連覇と、昨年果たせなかった日本一を目指す今季のオリックス。監督・コーチ、選手、スタッフらの思いを「猛牛ストーリー」として随時紹介していきます。
第32回は、7月31日のウエスタン・中日戦で約3カ月ぶりのマウンドに立った6年目の山��颯一郎投手（24）。飛躍が期待された今季は開幕3戦目の先発を任されましたが、4月下旬に二軍降格。その後は、肩のコンディション不良でリハビリを続けていたそうです。その間のトレーニングの成果で直球の球威を増して復帰を果たし、現在は一軍定着のための決め球にすべく「フォークボール」を磨いています。
◆ 「投げられないのなら、体を鍛えよう」
復活のマウンドは、大阪府南部の富田林市立総合スポーツ公園「富田林バファローズスタジアム」だった。
2−0とリードする5回、富山凌雅−佐藤一磨の後を継いで登板。先頭の渡辺勝に四球を与えたが、送りバントの後、堂上直倫を外角高めの直球で三飛。星野真生は外角高めの直球2球で追い込み、最後は外角低めの直球をズバリと決めて3球三振に仕留めた。
ボールの抑えが効かず、大きく高めに外れる場面もあったが、直球の伸びと球威を感じさせた。
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20日のソフトバンク戦（タマスタ筑後）では、3番手で2回を投げて無安打、3連続を含む5奪三振。先発した9日の阪神戦（京セラD大阪）でも、2回を1安打に抑え、3連続を含む4奪三振と、三振の多さが際立つ。
4月25日に出場選手登録を抹消され、二軍で2試合に登板したのち約3カ月間登板機会がなかったが、ブランクの理由は「右肩のコンディション不良」だったという。
「正直、焦りがなかったと言えばウソになります。でも、肩のコンディションが良くなく、登板間隔の間に次の登板に備える練習をするのが精一杯で、修正などが十分にできる状態ではありませんでした」と静かに振り返る。
回復の近道は、約3週間のノースローだった。
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育成時代に励ましてくれた母・節子さんは、今回も「トレーニングをしてパワーアップするしかないね」と、地道な練習の後押しをしてくれた。
リハビリの効果はすぐに表れる。3カ月間のトレーニングで、体重は86キロから92キロに増量し、球威も増した。
2019年に受けたトミー・ジョン手術ではMAXが149キロから153キロに増速したが、今回も155キロから156キロにアップした。
復帰後のマウンドでは、中継ぎが5試合に先発が1試合。イニング数は1回か2回だが、肩の状態を見ながら球数を制限する調整登板ではないという。
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「いつ一軍から呼ばれてもいい準備は出来ています。上げてもらえたら、結果を残していくだけ」と言い、岸田コーチも「しっかりと投げることが出来ており、状態は良く素晴らしいボールを投げています」と、一軍マウンドへ何の支障もないと言い切る。
◆ 「迷いはありません」
いま取り組んでいるのが、フォームの“改造”とフォークボールの習得だ。
190センチの体をさらに生かすためにも、大きく振りかぶるワインドアップで投げていたが、9日の阪神戦からセットポジションの投球に変えた。
「ワインドアップで足を大きく上げて投げると、体が大きいので動きが大きくなってブレやすい。そこを抑えるためにやっています。変えていい方向に持っていけたらいいなと思って。最終的には、ワインドアップに戻ればいいですが、今年はセットポジションでとことん行こうと思っています」
フォークボールは、決め球として精度を高めている。
「昨年も投げていましたが、三振を取るよりバットに当てさせる感じのフォークでした。当てられるのは決め球としては危ないので、しっかりと落ちて空振りを取れるフォークがあれば、打者も怖いと思ってくれるので」と狙いを語る。
2イニングで5三振を奪ったソフトバンク戦では、最速156キロの高めの釣り球と、落差のあるカーブとスライダーで打者を手玉に取ったが、自信のある球が増えたからこそ、得意でなかったフォークの重要性を再認識したという。
「スライダーとカーブは、ゾーンに投げておけばという感じ。久しぶりに空振りを取れる直球を投げられるようになったので、あとは決め球があれば余裕をもってマウンドに上がることが出来ます。調子のいい時にこそ、しっかりと自分の課題をつぶして不安要素がないようにしておきたい」
24日の阪神戦では、一死から片山雄哉に初球フォークから直球を挟んで2球連続してフォーク。フルカウントからもフォークを投じた。結果は四球だったが、意図を感じさせる投球だった。
ピンチは招いたが、次打者・北條史也を外角高めの152キロで空振り三振に取り、�盪浬咾魯�ウント1ボール・2ストライクからフォークで三飛に仕留め、課題克服に一歩前進した。
昨季は2勝を挙げ、さらなる飛躍が期待されたが、「迷いながら投げている部分があった」と打ち明ける。
ボールの質を上げるなどレベルアップを目指して取り組んで来たが、どこかしっくりと来なかったという。
「今は、出力も出ているし、これで行こうと思っているから迷いはありません」
一軍の先発・中継ぎ・抑えが充実している今だからこそ、焦らず自分を磨き来たる日に備える。
取材・文＝北野正樹（きたの・まさき）
【動画】最速156キロ！山��颯一郎が復活に向け一歩前進
📺動画再生数TOP10⚾
8月16日-8月21日
🥉第3位🥉
⚾ウエスタン・リーグ⚾
オリックス #山崎颯一郎 投手🐂
今日最速156��/hの剛速球で三振を奪う✊
2イニング・5⃣奪三振の好投👏👏
🆚ソフトバンク vs オリックス
https://t.co/QvxXmRlJbP#プロ野球 #ファーム#イレブン・オリックス pic.twitter.com/yQOfpIRCkX— イレブンスポーツ (@ElevenSportsJP) August 22, 2022
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