この夏、新作映画が3本公開 三木孝浩監督ってなんなん?【第2回】ファンタジーの世界観で感動させる

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2022年08月20日 09:00  ORICON NEWS

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写真三木孝浩監督 (C)ORICON NewS inc.
三木孝浩監督 (C)ORICON NewS inc.
 国内外の話題の映画が次々と公開されている今年の夏、『今夜、世界からこの恋が消えても』(7月29日公開)、『TANG タング』(8月11日公開)、『アキラとあきら』(8月26日公開)のメジャー作品3本に共通すること、それは監督が三木孝浩であるということだ。『今夜、世界からこの恋が消えても』は「青春恋愛映画の名手」と称される三木監督の、フィルモグラフィーの延長線上にある作品だが、『TANG タング』ではこれまでとはひと味違った一面を見せる。

【動画】二宮和也主演『TANG タング』予告編

 『TANG タング』は、『夏への扉 -キミのいる未来へ-』に続いて、海外のSF小説が原作。2016年ベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれた、『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(著:デボラ・インストール、訳:松原葉子/小学館文庫)を日本版にアレンジを加えて実写化した。

 医師として輝かしい人生を送るはずだった主人公の春日井健(二宮和也)は、ある出来事をきっかけにニートになってしまった、人生迷子中のダメ男。ある日、記憶をなくした迷子のポンコツロボット「タング」と出会う一方、弁護士として働く妻・絵美(満島ひかり)を失望させ、家を追い出されてしまう。途方に暮れる健は、タングを製造元のアトビットシステムズ社に持ち込めば絵美がほしがっていた最新型ロボットと交換できると知り、タングをつれて福岡へ飛ぶ。それが、健とタングの大冒険の始まりだった。

 福岡から中国・深セン、そして宮古島へ。タングを狙う謎の追っ手も現れて…。タングが失った記憶に、世界を変える秘密が隠されている!? やがて、タングの記憶のために大きな選択を迫られる健。ふたりの迷子が大冒険の先に見つける、人生の宝ものとは!?

――『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16年)や『フォルトゥナの瞳』(19年)、『夏への扉 -キミのいる未来へ-』(21年)といったファンタジーの世界観をねじ込んで、切なさや感動の幅を広げた作品も手がけてきましたが、『TANG タング』はその路線にあるようで、ちょっと違うような気もします。

【三木】これまで作ってきた青春恋愛映画には、自分が観てきた大林宣彦監督や岩井俊二監督の作品への憧れがもともとあって、自分なりに生み出したいと思ってつくってきたところがあるのですが、『TANG タング』の企画をいただいた時に、ついに80年代のハリウッド映画っぽいことができる!と思いました(笑)。

――たしかに!映画のド頭、健たちが住んでいる街の空撮映像から、アメリカの典型的な郊外住宅地の光景のようでした。

【三木】「日本にこんなところあったっけ?」と思っていただくことで、ファンタジーの入り口になればいいな、と思いました。少し先の未来の設定だけど、どこか懐かしさが感じられる世界観で、昔のアメリカ映画に出てきそうなインテリアにしたり、健と絵美の会話もアメリカのホームコメディみたいな空気感をわざと出してもらったり。僕がたくさん触れて、めちゃめちゃ憧れてきた80年代ハリウッド映画の要素を生かすことができて、楽しかったです。

――今回の作品に影響を与えた作品というのは?

【三木】『グーニーズ』『E.T.』『シザーハンズ』『レインマン』『恋はデジャ・ブ』…挙げたらキリがないくらいあると思います。

――これまでの三木監督映画と一線を画すのは、タングの存在ではないでしょうか? ほぼ全編CGキャラクターが出ずっぱり。

【三木】これは最初の打ち合わせの時に二宮さんと話したことなんですが、タングは何もできないからいいんですよね。健の前に現れた時は、記憶をなくしちゃっていて、ロボットとして用途がわからない。ドラえもんでもないし、鉄腕アトムでもない。ただそばにいるだけなんです。健をはじめ、人間たちはタングにいろいろ話しかけますけど、実は自分に問いかけているみたいなところがあって、そこがこの物語の面白さなんじゃないかと思っています

 二宮さんは「タングから芝居か返ってこない分、自分自身の芝居を見つめ直すきっかけになるんじゃないか」というようなことをおっしゃっていました。まさに、健がタングと過ごす中で自分を見つめ直し、かけがえのない存在に気づく物語なので、二宮さん自身とうまくシンクロしてくれたらいいな、と思っていました。撮影終盤になって、現場のモニターで見ているだけで心を打たれる芝居を何度も見せてくれた二宮さんには、本当に健役を引き受けていただいて良かったと思っています。

――『今夜、世界からこの恋が消えても』のような青春恋愛映画が「好き」とおっしゃっていましたが、『TANG タング』のようなファンタジーも「好き」ですか?

【三木】そもそも映画は、ファンタジーの産物だと思うし、人間にはファンタジーが必要。僕がつくるんだったら、現実を突きつけるような作品よりも、せめて映画を観ている間だけでも、現実世界のつらいこと、嫌なことを忘れられるような作品をつくりたい。ちょっと美しい、「夢」や「憧れ」が詰まっているような世界を楽しんでもらいたいと思うんです。

 この『TANGタング』もそうです。いろいろな世代の人に観て楽しんでもらえる映画を目指してつくりました。大変な世の中でお疲れ気味の方に、少し心のネジをゆるめて、観てもらえるといいですね。観終わった後、少しでもいいから自分に優しくする余裕を持ってもらえたらと思います。

(つづく)


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