オリックス昨年のドラ1・山下舜平大の現在地。伸びた身長を武器に佐々木朗希に続けるか

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2022年09月10日 08:12  ベースボールキング

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投球練習を再開した山下舜平大 [写真=北野正樹]
◆ 猛牛ストーリー 【第33回:山下舜平大】

 連覇と、昨年果たせなかった日本一を目指す今季のオリックス。監督、コーチ、選手、スタッフらの思いを「猛牛ストーリー」として随時、紹介していきます。

 第33回は、2021年に福岡大大濠高校からドラフト1位で入団した山下舜平大投手(20)。飛躍が期待された2年目は、春季キャンプ直前に新型コロナウイルスに感染して出遅れたものの、2軍戦では5月までに5試合に登板し、1勝1敗、防御率3.04で球団の3・4月度のヒーロー賞を獲得しました。しかし、入団後も身長が伸びたことで身体の成長とトレーニングのバランスを考慮し、5月初旬以降は登板せず調整を続けてきたそうです。8月下旬からは投球練習を再開し、復帰を目指しています。




◆ 「身体のことも含めて勉強をする時間になりました」

「伸びるだけ、伸びましょうか。これも武器になりますね」

 9月初旬、大阪市此花区の舞洲にある球団施設で、山下は冗談を交えながら答えてくれた。いつもと変わらない笑顔だが、8月末にブルペンに立てるようになったことが、さらに表情を明るくさせたようだった。

 5月4日の巨人戦(ジャイアンツ球場)以来、登板機会がなかったのは、身長が伸び続け身体の成長とトレーニングのバランスを考えて、別メニューで調整を続けていたからだという。

 野球に限らず、身体の成長度合いに合わせたトレーニングの必要性は一般にも知られている。山下も、ケガや故障を心配するファンも多かったが、実はそうではなかったようだ。

 飛躍の年にするはずだった。将来のプロ野球を背負う右の本格派投手になるべく、大きく育てるという高校時代の指導者の方針で、高校では直球とカーブだけで打者を抑えてきた。プロでも当初は「直球とカーブの質を高めたい」とこだわってきたが、昨年6月23日の広島戦からはフォークボールを交えた。

 シーズン後のフェニックス・リーグでボールを磨き、2年目の今季は、2軍戦6試合、32回1/3で防御率3.62ながら39奪三振。奪三振率は、18試合、65回2/3、48奪三振の昨年の「6.58」を大きく上回る「10.96」。

 密かに目標としてきたのは、3年目の宮城大弥。1年目の20年に2軍戦で6勝(2敗)を挙げ、1軍に定着した2年目に13勝4敗で新人王に輝いた宮城に追い付こうとしたが、身体の成長という避けることのできない理由で小休止を余儀なくされた。

「宮城さんのようになりたいという思いはありましたが、まだ早い、ということだったのでしょう。近道はないので、身体のことも含めて勉強をする時間になりました」と山下。


◆ 「優勝争いをしているチームの力になりたい」

 試合から遠ざかっている間に、新たな習慣も生まれた。読書だ。今、就寝前に手に取るのは、成功者へのインタビューをまとめた「思考は現実化する」というタイトルの本だという。YouTubeで成功した人がこの本のことを話していたのを見て、ネットで購入。

「自分で目標を設定し、どのように行動するのか。出来ると信じてやらないと、身につかないと思います。本を読むのは得意ではありませんでしたが、項目ごとに読んでいます。何が足りていないかとか、柔軟な考えも参考になります」。

 このほか、入寮時に持参した「不可能を可能にする 大谷翔平120の思考」や、オリックスの先輩でもあるイチローの名言集なども手に取るそうだ。

 山下の身長・体重の球団公式は「189センチ、95キロ」だが、身長は1センチ以上伸び、投球を控えたトレーニングで調整した4か月間に体重も3、4キロ増量したという。

 今季、完全試合を含め8勝4敗のロッテ・佐々木朗希。球団公式では190センチ、85キロのままだが、昨年オフの球団主催のファン感謝デーで身長が2センチ伸びたと明かしている。190センチを超える長身からの角度をつけた投球は、打者に対して優位に立てるものだ。

 山下に佐々木への特別な意識はないが、大きくなった身体を武器にした佐々木の投球は、参考になることだろう。

 ブルペンでは約50球を投げ込む。出力を上げることが目標ではなく、フォームのチェックなどに主眼を置いているそうだ。

「優勝争いをしているチームの力になりたいのですが、フェニックス・リーグあたりからちゃんと投げられるようになれればと考えています」と山下。

 将来の大器。焦ることなく、文字通り大きく育ってほしい。


取材・文=北野正樹(きたの・まさき)

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