JR山手線が走る秋葉原「高架下」でキャンプ? 都心で楽しめる非日常空間は電車の轟音も“魅力”

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2022年08月20日 11:00  AERA dot.

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写真東京・秋葉原で催されている「高架下」キャンプ(撮影/米倉昭仁)
東京・秋葉原で催されている「高架下」キャンプ(撮影/米倉昭仁)
 大都会のど真ん中でキャンプを楽しみたい。そんなニーズを探ろうとジェイアール東日本都市開発が東京・秋葉原に8月13日から24日までの期間限定でキャンプ場をオープンした。場所はJR山手線など線路がある高架下。その名も「高架下キャンプ練習場」。はたしてそんな場所でキャンプを楽しめるのか――記者がテントを背負って、現地を訪ねた。


【写真】都心のど真ん中で「高架下」キャンプ! 続きはこちら
*   *   *


 ゴッ、ゴー、ダダッタンタン。


 テントの中で寝転んでいると、ひっきりなしに電車が通過する真上から音が響いてくる。「高架下」と聞いて想像はしていたが、やはり、結構な音量だ。


 ところが、ここでは電車の音を気にする人は誰もいない。というか、むしろそれを楽しんでいる雰囲気なのだ。


「この非日常的な空間は、ある意味すごいと思います」と、足立区から訪れた50代の男性は語った。


「ふだんは奥多摩とか神奈川県道志川沿いのキャンプ場に出かけますが、都心からだと結構遠くて、片道2、3時間はかかります。これだけ家の近くの街なかで思いっきりキャンプが楽しめる場所は珍しい。食料はキャンプ場を出て30秒のスーパーマーケットで購入できます。キャンプの常識を覆しますね」



■初キャンプに「楽しい!」


 他にも来場者に話を聞くと、大半はキャンプ未経験者だった。別の区画では小学3年生の男の子がハンマーを振り上げ、真剣な表情でテントの四隅に小さな杭を打っていた。電車の騒音など、まるで耳に入らない様子で、「いっちゃんが打った!」と、声を上げる。


 テントの設営が終わると、今度は食事づくり。もちろん、炊事場も完備している。


「今日の献立はカレーライスです。息子が『キャンプはカレーだよ』というので」


 いっちゃんの母親はそう言って、料理に熱中する息子をうれしそうに見守る。


「『友だちが旅行に行くから、ぼくもどこか行きたいな』って言われて、調べて、ここに来ました。以前からキャンプはしてみたいと思っていたんですけれど、道具にも触ったことなくて、まったくわからない。寝袋だけ持ってくれば、ほかの道具は貸してくれるというので、手ぶらで来ました」(母親)


 いっちゃんは初めてのキャンプに、「楽しい!」と声を張り上げる。




■雨も全然気にならない


 父親と息子の2人で来ているキャンパーもいた。父親に話を聞くと、


「このキャンプ場は妻がネットで見つけました。家は千代田区なので、近いから行ってみようと思いました」


 と、ご近所キャンプを楽しんでいる様子。その足元では息子の小学生が懸命にテントの杭を打っている。


「すごく楽しそうにしているので、来てよかったな、と思いますね。ほかのお客さんも結構いるのでいい雰囲気ですし。あと、雨が降っていても全然気にならない。ちなみに夜、妻が子どもを連れて帰って、ぼくだけ泊ってみようかな、と思っています」(父親)


 缶酎ハイを片手に立派なツインバーナーのコンロでステーキを焼く30代の夫婦にも聞いてみた。


「この肉はとなりのスーパーで買ってきました。店が近くにあるので身軽に来られますね。山に行くのはちょっとハードルが高いと思っていました。こういう本格的なキャンプは初めてです」


 自然から遠く離れたキャンプ場とはいえ、みな、思い思いのキャンプを楽しんでいる様子だった。


■キャンプ用品が使い放題


 このキャンプ場ができたきっかけは、高架下の不動産開発などを手がけるジェイアール東日本都市開発の新規事業創出を目的とした社内コンペだった。


 開発企画課の北田綾係長は言う。


「高架下にキャンプ場があれば、家や駅から近い。雨にも濡れない。いいことがたくさんあるんじゃないか、と思って、軽い気持ちでコンペに応募しました」


 北田さんの企画は、2回目の応募で通った。


「今年5月、ゴールデンウィークにJR西荻窪駅近くの高架下でキャンプ場を設けました。そのときは一般の方ではなくJRグループ内の人に声をかけて、参加者を募りました」


 今回は場所を都心の秋葉原に設定し、一般の人を対象とした。


 料金は「宿泊プラン(13時から翌朝10時まで)」が大人3000円、小学生1500円。キャンプ愛好家の心をくすぐるのは、有名ブランド「コールマン」のテントやコンロなど、さまざまなキャンプ用品が追加料金なしで利用できる点だ。使い方はスタッフが丁寧に教えてくれる。新型コロナ対策として寝袋と食器類の持参は必須だが、その他の自分のキャンプギアを持ち込むこともできる。ただし、近隣へのにおいなどの影響を考慮して、たき火や炭を燃やすことは禁止されている。




「西荻窪のときはファミリーが多かったんですが、今回は友人同士やソロの人が増えました。ほとんどは手ぶらでいらっしゃいます」(北田さん)


 この日は天気が不安定で、ときおり雨脚が強まった。


「雨が降ってくると、特に私みたいな小さい子どもがいると、その面倒をみながら、道具が雨に濡れないようにしなければならないので、慌ただしくなってしまうと思うんですが、ここならのんびりと過ごせます。これはすごく高架下のいいところだと思います」(同)


■高架下から「郊外」へ


 来場者は東京区部の住民のほか、JR京浜東北線沿いの川崎市やさいたま市方面からやってくる人もいるという。北田さんは、こう続ける。


「一番遠いところだと、千葉県成田市からいらっしゃった人もいました。成田にはキャンプ場がいくつもある。つまり、普段からあちこちでキャンプをやってきたけれど、都心でもできるからと、キャンプ好きが高じてここへいらしたそうです」


 この場所は、基本的に「キャンプの練習場」という位置づけだ。


「もちろん今後、同様な企画を立てたときに、リピートしていただけるのもありがたいんですけれど、将来的には地方のキャンプ場とか、電車で行けるようなキャンプ場さんと組んで、そちらへも足を運んでいただけるといいなと思います」(北田さん)


 今年12月に社内審査会があり、高架下キャンプ場の需要や採算性が見込まれれば、来年度に向けて事業化が検討されるいう。


(AERA dot.編集部・米倉昭仁)


このニュースに関するつぶやき

  • それキャンプというのかよ。住所不定無職の段ボールハウスに毛が生えたようなことやるな。あと消防法上の規制をクリアしてるのか。鉄道高架下で無届で焚火は禁止だ
    • イイネ!5
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