キャリアのでんきサービスに乗り換える価値はある? 「ドコモでんき」「auでんき」「ソフトバンクでんき」の違い

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2022年08月20日 06:11  ITmedia Mobile

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写真電気料金の仕組み
電気料金の仕組み

 「電気代安くなる○○電力」「1年間で〜円節約できる△△でんき」――このような電気料金に関する広告を一度は目にされた方がほとんどだと思います。2016年4月の電力の全面自由化により、多種多様な電気料金プランをひっさげた「新電力」が数多く誕生してきました。



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 2022年4月に発表された経済産業省資源エネルギー庁の「電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について」の資料によると、日本全国で販売されている電力量のうち、主に一般家庭などに供給される「低圧分野」における新電力のシェアは約23.8%を占めるまでになっています。



 しかし、ここにきて電力事業から撤退し始めている新電力がでてきています。2022年6月の帝国データバンクの発表によると、2021年3月末時点では706社存在していた新電力のうち、2022年6月8日時点で電力事業を停止・撤退・廃業している新電力の数は104社。このため電力事業から撤退した新電力のでんきサービスを契約していた方は、他のでんきサービスへの変更を余儀なくされています。



・経済産業省 資源エネルギー庁「電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について」(2022年4月26日:PDF)



 ITmedia Mobileの記事で普段扱っているNTTドコモ、au、ソフトバンクでも新電力の「取次」という形でそれぞれ「ドコモでんき」「auでんき」「おうちでんき(ソフトバンクでんき)」を提供しています。昨今、電気料金が値上げしている中、各社のポイント還元、スマートフォンの通信費値引きなどのサービスを目にした方は「電気を切り替えてみるか」と考えている方もいるかもしれません。しかし、苦境に立たされている新電力に関するニュースを目にすると「今の電力会社のままでよい」と考える方もいるのではないでしょうか。



 「携帯電話会社が提供している電気サービスに切り替える価値はあるのか?」そんな疑問に答えるべく、この記事ではドコモでんき、auでんき、おうちでんき(ソフトバンクでんき)をメインとした、新電力の料金プラン解説をしています。なお、以前からある電力会社も、新電力も電力自由化によって「小売電気事業者」に統一されるようになりましたが、この記事では両者を区別するため、従来の電力会社を「各地域の電力会社」と表記して解説していきます(※記事での価格は全て税込み)。



●電力自由化後の料金プランの特徴



 数多く登場した新電力の料金プランには「電気料金、年間○○円安くなる」といったように、「従来の電気料金に比べていくら安くなるか?」ということをアピールするものが多いです。2022年8月現在、新電力各社の料金プランの特徴を大まかに挙げてみると以下のようになります。



・新規申込で「3カ月無料」など加入特典がある方式



・基本料金自体が無料(電気を使った分だけ支払う方式)



・電気使用量が多いほど割引率が上昇していく方式



・ガソリン代が安くなる方式



・ガスとのセット割引が受けられる方式



・携帯電話とのセットで、携帯電話料金の割引が受けられる方式



・各社ポイントカードと連携、ポイントサービスが受けられる方式



 新電力の料金プランに切り替えることが得になるのか? あるいは損になるのか? これを判断するためには、以前からある電気料金の仕組み(内訳)を知っておく必要があります。それは新電力の料金プランも従来の電気料金をベースに作られているためです。一般的なものは次の通りです。



・「基本料金(アンペアまたは最低料金)」+「電力量料金±燃料費調整額」+「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」



 以前からある電気料金は毎月の基本料金に、電気を使った分だけ支払う電力量料金(従量料金)を足したものをベースにします。これは「従量電灯」と呼ばれるもので、電力会社に関係なく一般家庭に普及されている最もポピュラーな電気料金プランです。



 さらに基本料金は電力会社によって「アンペア制」と「最低料金制」の2つに分かれています。アンペア制の場合、契約アンペア(A)が大きいほど同時に使用できる電気の量が増えていきますが、基本料金も高くなっていきます。アンペア制を導入しているのは、北海道電力エリア、東北電力エリア、北陸電力エリア、東京電力エリア、中部電力エリア、九州電力エリアが該当します。一方、最低料金制は契約するアンペアに関係なく一定です。最低料金制を採用する電力会社には、関西電力エリア、中国電力エリア、四国電力エリア、沖縄電力エリアが該当します。



 電力量料金(従量料金)は料金単価が3段階に設定されており、使えば使うほど、1kWhごとの料金単価は高くなっていく仕組みです。ここに「燃料費調整額」を加算または減算し、「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」を加算することによって、最終的な電気料金が決まります。ちなみにこの「燃料費調整額」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」の部分に関しては、後述するドコモでんき、auでんきのポイント還元の計算対象になりません。ご自身が契約されている電力会社(従量電灯)の料金明細を確認すると、基本的にはこのような形式になっていることがお分かりになるかと思います。



 ここで東京電力エナジーパートナー、契約種別「従量電灯B」を例にとります。契約アンペア(A)が単身者世帯向けである30Aだと基本料金が858円00銭、電力量料金(従量料金)は1kWhあたり最初の120kWhまで19円88銭(第1段階料金)、120kWh越え300kWhまで26円48銭(第2段階)、300kWhより多い場合30円57銭(第3段階料金)で設定されています(2022年8月1日時点)。このプランから基本料金が無料の新電力に切り替えれば、毎月858円の基本料金がまるまる無料となります。



 アンペア制で基本料金がかかる電力会社の場合、契約アンペア(A)が大きいほど基本料金は高くなりますが、それも関係なく無料。つまり、家族が多い、または1カ月の使用電力が大きいほど得になります。ただし、こういった基本料金を無料にしている新電力の場合、電力量料金(従量料金)は、東京電力エナジーパートナー従量電灯Bの「第2段階」相当の料金に一本化しているところも多いのです。つまり、日頃から省エネを心掛けており、使用電力量が少ない方にとっては、基本料金が0円を打ち出している新電力の電気サービスに切り替えても、ほとんど電気料金が変わらないばかりか、逆に料金が高くなる可能性もあります。



 実際のところ、電力自由化で新料金プランが登場したといっても、基本料金および、電力量料金(従量料金)自体は従来の電力会社である各地域の電力会社(従量電灯の場合)と数多くある新電力の間では大きな違いは見られません。基本料金で各アンペア(A)数十円〜百数十円の違い、電力量料金(従量料金)の各段階で1円程度の違い、といった具合です。ですので新電力は電気料金以外の分野で、セット割引、ポイント還元、ガソリン代割引などを打ち出しています。あるいは、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーの販売構成比率が高いことをアピールする新電力もあります。



●dポイントが還元されるドコモでんき



 ドコモでんきはNTTアノードエナジーを新電力、NTTドコモをNTTアノードエナジーの取次という販売形態で提供されています。対応エリアは沖縄電力エリアおよび離島を除く全国に対応しており、選べる料金プランは「ドコモでんき Green」と「ドコモでんき Basic」の2つです。



 ドコモでんきGreenの基本料金は東京電力エナジーパートナーなど各地域の電力会社(従量電灯)に比べて各アンペアで500円高く設定されています。これはドコモでんきGreenは二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーに関係しているからです。



 ただし、これはドコモでんきGreenで供給される全ての電気は再生可能エネルギーであるということを意味しているわけではありません。正確に言うと、ドコモでんきGreenは販売している電気(LNG火力等を含む電源から調達した電気)の全量分に二酸化炭素を排出しない方式で発電された電気であることを証明された証書(非化石証書)を購入・付与しており、そのコストを基本料金に転嫁しているので基本料金が高いということがおえます。



 そのため、「ドコモでんきGreenを契約しているということは、高い基本料金を支払っていることにはなるが、(間接的に)再生可能エネルギーからの電気しか使っていない」ということがいえ、環境意識が高い方向けのプランになっています。使った分だけ請求される電力量料金(従量料金)は各地域の電力会社と同じです。



 電気料金面では、地域の電力会社(従量電灯)よりも高くなってしまうドコモでんきGreenですが、条件を満たせば、電気料金の10%分のdポイントが還元されます(税別100円につき10%ポイント還元)。



 その条件は、以下の2つです。



・5Gギガホプレミア、5Gギガライトなど2019年10月以降に提供開始されているドコモの料金プランを契約していること(ahamo含む)



・ドコモでんきGreenの契約がひも付いている携帯電話の契約をdカードGOLD(年会費1万1000円)の利用番号として登録しておくこと



 dカードGOLD未契約の場合、還元されるdポイントは5%になり(税別100円につき5%ポイント還元)、ドコモ回線を契約していない場合、あるいは対象外プランの場合、還元されるdポイントは3%にまで下がります(税別100円につき3%ポイント還元)。なお、dポイント還元対象になるのは、「基本料金」と「電力量料金(従量料金)」のみであり、前述した「燃料費調整額」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」は、ポイント進呈の対象外になることには注意が必要です。



 ドコモでんきBasicの基本料金、電力量料金(従量料金)は各地域の電力会社(従量電灯)とほぼ同じです。ドコモでんきGreenとの違いは、還元されるdポイントにあります。5Gギガホプレミア、5Gギガライトなど2019年10月以降に提供開始されているドコモの料金プランを契約していれば(ahamo含む)、還元されるdポイントは3%になり(税別100円につき3%ポイント還元)、ドコモ回線を契約していない場合、あるいは対象外プランの場合は、還元されるdポイントは2%(税別100円につき2%ポイント還元)になります。



 「燃料費調整額」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」は、ポイント還元の対象外になることもドコモでんきGreenと同じです。両プランとも切り替えに伴う工事は必要ありません。そして、解約金や事務手数料も一切かかりません。



●Pontaポイントが還元されるauでんき



 auでんきはauエネルギー&ライフを新電力、auをauエネルギー&ライフの取次という販売形態で提供されています。切り替え工事不要、解約時の違約金や事務手数料も不要です。



 料金プランは毎月の電気料金に応じてPontaポイントが還元される「auでんき(でんきMプラン)」と、環境保全に関係した「auでんきecoプラン」の2つです。



 auでんき(でんきMプラン)は離島を除く全国、auでんきecoプランは沖縄電力エリアおよび離島を除く全国に対応しています。ただし、現在オール電化住宅や「高圧一括受電契約」を結んでいるマンションに住んでいる場合は、auでんきそのものに切り替えることはできません。



 auでんき(でんきMプラン)の電気料金は地域の電力会社(従量電灯)とほぼ同じです。ですので、切り替えるメリットはau携帯電話、UQ mobile携帯電話、auひかりとセットにすると毎月の電気料金に応じてPontaポイントが還元される「auでんきポイントで割引」にあります。毎月の電気料金5000円(税別)未満で1%還元、5000円から8000円未満(税別)で3%還元、8000円以上(税別)で5%還元が受けられます。



 さらに、電気料金の支払いをau PAY ゴールドカード(年会費1万1000円)払いにすると3%上乗せ、au PAYカード払いにすると1%上乗せすることが可能になる「auでんき・都市ガス for auご契約ポイント」もあります。こちらは、税込み100円ごとに1ポイント還元されます。



 au携帯電話、UQ mobile携帯電話、auひかりを契約しておらず、単体でauでんき(でんきMプラン)を利用した場合の還元額は、毎月の電気料金5000円(税別)未満で0.5%還元、5000円から8000円未満(税別)で2%還元、8000円以上(税別)で3%です。Pontaポイント還元の対象となる料金は「基本料金」と「電力量料金(従量料金)」のみであり、前述した「燃料費調整額」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」は、ポイント進呈の対象外です。



 auでんきecoプランも電気料金は地域の電力会社(従量電灯)とほぼ同じです。特徴はドコモでんき Greenのように、販売している電気(LNG火力等を含む電源から調達した電気)の全量分に二酸化炭素を排出しない方式で発電された電気であることを証明された証書(非化石証書)を購入・付与しています。ドコモでんきGreenとの違いは、非化石証書購入分のコストを電気料金に反映させていないことです。



 さらに、auでんきecoプランの契約者から支払われた電気料金のうち、2%相当額が環境保全団体に寄付される仕組みをとっているため、環境意識が高い消費者にとっては魅力的に映る電気料金プランかもしれません。ただし、auでんき(でんきMプラン)と違い、電気料金の支払いに応じてPontaポイントが還元されるauでんきポイントで割引は対象外です(auでんき・都市ガス for auご契約ポイントは対象)。



●UQ mobileならセット割引でスマホ料金が安くなる



 UQ mobileの「くりこしプラン+5G」とauでんき(でんきMプラン・ecoプラン)をひも付けると、UQ mobileのスマートフォンに「自宅セット割」を適用させることが可能です。



 くりこしプランS+5G、くりこしプランM+5Gで638円割引、くりこしプランL+5Gで858円割引になり、それぞれ月額990円、2090円、2970円で利用できます。ちなみに今ならデータ量が13カ月間無料で増量される「増量オプションII 1年間無料キャンペーン」が実施中なので、くりこしプランS+5Gで5GB、くりこしプランM+5Gで20GB、くりこしプランL+5Gで30GBのデータ量が1カ月使えます。



 自宅セット割を適用させることができる回線数は10回線までなので、家族の回線にも適用させることができます。なお、自宅セット割と前述した「auでんきポイントで割引」は併用できます。



●スマートフォン、インターネットが割引されるおうちでんき



 ソフトバンク(グループ)が一般家庭向けに販売している電気サービスには「おうちでんき」「くらしでんき」「自然でんき」の3つがあります。このうちソフトバンクとY!mobileの携帯電話、SoftBank光とのセット割引に関係してくるのがおうちでんきです。



 おうちでんきはSBパワーを新電力、ソフトバンクがSBパワーの取次という構図で販売されています。対応エリアに関してですが、離島、そして九州電力エリアと北陸電力は対応していません(ただし九州電力エリア、北陸電力エリアに関しては諸手続きをすれば、九州電力、北陸電力契約中のままでソフトバンク、Y!mobileの携帯電話、SoftBank光とのセット割引を受けることは可能)。



 電気料金の基本料金部分は地域の電力会社と同じですが、使った分だけ料金が上がっていく電力量料金(従量料金)が地域の電力会社よりも1%安く設定されています。そして、おうちでんきにはドコモでんき、auでんきにはない、携帯電話とSoftBank光の通信費が安くなるセット割引があります。



 ソフトバンク、SoftBank 光、SoftBank Airと「おうち割 でんきセット(M)」、Y!mobileの場合だと、携帯電話、SoftBank光、SoftBankAirと「おうち割 でんきセット(A)」を組むと1回線につき通信費が2年間にわたって合計10回線まで毎月110円割引を受けることが可能です(3年目以降は毎月55円割引)。



 このおうち割 でんきセット(M)(A)は、ソフトバンクの「おうち割 光セット」「新みんな家族割」、Y!mobileの「おうち割 光セット(A)」または「家族割引サービス」とも併用可能なので、家族でまとめている、家のインターネットがSoftBank光にしている方にとっては大変お得です。



 さらに、おうちでんきには、「水漏れ/配管のつまり」「鍵の紛失」「ガラスのヒビ/破損」などのトラブルに対する出張料と作業料(30分以内で、部品交換が伴わない作業)が無料になる「おうちレスキュー」という特典も付いてきます(東京電力エリア以外は無料になるのは2年間のみ)。



 付随サービスが充実しているおうちでんきですが、ドコモでんき、auでんきにはない注意点がおうちでんきにはあります。切り替え工事が不要な点は、ドコモでんき、auでんきと同じですが、おうちでんきは1年契約(自動更新)が存在し、解約の際には550円の解約事務手数料がかかるという点では注意が必要です。



 以上、ドコモでんき、auでんき、おうちでんきについて特徴をまとめました。携帯電話事業者が提供している電気サービス以外にも、新電力あるいは、従来の地域の電力会社からも、多種多様な料金プランが登場しています。ただし、料金プランを切り替えれば必ず電気料金が安くなる、というわけではありません。



 一時期、JPEX(日本卸電力取引所)で取引された価格に連動して、電気料金が変動する「市場連動型プラン」を契約していたがために、電気料金が10倍になってしまったというニュースも目にされた方もいると思います。また、一般的に「新電力に切り替えない方が良い」というケースも存在します。一例を挙げると、オール電化住宅に住んでいる方です。電力自由化前、特に東日本大震災前からサービス提供されているオール電化住宅のプランは割安な料金設定がされており、新電力の料金プランに切り替えると電気料金がかえって高くなるといわれています。



 また、新電力のほとんどは、自前の発電設備を備えていません。顧客に提供する電力は発電事業者から供給を受けるか、JPEX(日本卸電力取引所)から調達しています。ドコモでんきなどの新電力は工事不要で切り替えが可能ですが、これは新電力のほとんどは発電設備を有していないからです。しかし、昨今の原油高、液化天然ガス(LNG)の価格高騰を受け、JPEX(日本卸電力取引所)から調達している電力量が多い新電力ほど、苦しい経営状況に陥り、新規加入者受付終了や事業から撤退しているのが現実です。こういった状況を踏まえ、「新電力に切り替えるかどうか」を見極めるのも重要になってきています。



著者プロフィール



吉田裕紀



 長野県出身。2009年「株式会社ディ・ポップス」に入社。NTTドコモ、au、ソフトバンクなどさまざまな通信キャリアを取り扱う携帯ショップ「TOP1」やY!mobileショップにて11年間携帯電話の販売に従事。



 現在はコンテンツマーケティング部署に所属。現場の経験を生かし、「携帯電話料金プランについて分かりやすい記事を書き、分かりやすく情報を発信する」をモットーに、日々売り場からの声や、最新の携帯電話に関する情報を収集し、記事の執筆にあたっている。



・スマホの料金プランに関する情報を随時更新→D-POPS スマホブログ


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