多く、負の要素を逆手に取って自分をコンテンツ化するなど見せ方を工夫されています。私に相談を寄せられる男性の方は、そのように声を上げることができない方です。

――男性から具体的に、どのような相談が寄せられましたか?

【やまもとさん】人からどう見られているか、不安に駆られている人が多くて、ウイッグを買ってみたけど違和感がないか写真を見てください、という方もいました。あと、職場でハラスメントにあって、鬱になって休職したという人も少なくありません。

――薄毛をからかわれて…ということですよね。

【やまもとさん】薄毛男性の社会的認知度が高いこともあってか、「男性に対しては薄毛をいじってもいい」と思っている人が多いからだと思います。からかいに屈したり、気にしたりするのは “男らしくない”という考えからなのか、「男なんだから笑いに変えなきゃダメだぞ」みたいな感じで…。関係性の問題もあるのでそれを享受している人もいますが、ハラスメントとなって、心を病んでしまう人がすごく多いんです。男性からのご相談は実害があるものばかりでえげつないです。

――男性の“ハゲいじり”は多く見かけます。

【やまもとさん】今は減ったかもしれませんが、漫画を描き始めた2010年代は、テレビでも髪の毛がないことを笑いに変えるネタが多かった印象です。たとえコミュニケーションとしての「ハゲネタ」だったり、子どもの些細なからかいであったりしても、笑えない当事者にとってはそれらが積み重なって、心をえぐられると思います。そもそも薄毛は昭和の養毛剤ブームから、中年男性がなるものとされていました。それは恥であり、治すものとされていたのですが、そんな偏見を武器にしたカルチャーやお笑いが醸成されてきたと思います。

薄毛の病名は、ホルモンなどの影響による壮年性脱毛症が多く知られています。しかし実際は、膠原病や、自己免疫疾患など身体的な病による脱毛症、精神的な病による脱毛症、生まれつき髪が細く量が少ない乏毛症、生活習慣など複合要因による脱毛症など様々です。薄毛になるのに、年齢や性別は全く関係がありません。そうしたことも知ってもらいたくて、漫画はもちろん、イベントなど、薄毛にまつわる自分の活動においては、積極的に声を上げてきました。

――その活動を、今年限りでやめられると発表されましたが、なぜですか?

【やまもとさん】漫画を描き終えて、自分のやることは全部出したなと思ったことと、生きづらさを解消するマイノリティの声も上がってきて、だいぶ流れができたなと感じたことも理由です。薄毛治療クリニックも、「女性は薄毛になります」と良くも悪くも広告で打ち出すようになりましたし、薄毛治療を告白する女性芸能人の方も出てきていて、もう私がいなくてもいいかなと思ったんです(笑)。

――SNSでは「まだ活動をやめないで」という声が上がっていますね。

【やまもとさん】インフルエンサーになることが目的でやってきたわけではないですし、本当に薄毛に関して全部やり尽くし、出せるものは全部漫画に出しました。これからは、私が残した情報をみなさんが共有してくれたり、交流会など自助グループができたりしたらいいなと思っています。たとえば、明らかに高額なウイッグを押し売りしたり、メチャクチャな治療法で勧誘したりするクリニックがたくさんあります。もし治療をするなら、長い年月と費用がかかりますから、行き詰まらないために何を知り、何を計画し、何を始めるか。自分の心と身体、環境や経済状況を踏まえた治療法やクリニックをどう選ぶかなど、全てのすげじょさんに届け、という一心で描き切りました。ぜひ漫画を読んで参考にしていただけると嬉しいです。

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  • 歳と共に量が減っている気がしている( ・ัω・ั; )
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